睡眠不足になるとカロリーが高いものを食べたくなるのはなぜか?の研究
睡眠が不足すると高カロリーなものを食べやすくなってしまうことが分かっていて、睡眠不足はダイエットの天敵だとも考えられます。
それでは、なぜ睡眠不足で高カロリーのものが食べやすくなってしまうのか?はいまいち分かっていなくて、
- 睡眠が不足すると高カロリーな食事への欲求が高まる
- 睡眠が不足すると低カロリーな食事に魅力を感じなくなる
- 睡眠が不足するとセルフコントロール能力が低下して、不健康な選択をしやすくなってしまう
といった説が考えられます。
そこで本稿ではこの点について実験してくれたユトレヒト大学の研究(*1)を見てみましょう。
睡眠不足と食事の好みの変化
ユトレヒト大学の研究では60人の女性を集めて、
- 通常の睡眠グループ
- 睡眠不足グループ
の二つのグループを作成しています。睡眠不足グループでは、睡眠時間を普段から6時間遅らせるということ。8時間睡眠の人は2時間睡眠になる計算なので、結構ガッツリとした睡眠不足になっています。ただし睡眠不足は一晩のみなので、実験としては1回の夜更かしが食事の選択に与える影響を分析していることになります。
そして、各グループでは
- 最初に80種類の食品の好みを点数づけしてもらう
(高カロリー食品も低カロリー商品も含まれる) - その後に80種類の食品の中から選ばれた高カロリー食品と低カロリー食品の組み合わせから、実際にどちらの食品を食べるのかを選択していく
といった方法で、睡眠不足による食事の好みの変化と、高カロリー食品の選択の傾向を調べています。
結果1:高カロリーと低カロリーの選択
まず最初に高カロリーと低カロリーの食事の選択の傾向としては
- 睡眠不足のグループでは、確かに高カロリー食品を選択する割合が高かった
- そのため、睡眠不足グループの方がトータルの摂取カロリーも多くなった
ということ。これまでの研究でも分かっていると通り、睡眠不足になると高カロリーの食品を選びやすくなってしまう傾向が確認されています。
結果2:なぜ高カロリー食品を選びやすくなるのか?
それでは、なぜ高カロリー食品を選びやすくなったのかの分析を見てみると、
- 高カロリー食品の好みの点数は、睡眠不足グループでも通常睡眠グループでも変わらなかった
- 低カロリー食品の好みの点数は、睡眠不足グループでは通常睡眠グループよりも低下していた
ということ。さらには、
- 睡眠不足で高カロリー食品と低カロリー食品の選択をする場合でも、低カロリー食品の方が好みの点数が高い場合は、ちゃんと低カロリー食品を選択していた
- 睡眠不足の場合には、高カロリー食品と低カロリー食品を見比べて、どちらにしようか迷う回数が減っていた
という結果も出ています。迷ったあげく高カロリー食品を選んでしまうといったセルフコントロール能力の低下の問題ではないようです。
つまり、睡眠不足で高カロリー食品を選びやすくなってしまう1番の原因は、低カロリーの食品の魅力を低く感じるようになるからということ。そうすると高カロリー食品の相対的な好みの度合いが強くなって、高カロリー食品を選びやすくなってしまうわけです。
まとめ
本稿では「睡眠不足で高カロリーな食品を食べやすくなってしまうのはなぜか?」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- 睡眠不足になると高カロリー食品の好みのスコアは変わらないが、低カロリー食品の好みのスコアが低下する
- つまり、睡眠不足になると高カロリー食品を食べやすくなるのは、低カロリー食品に魅力を感じなくなるから
ということ。
今回の研究のようにたった一晩の睡眠不足でも食事の好みは変わってしまうようです。なので、ダイエット中なんかは特に睡眠不足にならないように注意しましょう。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]