インターリービング学習は、トピック単位で分散した方が学習効果が高いという研究
科学的に効果のある学習方法の一つとして、インターリービング学習という手法があります。インターリービングとは”間に差し込む”とか”交互に配置する"という意味で、インターリービング学習とは関連する様々なタイプの勉強を細かく挟み込む勉強方法になります。
本稿ではこのインターリービング学習について、
- インターリービング学習の学習内容の切り替えは、関連性の薄い他の勉強内容に切り替えても効果が出るのでは?
ということ実験してくれた南フロリダ大学の研究を見てみましょう
インターリービング学習とブロック学習
インターリービング学習が細かく切り替えて勉強する方法に対して、一つのことをまとめて勉強する方法はブロック学習と呼ばれています。この二つ方法が具体的にどういう違いなのかを、数学の微分の勉強を例に見てみましょう。
まず、ブロック学習は、
- 1日目に関数の微分を求める練習問題をマスターする
- 2日目に方程式の極大・極小を求める練習問題をマスターする
- 3日目に微分の応用問題をマスターする
といった感じ。ブロック学習では1回の勉強で1つの内容を決めて、それを集中してマスターします。
一方で、インターリービング学習は、
- 1日目に関数の微分を求める練習問題、方程式の極大・極小を求める練習問題、微分の応用問題を少しずつ行う
- 2日目,3日目も同様に3種類の勉強を細かく切り替えて行う
といった感じ。、インターリービング学習では関連する複数の内容を毎回少しずつ切り替えて勉強をします。
一見すると一つ一つ集中してマスターするブロック学習の方が効率が良さそうに見えます。しかし、同じ内容を何日かに分けて繰り返した方が、記憶の定着には良かったりするので、インターリービング学習の方が学習効果は高いことが分かっているんですね。
インターリービング学習はどのレベルで分割すればいいのか?
それで南フロリダ大学の研究では、
- 一つのトピックの中の勉強内容を細かくインターリービングするのも効果的だけど、もっと大きなトピック単位でインターリービングしても効果が良いのでは?
ということを実験してくれています。これは微分の中の勉強内容を細かく振るのでなく、微分・積分・確率・ベクトルといった様々なトピックをインターリビングで織り交ぜてしまおうということですね。
それでこの実験では、140人の学生を対象にして、9週間の勉強期間で実施しています。この時に半分の学生はトピックレベルのインターリービング学習、もう半分の学生は一つ一つのトピックをまとめて勉強するブロック学習を行っています。そして、最後には2週間空けて学習効果の試験を行なっています。
結果:
実験の結果を見てみると、
- インターリービング学習の最終試験の正解率は72%だった
- ブロック学習の最終試験の正解率は38%だった
ということ。インターリービング学習法が学習効果がずっと高く、その効果量もd=1.05で大きな効果となっています。
なぜトピック単位でのインターリービング学習が効果が高かったのかというと、インターリービング学習では様々なトピックの問題が織り混ざっているので、どの解法を使うのかを選択する練習ができる優位性があります。ブロック学習では、その日の勉強内容が微分と決まっていれば、全ての練習問題は微分で解く前提になっているので、問題に対して微分や積分、ベクトルのどの解法を選ぶのかの訓練ができないわけですね。
まとめ
本稿では「インターリービング学習の分散方法」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- インターリービング学習では、様々なトピックの勉強を織り交ぜて勉強することで学習効果を向上できる
- その効果量はd=1.05で大きな効果が期待できる
ということ。
学校のカリキュラムは教科書の順番通りにブロック学習をするようになっていることが多いかもしれません。前にやったトピックの復習を挟んだり、次にやるトピックの予習を挟むなどして、うまくインターリービング学習を活用していきましょう。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]