If-thenプランニングは悪い習慣を断ち切るのにも効果があるのか?を調べた研究
お酒やタバコ、ジャンクフード、スマホ依存など、本当はやめたほうがいいと分かっていても、なかなかやめられない悪い習慣ってあると思います。実は悪い習慣はかなり厄介なもので、新しい習慣を身につけることよりも、すでに身についた悪い習慣を止める方が一層難しいことも分かっているんですね。
習慣の形成といえば、役立つのがIf-thenプランニングというテクニック。このテクニックは心理学の研究で調べられている習慣化手法の中でも、最も効果のあるものの一つです。
本稿では、このIf-thenプランニングについて
- If-thenプランニングは、新しい習慣の形成だけでなく、悪い習慣を止めるのにも役に立つのか?
を調べてくれた研究を見ていきたいと思います。
If-thenプランニングと悪い習慣の断ち切り
If-thenプランニングとは、「もし〜になったら、〜をする」という形式で、習慣にしたい行動と実行トリガーをセットにする方法です。例えば、「外食したときは必ずサラダを頼むようにする」とか、「夜に歯を磨いたら、その後に日記を書く」といった感じですね。
なぜIf-thenプランニングが効果が高いのかというと、元々とは習慣はある状況である行動を繰り返して身についた自動思考のようなもので、習慣的に行う行動には大抵それを引き起こす状況があるからなんですね。そのため、習慣を形成するには、トリガーをしっかりと決めて、行動と状況をセットにしたほうが、行動が自動化されやすくなるということです。
それで今回の研究では、悪い習慣に対してIf-thenプランニングを活用しています。どうするのかというと、
- まず自分が悪い習慣をしてしまう状況を考える
- 悪い習慣が起きる主な状況の一つ一つに対して、”代わりの行動”をIf-thenプランニングで考える
というもの。例えば、「会社に出社すると始業前にタバコを吸っている」と悪い状況が一つ分かれば、「会社に出社したら、タバコの代わりにコーヒーを淹れて飲むようにする」と対策のIf-thenプランニングができるわけですね。
実験:タバコはif-thenプランニングでやめられるのか?
シェフィールド大学の研究では、悪い習慣を止めるのにもIf-thenプランニングが活用できるのかを調べるために、喫煙者を対象に実験を行っています。この実験では、喫煙しやすい4大トリガーとして
- ストレスを感じたとき
- 他人からタバコを勧められたとき
- 喫煙する友達と一緒にいるとき
- 他人がタバコを吸っているのを見たとき
の4つの状況に対して、そのときに行う対策行動を決めてもらっています(ガムを噛むとか)。参加者には決めたIf-thenプランニングを1ヶ月実施してもらって、その後に禁煙の実行意欲がどれだけ高いのかを測定しています。
結果
早速結果を見てみると、
- If-thenプランニングで、禁煙の実行意図は確かに高まっていて、悪い習慣を止めるのにも効果があることが確認された
ということ。
しかし、この研究では重要な注意点もわかっていて
- 元々のタバコの習慣が弱い〜中程度の強さの場合には、If-thenプランニングは確かに効果があった
- 元々のタバコの習慣が強い場合には、If-thenプランニングは効果が発揮されなかった
ということ。
残念ながら1日に何十本も吸うようなヘビースモーカーの人は、If-thenプランニングでも悪い習慣を断ち切ることはできないようです。悪い習慣はそれだけ強く体に染み付いてしまっているということですね。
まとめ
本稿では「If-thenプランニングは悪い習慣にも効くのか?」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- If-thenプランニングで、悪い行動をしやすい状況毎に対策行動をプランニングすれば、悪い習慣を止めるのに役立つ
- しかし、悪い習慣が強い場合には、If-thenプランニングは効果を発揮しなかった
ということ。
強い習慣にはIf-thenプランニングも効果がないということで、そこは難しい問題ですね。キッパリ止めるのが難しいのであれば、吸う本数を少しずつ減らすとか、タバコの銘柄を軽いものにするとか、徐々に習慣を弱くしていくのが良いかもしれませんね。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]