幸福感を高めるには自分にフィットしたものにお金を使うと良い
収入は一定額を超えるとほとんど幸福を向上しなくなってしまいますが、幸福感を高めやすい上手なお金の使い道があることも心理学の研究では分かっています。そこで本ブログでは、幸福につながるお金の使い方についてこれまでにも取り上げてきています。そんな中で今回注目するのは買うものと性格のフィットについて。
ケンブリッジ大学の研究が
- お金で買うものが自分の性格にフィットしている方が幸福感が向上しやすいのか?
を調べてくれていましたので、本稿ではこの研究成果を見ていきたいと思います。
お金の使い道の個性とは?
ケンブリッジ大学の研究では、まず59種類のお金の使い道(旅行するとか、娯楽とか、本を買うとか)がどんな性格とフィットするのかを結びつけています。この結びつけ方の方法が面白くて、
- 59種類のお金の使い道がもし人間だったら、どんな性格の人だろうか?
ということを625人の実験参加者に聞いたんですね。例えば、「パーティーに参加すること」が人間だったとしたら、社交的な人間でおしゃべりでノリが良い人だろうとか。「健康やフィットネス」が人間だったしたら、真面目で誠実で自己コントロールの上手い人だろうとか、そんな感じですね。
それでこの方法で特定されたお金の使い道の性格はビッグファイブ性格分析の5つの要素である
- 開放生
- 誠実生
- 外交生
- 協調生
- 神経症的傾向
の数値としてそれぞれ変換されています。
お金の使い道と性格のフィット
次にケンブリッジ大学の研究では
- お金の使い道の性格要素
- お金を使う人の性格要素
がフィットしたときにどれだけ幸福感が向上するのかを調べています。
どのようにして調べたのかというと、2つの実験をしていて
- 実験1
銀行と協力して76,000もの購入取引のそのお金の使い方と対象者の性格を分析
- 実験2
外交性が低い人43名と外交生が高い人36名を対象に、バーでお金を使った場合と、本屋でお金を使った場合の幸福感の変化の違いを分析
という形になっています。
結果:お金の使い方と性格のフィット
早速結果を見てみると、
- 人は自分の性格にあったお金の使い道により多くのお金を使っていた
(例えば、外交性が高い人はパブで飲むのに52ドル多く使っていて、誠実性が高い人は健康やフィットネスに124ドル多くのお金を使っていた) - 人は自分の性格にあった使い道にお金を使った方が、幸福感の向上が大きかった
(外交性が高い人はバーでお金を使う方が幸福感の向上が大きく、外交性が低い人は本を買う方が幸福感の向上が大きかった)
ということ。やはりお金の使い道と性格のフィットは大切なようですね。
この研究結果をグラフで見てみると次のようになっています。
グラフの縦軸が幸福感、横軸が外交性の高さになっていて、青色のグラフが本を買ったときの幸福感、赤色のグラフがバーでお金を使ったときの幸福感になっています。
この結果からわかるのは、本は外交性が高まるほどに幸福感が低下していて、逆にバーは外交性が高まるほどに幸福感も向上しているということ。そして、外交性の低い人がバーでお金を使った場合(赤色の直線の最下部)がマイナスになっていることから、
- 自分にフィットしていないことにお金を使ってしまうと、逆に幸福感が低下してしまうこともあり得る
ということが注意点として読み取れます。
まとめ
本稿では「お金の使い道と性格のフィット」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- お金は自分の性格にフィットしたことに使うと幸福感が高まりやすい
- お金を自分の性格にフィットしないことに使ってしまうと、逆に幸福感が低下してしまうこともあるので注意
ということ。
ちなみに、お金の使い道と性格のフィットは、トータルの収入額よりも大きく幸福感に影響することが研究結果から示唆されています。つまり、収入を増やすよりも、お金の使い方のフィットを上げる方が幸福は高まりやすいということなので、ぜひこのポイントは意識してみましょう。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1 : Money Buys Happiness When Spending Fits Our Personality