高タンパク質ダイエットには代謝を向上させる効果もあるという研究
糖質制限ダイエットや低脂質ダイエットなど、摂取するマクロ栄養素(炭水化物、脂質、タンパク質)のバランスを変えることはダイエットの基本的な手法です。その中でも最近注目されているのは高タンパク質ダイエット。タンパク質には他の栄養素にない特徴があって
- 筋肉になりやすく、脂肪にはなりにく
- 満腹感が高く、食欲を抑えやすい
と、タンパク質を増やすことはダイエットに効果的なんですね。
そこで本稿では、高タンパク質ダイエットについて、
- 高タンパク質な食事は、同じカロリーの普通の食事よりも、基礎代謝の向上や脂肪の燃焼効果があるのか?
を調べてくれたアルバータ大学の研究(*1)を見てみましょう。
高タンパク質ダイエットのダイエット効果
アルバータ大学の研究では44人を対象に次の2つの食事方法を実験しています。
- 高タンパク質な食事
総カロリーの40%がタンパク質、35%が糖質、25%が脂質の割合の食事。
グラムにすると1日に200gほどのタンパク質で、結構なタンパク質量になっています。
- 一般的な食事
総カロリーの15%がタンパク質、55%が糖質、30%が脂質の割合の食事。
こちらは一般的なアメリカの食事の栄養バランスになっています。
実験はクロスオーバーのデザインになっていて、44人は二つの食事法を数日空けて両方実践する形式になっています。そして、どちらの食事でも総摂取カロリーは約2100kcalに合わせられていて、純粋な食事の栄養バランスの差がダイエットにどう影響するのかを測定してます。
測定されたダイエット効果としては、
- 代謝の変化
- 脂肪やタンパク質、糖質の燃焼
といったものが測定されています。
高タンパク質ダイエットで体重が減ることはすでに多くの研究で分かっているため、この研究ではもう少し深掘りして、なぜ高タンパク質な食事で体重が減りやすいのか?を代謝や脂肪の燃焼の観点から分析してくれたわけですね。
結果1:代謝の変化
最初に普通の食事と高タンパクな食事での代謝の変化を見てみると、
- 普通の食事と比べて高タンパクな食事では、トータルの代謝が約81kcal/d向上し、睡眠時の代謝は約17kcal向上していた
という結果が得られています。
タンパク質を多く摂取すると、体温が向上したり、体の中のタンパク質の入れ替わり(ターンオーバー)が活性化したりします。これらが基礎代謝として毎日81kcalほどのカロリーを多く消費してくれるため、タンパク質ダイエットは痩せ効果が向上することが期待できるわけですね。
結果2:脂肪の燃焼効果
続いて、高タンパク質な食事の脂肪の燃焼効果を見てみると、
- 高タンパクな食事では体内の脂肪の酸化が増えていた
- 高タンパクな食事では体内の脂肪のバランスがマイナスになっていた
ということ。
これらの結果は体内の脂肪が燃焼して使われているということを示唆しています。高タンパク質な食事では、基礎代謝が上がって痩せやすくなるだけでなく、脂肪を燃えやすくしてくれる効果もあるということですね。
まとめ
本稿では「高タンパク質な食事のダイエット効果」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- 高タンパク質な食事は、基礎代謝をあげて、脂肪を燃焼しやすくしてくれるので、普通の食事よりも高いダイエット効果が期待できる
ということ。
無理に食事制限をして痩せると、筋肉も一緒に落ちてリバウンドしやすい体になってしまうこともあります。こうした筋肉の減少を防ぐためにも、タンパク質をしっかりと取ることは大切。できれば有酸素運動や筋トレも組み合わせて、健康的なダイエットを目指しましょう。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]