コロナ拡大防止のロックダウンは、人々のメンタル面にどう影響するのか?
コロナの感染拡大を抑えるために、世界各国でロックダウンが行われています。日本でも緊急事態宣言が発表され、学校が休校になるといった措置が取られたり、不必要な外出を控えるように要請されたりしました。
ロックダウンにより人々が外に出なくなると、観光地や飲食店のお客がガクッと減ってしまったりと、経済に大きなショックを与えることが懸念されます。そして、ロックダウンは人々の心理面にも大きな負担を与えるもので、コロナの拡大を不安に思う気持ちや、出かけることができない退屈感など、メンタルを低下してしまうことも考えられます。
そこで本稿では、
- ロックダウンが起こると、人々の幸福感にはどのような影響が出るのか?
を調べてくれたオタワ大学の研究(*1)を見てみましょう。
Googleのトレンドから見る幸福感の変化
オタワ大学の研究では、ロックダウンの前後でのGoogleの検索トレンドの変化から、人々のメンタル面がどのような影響を受けているのかを分析しています。実はGoogleの検索トレンドの分析はこれまでにも実績のある方法で、
- 病気の流行を予測できた
- 旅行客の流れを予測できた
- 金融市場の取引行動を予測できた
などの研究結果が得られているんですね。
オタワ大学の研究では、
- 退屈
- 孤独
- 障害
- イライラ
- パニック
- 睡眠
- ストレス
- 心配
- 満足
- 悲しみ
- 自殺
- 幸福
- 離婚
といったワードの検索数の変化を追跡することで、ロックダウンの前後でどのようなメンタルの変化があったのかを分析しているんですね。
結果1:ロックダウンによるメンタルの変化
最初に、ロックダウンの前後での検索トレンドの変化は、ヨーロッパとアメリカでそれぞれ次のグラフのようになっています。
この結果をざっとまとめると、検索数が増えたワードとしては
- 退屈感がかなり大きく向上していた
- 孤独感が向上していた
- 心配が向上していた
そして、検索数が減ったワードとしては
- ストレスの検索が減った
- 自殺の検索が減った
- 離婚の検索が減った
ということ。
ロックダウンの大きな影響としては退屈感や孤独感、心配の増加ということで、やはりロックダウンはメンタル面に負担を与えていることが分かります。
結果2:メンタルはロックダウンに慣れるのか?
オタワ大学の研究では、ロックダウン開始から4週間にわたって検索トレンドを追跡した結果から、人はロックダウンのメンタルの低下に慣れるのかを分析しています。その結果としては、
- 退屈感や心配は、ロックダウン開始から4週間経っても低下することなく、高い状態を維持していた
ということ。
つまり、ロックダウンによりメンタルの低下に慣れることはなく、ロックダウンが長引くほどメンタルも低下したままになってしまうということ。ずっと同じ作業をしているとどんどん退屈になっていくように、退屈感は時間とともに向上していってしまうもの。なので、ロックダウンで外に出られない退屈さも、長引くほど尾を引いてしまうものなのでしょう。
まとめ
本稿では「ロックダウンは人のメンタルにどう影響するのか?」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- ロックダウンは退屈感や孤独感、心配を向上させてしまう
- ロックダウンのメンタルの低下に慣れることはなく、ロックダウンが長引くほどメンタルも低下したままになってしまう
ということ。
日本でも緊急事態宣言などを受けて、旅行や外出をずっと控えている人も多いでしょう。とはいっても外出ができるわけではないので、家の中でも退屈しない方法を探すしかないのかもれませんね。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1 : COVID-19, lockdowns and well-being: Evidence from Google Trends