朝食に寄せたプチ断食だと、体重が減らなくても体が健康になるという研究
プチ断食は最近流行りのダイエット方法の一つ。やり方は色々あるのですが、基本的な考え方は食事を食べていい時間を決めて、それ以外の時間はカロリーがあるものは全て制限するというもの。例えば、
- 1日のうちの朝7時〜昼13時までの8時間は好きに食べていいけど、残りの16時間は食べちゃだめ
- 普通に食べていい日と、カロリーを25%以下に抑える断食日を交互に繰り返す
といった方法がよく行われています。5日間とかのプチじゃない本格的な断食もありますが、習慣として継続するなら1日交互とか1日の中の時間制限とかのプチな断食が主流になります。
それで、プチ断食には体重を減らす効果がもちろんありますが、血圧や血中脂質の改善などの高い健康効果も確認されています。これ自体は嬉しいことなのですが、いまいち分からないのが、プチ断食の健康効果が食事時間の制限から得られているのか、体重が減ったことから得られているのかということ。
そこで、本稿では
- プチ断食で食べる時間を制限するけど、カロリーは普通と同じだけ食べても、プチ断食の健康効果は得られるのか?
を実験してくれた研究を見てみましょう。
実験:朝食型のプチ断食の健康効果
この研究では、5週間にわたってプチ断食を実践する実験を行っています。この研究では比較対象として通常の食事を模擬したグループも用意されていて、
- プチ断食グループ
1日の食べる時間を6時間に制限する
例えば、朝の7時に朝食を取ったら、13時までに全ての食事を済ませる - 通常グループ
1日の食べる時間は12時間とゆるい制限にする
例えば、朝の7時の朝食を取ったら、19時までに夕飯を食べる
となっています。
純粋に食事の時間制限の効果を確かめるために、こららの二つのグループで食事の内容や頻度は同じに設定されていて、
- どちらのグループも1日に同じ3食を食べる
(プチ断食グループも6時間の間で3食食べる) - 当然二つのグループでカロリーは同じ
になります。
プチ断食の実践方法には朝〜昼に食べていい時間を設ける朝食型プチ断食と、昼〜夕方にかけて食べていい時間を設ける夕食型プチ断食の2パターンがありますが、この研究では朝食型のプチ断食を採用しています。それがなぜかというと、夜寝る前の食事は睡眠を妨げてしまったりするように、人の体は朝にちゃんと食べることに適していて、朝食型の方がより健康効果が得やすいと考えたからです。
結果:朝食型のプチ断食の健康効果
早速実験の結果を見てみると、朝食型プチ断食の効果として、
- グルコースのレベルは変わらなかったが、インスリンレベルやインスリン感受性は改善していた
- 最高血圧と最低血圧の両方が大きく改善していた
- 酸化ストレスのレベルが改善していた
- 食事時間を制限しているのにもかかわらず、空腹感も感じにくくなっていた
ということ。
この実験のポイントとしては、食事の時間だけ制限して、カロリーは変えていないのですが、それでもこれだけの健康効果が得られているんですね。人が狩猟採取民族だった頃は、常に周りに食事があって、常にお腹が満たされているという状況はありませんでした。なので、もともと人の体は空腹を感じるのが当たり前に作られていて、プチ断食の方が本来の人の体にあった食事方法に近いのかもしれませんね。プチ断食とは真逆で、常にオーバーカロリーで肥満になってしまうのが、健康に悪いのも当然のことでしょう。
まとめ
本稿では「プチ断食は体重が減らなくても健康効果があるのか?」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- 朝食型のプチ断食は、インスリンレベル、血圧、酸化ストレス、空腹感といった健康指標を改善してくれる
- この効果は体重の減少によるものでなく、純粋に食事の時間を制限することにより得られている
ということ。
プチ断食は空腹感も抑えられるのは面白いですね。もっとも今回の研究は5週間継続した時の効果で、最初の慣れないうちは空腹感も感じる可能性はあります。また、今回の研究ではカロリーを意図的に同じにするように摂取していますが、空腹感が減るのであれば、プチ断食で摂取カロリーを減らすこともできるかもしれませんね。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]