筋トレで1回毎に少しの休憩を入れたら効果が高まるのか?の研究
筋トレの休憩時間はどのくらいがいいのか?については色々と研究がされていますが、そのほとんどはセット間の休憩時間は何分が良いのかとか、筋トレ後は何日休んだらいいかということに注目しています。
今回取り上げるニコシア大学の研究では、これまでにない視点で、
- 筋トレは1回毎に少し休憩を入れたら、効果が高まるのか?
ということを実験していました。
通常は1セット10回だとしたら、その10回は休憩無しで連続で行うものですが、この研究では1回ずつ少しの休憩を入れるという面白い方法を試しているんですね。
1回毎の休憩のメリット
まず1回毎に休憩することに考えられるメリットとしては、
- 疲労の蓄積が薄れ、1回1回の動作をより素早くパワフルに実行できる
ということが挙げられます。まあ一回ずつ休憩を挟むわけですから、当然疲れにくくなるわけですね。
それでは、筋肉の疲労が軽減されるとどんな良いことがあるのかというと、
- こまめな休憩により、筋トレのボリュームが向上する
- 瞬間的な筋力の発揮が増えて、筋力の伸びが向上する
といった筋トレ効果の向上が期待できるわけです。
実験:毎回休む方法 vs 通常の方法
そこでニコシア大学の研究では実際にこの筋トレ方法を実験していて、
- 6回×3セットのレッグプレスを通常通り連続で行った場合
(セット間の休憩は3分) - 6回×3セットのレッグプレスを1回ずつ20秒の休憩を入れて行った場合
(セット間の休憩は同じく3分)
の2つのグループの筋トレ効果を比較しています。重量設定は1RMの85%の高重量トレーニングで、筋トレの期間は週2回のトレーニングを7週間としています。
結果:
早速結果を見てみると、
- 毎回20秒の休憩をする方法では、確かに動作の初動が早くなっている傾向があった
- しかし、筋肉の厚みや最大重量の伸び、瞬間最大筋力の伸びは両方のグループで差がなかった
- 筋肉束の長さだけは1回ずつ休憩する方が伸びが良かった
ということ。
ほとんどの筋トレ効果に差は出ていませんが、筋肉束の長さという一部の筋トレ効果では毎回休む方が効果が大きいという結果になっています。毎回休むとなると筋トレにかかる時間がかなり増えるので、そこまでする価値がある効果かと言われると微妙かもしれませんね。
補足:毎回休むことの可能性
今回の研究でわからなかった可能性の話をいくつかすると、
- 毎回休むことで、筋トレのボリュームが増えて筋トレ効果が向上するかも
→ 今回の研究では回数を6回に固定したので、回数を限界までにすればボリュームが増えるかも。
しかし、かかる時間のコストを考えるとレストポーズ法で十分な気もする。
(レストポーズ法とは限界まで追い込んだら、少し休憩してまた続けること)
- 筋トレの速度が向上すると、筋繊維のタイプが変わるかも
→ 筋肉の繊維には、瞬間的にパワーを発揮する速筋と、持久的にパワーを発揮する遅筋がある。
回数で追い込むと筋肉は持久力系の遅筋に寄りやすく、こまめに休憩して毎回のパワーを上げると速筋に寄りやすくするかもしれない。
ということも考えられます。
まとめ
本稿では「毎回休憩することは筋トレ効果を向上するのか?」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- 筋トレで1回ずつ少しの休憩を挟むことは、動作の初動を速くして、筋肉束の長さの発達を向上してくれる
- しかし、筋肉の厚みや最大重量、ピーク筋力などの他の多くの筋トレ効果は通常の筋トレと差はなかった
ということ。
筋トレには、休憩時間を増やせばボリュームも増やせるけど、筋トレにかかる時間も伸びてしまうというトレードオフがあります。個人的には筋トレに何時間もかけることはできないので、毎回休憩する方法はコスパが悪いかなという印象です。高重量を扱って、一本一本を真剣にあげたい人とかは、毎回休憩してもいいかもしれませんね。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]