年齢の多様性はチームのパフォーマンスを上げてくれるのか?
最近のビジネスシーンでは組織の多様性が大切だと言われるようになりました。性別や年齢、国籍、価値観、専門スキルなど、幅広い人材が集まって協力するチームが強いというわけですね。
しかし、何でもかんでも多様性は高めれば良いというものでもなく、
- 多様な考えをうまくまとめるのは難しい
- 多様な人が集まると、それだけ人同士の衝突も増えてしまう
- 何を多様にするのか?によって効果があったりなかったりする
といったデメリットや課題もあったりします。チームの多様性として、どんな多様性を取り入れて、どのようにマネジメントするのかが大切なわけですね。
そこで本稿では、
- 年齢の多様性を高めることは、チームのパフォーマンスを上げてくれるのか?
について調べてくれた中国の研究を見てみましょう。
年齢の多様性とチームのパフォーマンス
年齢の多様性とは、チームメンバーとして新人から中堅社員、定年間近のベテラン社員まで、幅広い年齢の人たちがチームに集まっていることをいいます。世代が違えば色々と考え方や行動が違うので、幅広い年齢のメンバーが集まれば、仕事でも多様な意見が反映される可能性があるわけですね。
しかし、年齢がどれだけ多様であればいいのかは微妙なとこで、
- 近い年齢の人たちが集まると、競争ムードになってしまうかも
- 逆に年齢の幅が広過ぎても、チームの機能として効率が落ちてしまうかも
など幾つかの懸念点があります。
そこで、中国の研究では、分野を限らず集めた71組のチームを対象に、年齢の多様性とチームのパフォーマンスや一体感に関する調査を行っています。集められたチームの人数は6人〜14人ほどの規模になっています。
結果:年齢の多様性は本当に必要なのか?
研究の結果を見てみると、
- チームの年齢が多様であるほど、メンバーはチームへの所属感を強く感じ、チームが効率的に働いていると感じていた
- しかし、年齢の多様性が高くても、客観的なチームのパフォーマンスは向上していなかった
ということがわかっています。
メンバーの主観的には良いチームのように感じられていても、実際のパフォーマンスには関係がないということですね。多様性で重要なのは能力やスキルが多様になることで、人種や年齢などの仕事に直接関係ないバックグラウンドは多様性としてあまり重要ではないようですね。この点は他の研究でも分かっていたりします。
結果2:多様性は高いほど良いのか?
残念ながら年齢の多様性はチームのパフォーマンスを向上してくれませんが、メンバーの主観的な所属感などは向上してくれるということでした。この点について研究ではもう少し深い分析をしているので、その内容を見てみると、
- 年齢の多様性は低くても高すぎてもダメで、適度な多様性があるのが一番効果が高かった
- 年齢の多様性が効果を発揮するには、チームリーダーの適切なリーダーシップが必須だった
ということ。
ここでいう適切なリーダーシップとは、多様なバックグラウンドの人のことを理解して、そうした意見を幅広くまとめ上げるようなリーダーのことです。多様な人が集まればまとめあげるのも一苦労。しかも、ちゃんとまとまらなければ、価値観の違いが衝突を起こして、チームの雰囲気が悪くなってしまいます。そのため、多様性を活かすようなリーダーシップを取れることが、多様性が効果を発揮する大前提になるようですね。
まとめ
本稿では「年齢の多様性はチームに必要なのか?」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- 年齢の多様性は、メンバーの主観的なチームの一体感を向上しても、実際のパフォーマンスは向上してくれない
- 年齢の多様性は高すぎてもダメだし、そもそも多様性をまとめあげられるリーダーがいないとダメ
ということ。
多様性として年齢はあまり重視する必要はなく、能力や専門スキルの多様性の方を広げた方が良さそうです。日本の会社では年功序列で役割が決まることも多いですが、アメリカのように年齢に関係なくスキルでポジションが決まる方が多様性は活かしやすいのかもしれませんね。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1 : Does Age Diversity Benefit Team Outcomes, if so, When and How? A Moderated Mediation Model