ベストな選択を探すことは、実は選択方法として間違っているという研究

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小さいものから、大きなものまで、人生は選択の連続です。

今日何を食べるのか?
どの製品を買うのか?
どの会社に勤めるのか?

良い選択をできることは、より良い人生を送るためには必須の能力とも言えるでしょう。

それでは良い選択をするのがどういうことかと考えると、最も良い選択肢を見つけ出すことだと言えるかもしれません。しかし、心理学の研究によると、「最も良い選択肢を見つけようとすると、逆に悪い選択をしてしまう」ということが知られているんですね。

そこで本稿では、この説について

  • 最も良い選択肢を探そうとする人は、どんなふうに選択を間違えてしまっているのか?

について調べてくれた研究を見ていきましょう。

マキシマイザー vs サティスファイサー

人によって選択の方法には大きく2つの分類ができます。それがマキシマイザーとサティスファイサーで、

  • マキシマイザー
    最も良い選択肢を選ぼうとする人
  • サティスファイサー
    自分が求める一定の条件さえ満足すれば、それ以上はこだわらずに選択する人

となっています。

もちろん最も良い選択肢が選べればそれに越したことはないのですが、そのためにはあれこれ選択肢を比較したり、判断材料となる情報を広く集めたりと、意外とコストがかかってしまいます。そして、選択に時間をかけるほど、選択を間違ってしまった時の後悔も大きくなってしまうもので、実は時間をかけて選ぶマキシマイザーの方が自分が選択した結果への満足感が少ないと考えられているんですね。

そこでカーネギーメロン大学の研究では360人を対象に、その人の普段の選択方法の傾向と、選択への満足感といったことを測定し、マキシマイザーのデメリットについて分析してくれています。

結果:マキシマイザーの選択のデメリット

まず最初にマキシマイザーだった人の選択の結果を見てみると、

  • マキシマイザーな人は、自分が選択した結果に後悔することが多かった(.47)

ということ。確かにマキシマイザーの方が選択に満足しにくいという結果になっています。

それではどのようにマキシマイザーの選択がまずいのかの分析結果を見てみると

  • マキシマイザーは選択するときに他人を頼る傾向があった(.29)
  • マキシマイザーは選択をできるだけ避けて先延ばしにする傾向があった(.37)
  • マキシマイザーは自分では素早く選択していると感じていた(.31)
  • マキシマイザーは直感に従うこともなかった(.05)
  • マキシマイザーといっても、選択が論理的な訳ではなかった(.06)

ということ。

つまり、マキシマイザーの人は判断を先延ばしにしてあれこれ悩む傾向があって、悩めば悩むほど他の選択肢の魅力も忘れられずに、選択の満足感が低下してしまうわけですね。

結果:サティスファイサーの選択方法とは?

次にサティスファイサーの選択がどうだったのかというと、

  • サティスファイサーの人は、自分がした選択に後悔することが少なかった(−.31)

ということ。

これがなぜなのかというと、

  • サティスファイサーの人は、選択に失敗してもすぐ対処行動をする傾向があった
  • サティスファイサーの人は、判断が論理的であった
  • サティスファイサーの人は、直感に従っていた
  • サティスファイサーの人は、判断を先延ばしにすることが少なかった

ということ。

つまり、サティスファイサーの人は、論理と直感に従って素早い判断を行って、もしそれが間違っていてもすぐ立て直す行動をすれば良いと考えているんですね。あれこれ悩む時間を増やすよりも、パパッと判断して試行錯誤を繰り返す方が、判断能力も向上して1回の判断の後悔も少なくなるのかもしれませんね。

まとめ

本稿では「ベストな選択肢を求めるのが、実は選択方法としてベストでない」というお話をしました。

ポイントをまとめると、

  • ベストな選択肢を探そうとすると、判断を先延ばしにして悩むことが増え、自分がした選択への後悔も大きくなりやすい
  • 判断の後悔を減らしたいなら、論理と直感に従って素早い判断を行い、間違っていた時はすぐに対処行動をすることが大切

ということ。

選択をコイントスで決めても後悔は少ないという研究結果もあります。つまり、選択するときの大敵は間違うことでなく、踏み出せずに悩む時間だと考えることができるのではないでしょうか。ちなみにコイントスの実験では、挑戦するかしないかの選択で、挑戦する側の選択がでた人の方が後悔は少ないことも分かっています。なかなか踏み出せずに迷っている人がいれば、思い切って挑戦してみるのが良いでしょう。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : Maximizers versus satisficers: Decision-making styles, competence, and outcomes

Naoto

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