瞑想をすると本当に日中のマインドフルネスが向上するのか?
マインドフルネスとは、今この瞬間に意識を集中すること。将来のことを気にしたり、頭の中に浮かんでくる雑念に囚われたりせずに、今行っている活動に集中するわけですね。意識が散漫になってしまっては仕事でも勉強でも捗らなくなってしまいますし、実はマインドフルに活動に集中することは幸福感の向上にもつながっているため、最近ではマインドフルネスを高めることが大切だと言われるようになりました。
そして、マインドフルネスを高める方法で最も一般的なのが瞑想。瞑想にも様々な種類がありますが、基本的には目を瞑って頭の中の意識をある一点に集中させるというもの。例えば、呼吸瞑想なら息を吸って吐く動作に意識を集中しますし、ボディスキャン瞑想なら体の感覚に意識を集中させます。
当然ですが、瞑想は意図的に意識をコントロールしようと努力をするので、瞑想中はマインドフルネスが高まります。しかし、その瞑想で高まったマインドフルネスが瞑想が終わってからも続くのかは微妙なところ。そこで本稿では、
- 瞑想をすることで、日中のマインドフルネスが本当に高まるのか?
- 日中のマインドフルネスが高まることが1日のストレス低減やポジティブ感情アップにつながるのか?
について分析してくれたマギル大学の研究を見ていきましょう。
瞑想と日中のマインドフルネス
この研究では、マインドフルネスストレス低減法の実践プログラムの参加者117名を対象にして、毎日のマインドフルネスの変化を記録しています。マインドフルネスの測定方法としては
- 自分の思考に客観的に気づいて、雑念を手放すことができた
- 不快な感情を感じたときに、それを客観的に観察して受け入れることができた
- 自分自身や他人に批判的になりそうなときに、判断することを捨てて受け入れることができた
- 特定の感情や思考で頭がいっぱいの時に、のみ込まれることなく一歩引いて考えることができた
という経験を日中にどれだけできたのかを10点満点で採点しています。
さらに、これらのマインドフルネスの最終的な効果として、
- 毎日の感じたストレス
- 毎日のネガティブ感情の量
- 毎日のポジティブ感情の量
の三つも測定しています。
結果:瞑想と日中のマインドフルネス
早速結果を見てみると、
- 瞑想を実践すると、その日のマインドフルネスは確かに向上していた
- 瞑想の時間が長い人ほど、マインドフルネスの向上が大きかった
- 瞑想の指示を素直に聞く人ほど、マインドフルネスの向上が大きかった
ということ。
瞑想をすればちゃんと日中のマインドフルネスも高まることが確認されています。今回の実験では瞑想の時間は平均で29分となっていて、時間が長い人ほど効果も高くなっているということです。さらに、瞑想の指示に素直な人ほど効果も大きいということで、これはマインドフルネスストレス低減法のプログラムには先生がいて、その先生のアドバイスをちゃんと聞く人の方が効果も高かったということですね。
結果2:瞑想とストレスやポジティブ/ネガティブ感情
続いて最終的にストレスや感情面に改善があったのかの結果を見ていると、
- 瞑想をすることで、ストレスとネガティブ感情は低減し、ポジティブ感情は増えていた
- これらの効果は瞑想により日中のマインドフルネスが高まったことにより得られていた
(ポジティブ感情だけは瞑想→ポジティブ感情の直接的関係もあった) - 瞑想の時間が長く指示に素直な人ほど、ストレスやネガティブ感情の低減とポジティブ感情の向上効果も大きかった
となっています。
瞑想で日中の活動や出来事にマインドフルに対応できるようになれば、ストレスやネガティブ感情を手放すことができ、ポジティブな感情を増やせるようになるわけですね。こちらも瞑想の時間は長い方が効果が高いということなので、自分のメンタルが凹んでいるときなんかは、長めに瞑想をしてみると良いかもしれません。
まとめ
本稿では「瞑想と1日のマインドフルネス」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- 瞑想をすると瞑想中だけでなく、1日のマインドフルネスを向上することができる
- この効果により、その日のストレスとネガティブ感情は低減され、ポジティブ感情を増やすことができる
- この効果は瞑想の時間が長いほど強く得られる
ということ。
私も瞑想をすると仕事や勉強の集中力が高まったような実感を感じることがあります。瞑想はどこでも手軽にできるので、1時間勉強したら10分瞑想休憩するなど、こまめに取り入れると瞑想の時間も増やしやすいのでおすすめです。瞑想も継続が大切なので、少しずつ続けていきましょう!
以上、本稿はここまで。
[参考文献]