勝ったチームは負けたチームよりも一体感が高くみられがちという研究
何かを成し遂げたチームは、みんなが一体となって協力をしたチームというイメージがあります。
- リーグ優勝したサッカーチーム
- 大成功した仕事のプロジェクトチーム
- 世界一の演奏をする合奏団
優れたパフォーマンスはみんなの協調があるからこそ成し遂げられるものだと思えますよね。
しかし、実際には逆であることも考えられて、チームが一体となるから高いパフォーマンスが発揮できるのでなく、チームが高いパフォーマンスを発揮しているから一体感が高いと思えてしまうのかもしれません。
そこで本稿では、
- 勝ったチームは負けたチームよりも一体感が高く見えるのか?
を実験で調べてくれた研究を見ていきましょう。
チームの勝ち負けと主観的な一体感
この研究では、175名を対象にチームの一体感をどう評価するかの実験を行っています。
この実験では、4人組の仮想のデザインチームが作られていて、
- チームがデザインコンテストで優勝した場合
- チームがデザインコンテストで最下位だった場合
- チームの成績について特に言及しない場合
の三つのパターンでチームの一体感がどれだけ違って見えるのかを測定しています。
さらに、実際にチームメンバーの意見の一体性として
- チームの全員が「このコンテストに参加できて良かった」とポジティブな意見で一致している場合
- チームの全員が「このコンテストからはあまり得るものがなかった」とネガティブな意見で一致している場合
- チームの半数がポジティブな意見で、もう半数がネガティブな意見の場合
の3通りのパターンも用意しています。
これらの3×3=9通りでどれだけチームの一体感が違って見えるかが分析されたわけですね。
結果1:意見の一致とチームの一体感
まず最初にチームの意見の一致と一体感の関係を見てみると、
- チームがポジティブな意見で一致した場合の一体感のスコアは6.75だった
- チームがネガティブな意見で一致した場合の一体感のスコアは6.34だった
- チームがポジティブな意見とネガティブな意見で別れた場合の一体感のスコアは5.15だった
ということ。
この結果からわかるのは、意見がポジティブであろうとネガティブであろうと、チームメンバー全員の意見が一致していれば一体感が高いチームだと思われやすいということです。意見がバラバラのチームは一体感が高いとは思えないので、これは当たり前の結果ではありますね。
結果2:チームの勝ち負けと一体感
次にチームの勝ち負けと一体感の結果を見てみると、
- チームが勝った場合、参加者が評価したチームの一体感のスコアは6.47だった
- チームが負けた場合、参加者が評価したチームの一体感のスコアは5.48だった
- チームの勝ち負けに言及しなかった場合、参加者が評価したチームの一体感のスコアは5.41だった
ということ。
チームが勝った場合には、負けた場合や勝ち負けがない場合と比べて一体感が高く感じられていることがわかります。客観的なチームの一体性は勝った場合も負けた場合も同じように設定しているので、実際にチームに一体性があるかどうかに関わらず、勝ったチームは勝ったというだけで一体感が高く思えてしまうわけですね。
まとめ
本稿では「チームの勝ち負けと一体感」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- チームメンバーの意見が一致するチームは一体感が高いと思われやすい
- 実際にチームが一致団結していなくても、競争に勝ったチームは勝ったというだけで一体感が高いと思われやすい
ということ。
今回の研究は第三者視点で自分と関わりのないチームの一体性を評価しています。しかし、自分がチームメンバーだった場合でも、チームが高いパフォーマンスを発揮していれば、自分のチームは一体感が強いと思えるかもしれません。なので、チームの一体感を高めたいなら、まずはきっちりとチームに結果を出させることも大切なポイントになるでしょう。
以上、本稿はここまで
[参考文献]
*1 : The effects of winning and losing on perceived group variability