試験で良い点を取る生徒の勉強方法を、3つのポイントの分析した研究
ただ授業を受けているだけでテストで良い点を取ることは難しく、良い点が取りたければ自分で試験勉強を頑張らなければいけません。授業はみんな同じものを受けるので、自分で行う勉強の時間や質が点数の差に大きくつながるわけですね。
そこで本稿では、試験勉強の質に関して
- 良い点を取る生徒はどういう勉強をしているのか?
を3つのポイントで調べてくれたワシントン大学の研究を見ていきましょう。
試験勉強の3つのポイント
ワシントン大学の研究では、生徒の勉強方法の質として次の3つのポイントを取り上げています。
”勉強方法のアクティブさ”
アクティブな勉強とは自分で頭を使って積極的に考える必要がある勉強方法になります。例えば、過去問を解くとか、教科書の内容の要約を作るとかがアクティブな勉強方法で、教科書を読むとか、講義を見るとかは受け身のアクティブでない勉強方法になります。心理学の研究では”望ましい困難”と言われている現象があって、同じ内容を勉強するのにも、自分で苦労して勉強する方が学習効果が高いことが知られています。そのため、アクティブな勉強方法の方が学習効果は高いと考えられます。
“勉強の時間間隔”
長期記憶に情報を記憶するには、同じ内容でも間隔を上げて繰り返し勉強することが大切です。そのため、試験の前日にまとめて詰め込む形の勉強よりは、1週間前からコツコツと分散して勉強する方が効果が高いと考えられます。
”勉強の阻害要因”
勉強中にスマホをいじってしまったり、テレビを見ながら勉強したりして、勉強がマルチタスクになってしまうと集中力が落ちてしまいます。普段から勉強中に何かしてしまう習慣のある生徒は、試験の成績も低くなってしまうことが考えられます。
実験:3つのポイントと試験の結果
ワシントン大学の研究では、400名以上の大学生を対象にして、3つのポイントが試験の成績に与える影響を測定しています。
結果1:勉強方法のアクティブさと成績
勉強方法のアクティブさとテストの成績として分かったことは
- アクティブな勉強方法を多く取り入れている生徒ほど、テストの成績が良かった(+11.1〜16.6%)
- アクティブな勉強をしている時間の割合が高い生徒ほど、テストの成績が良かった(+5.5%〜10.0%)
ということ。
やはりアクティブな勉強方法の方が学習効果が高いことが分かります。ちなみに生徒がよく取り入れていたアクティブな勉強方法としては、
- 問題集を解く(86%)
- 過去問を解く(82%)
- 自分でクイズを出す(75%)
- 概要を説明する(64%)
- ノートをまとめる(60%)
- 図や表でまとめる(54%)
といった感じになっています。(%は実施していた生徒の割合)
逆に生徒がよく行なっていたアクティブでない勉強方法としては
- ノートを読む(94%)
- 外部の教材を読む(40%)
- 講義のビデオを見る(40%)
- 教科書を読む(38%)
ということ。
なので、勉強方法としてはできるだけアクティブな勉強方法を多く取り入れるようにしましょう。
結果2:勉強の時間間隔
続いて、勉強の時間感覚とテストの成績の結果を見てみると、
- 試験勉強を始めるタイミングの早さは、テストの成績とはあまり関係がなかった
- 試験前の1週間で何日間その試験勉強をするかは、テストの成績とはあまり関係がなかった
ということ。
つまり、予測に反して試験勉強は細かく分散した方が良いという結果は今回の研究では得られませんでした。前日に必死に詰め込むタイプの勉強でも、それなりに成果は出るみたいですね。
結果3:試験勉強の阻害
最後に、スマホなどで試験勉強が阻害されることの影響としては
- 試験勉強に集中できないことが多い生徒ほど、テストの成績は悪い傾向があった
- 平均すると試験勉強の20%の時間が集中できない時間になってしまっていた
ということ。
やはりスマホやテレビなどの集中を阻害する要因は、試験の成績にも響いてしまうようです。勉強するときはスマホをオフにするなり、図書館に行って勉強するなり、自分の集中環境を整えるようにするのが得策ですね。
まとめ
本稿では「勉強方法の3つのポイントとテストの成績」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- 試験勉強は自分で頭を使うアクティブな勉強方法ほど効果が高い
- 試験の前日からの詰め込みでも意外とテストの点数は落ちない
- スマホなどの試験勉強を阻害する要因は、やはり成績の低下につながってしまう
ということ。
試験の前日からの詰め込みでも点数は落ちないということですが、これは数日に分散した場合に匹敵する十分な勉強時間が取れた場合のことです。他の教科の勉強が忙しくて時間が足りないなんて時には、普通にテストの点は落ちると思います。なので、できれば計画的に勉強していきましょう。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]