健康的な食事でメンタルはどれだけ改善するのか?の研究
本稿で注目するのは、健康的な食事とメンタルについて。
食事が体の健康に関係するのは当然で、ジャンクフードを食べれば体内で炎症が起きるなどの体の不調が増え、野菜を食べれな免疫が向上するなどの健康効果が得られます。それでは、食事の内容がメンタルに影響するのか?を考えてみると、
- 脳も体の一部なので、健康的な食事で脳の機能が向上すれば、メンタルも好調になる
- 第2の脳と呼ばれる腸内環境も重要で、健康的な食事で腸内環境が整えればメンタルも改善する
などが考えられ、食事でメンタルが改善する可能性は十分にあることが分かります。
そこで本稿では、
- 健康的な食事を変えると、メンタルはどれだけ良くなるの?
というポイントについて調べてくれたウェスタンシドニー大学の研究を見てみましょう。
食事とメンタル
ウェスタンシドニー大学の研究では、食事を健康的なものに改善した場合に、うつや不安が改善するのか?を調べた研究16件をメタ分析でまとめています。これらの研究を合計すると、実験の参加者は45,826人ということで、データの規模としても信頼度は高めになっています。
今回集められた研究は、実験によって食事内容の変更も異なっていて
- 栄養バランスの改善を目指すタイプの食事改善
- 体重の減少を目指すタイプの食事改善
- 脂質の摂取量を減らすことを目指すタイプの食事改善
などいくつかの種類があって、これらの違いがメンタルにどう影響するのかも分析してくれています。
結果:食事の改善とうつ
早速結果を見てみると、まず食事の改善とうつの関係として、
- 食事を改善すると、うつの度合いは確かに軽減していた(効果量g=0.275)
という結果が得られています。効果量的には小さめの値になっていますが、確かに食事でメンタルは改善するようです。
さらに、食事の改善方法の違いを見てみると、
- 脂質を減らすタイプの食事が一番効果が高かった(効果量d=0.477)
- 栄養を改善するタイプの食事が次の効果が高かった(効果量d=0.365)
- 体重を減らすことを目的にした食事も、効果は低めだった(効果量d=0.212)
となっています。
食事改善のポイントとしては、質の悪い脂質を減らして、野菜などの栄養の豊富な食品を増やすのが良さそうですね。特に栄養面に関しては、栄養の専門家に指導してもらったほうが効果も高かったという結果も得られていますので、どういう栄養が良いのかをちゃんと理解することも大切なのでしょう。
結果:食事の改善と不安
続いて、食事の改善と不安の関係を見てみると、
- 食事を改善しても、不安には統計的に有意な効果は見られなかった
ということ。
うつと違って不安では有意な効果は確認されていません。唯一脂肪を減らすタイプの食事改善だけは、若干の有意な効果が確認されているのですが、これはサンプル数も少なく信頼度は低めということです。
食事の効果は、不安やうつなどメンタル面の種類によっても変わってくるようですね。ただし健康的な食事で悪化してしまうものはないと思うので、食事は健康的であるに越したことはないでしょう。
まとめ
本稿では「健康的な食事はメンタルも高めてくれるのか?」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- 健康的な食事に変えると、確かにうつの傾向は少し改善する
- 特に脂質の低減と栄養バランスの向上を目指すと、メンタルの改善効果も高い
(体重減少を目的としたカロリー制限などは効果はあるけど低め)
ということ。
やはりメンタルを整えるには基本的な生活習慣が大切で、十分な睡眠、適度な運動、健康的な食事はどれも欠かせないのでしょう。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]