筋トレは高重量と低重量のどちらが良いのかの新しいメタ分析
筋トレでは3〜5回を狙った高重量を扱った方がいいのか、それとも10〜15回前後の中〜低重量を扱った方が良いのかがよく話題にあがります。
これまでの研究で分かっている定説としては、筋力を伸ばしたいなら高重量×低回数、筋肉を大きくしたいなら低重量×高回数がいいと言われています。もちろん、どちらか一方が優れているというわけではなく、重量によって鍛えられるポイントが違うので、種目によって両者を使い分けたり、効果的に組み合わせることが大切なわけですね。
そこで本稿では、この定説について
- 筋トレの重量設定の効果の違いを比較した28件の研究をメタ分析でまとめた新しい研究結果
について見ていきましょう。
筋トレの重量設定
エディス・コーワン大学らの研究では、28件の先行研究をメタ分析でまとめています。
このメタ分析は
- 高重量・中重量・低重量の筋トレの効果の違いを比較
- 筋トレの効果として筋力(最大重量の伸び)と筋肥大(筋肉の大きさの変化)の2つを採用
- 28件で総計747人のデータ規模を確保
- 筋トレ初心者や、筋トレのボリュームなどの副要素も考慮した分析を行っている
といった特徴になっています。
単発の実験と違って、複数の実験結果を統計的にまとめてくれているため、エビデンスとしての信頼度も高まるわけですね。
結果:重量設定と筋力の伸び
早速、筋力の伸びに関するメタ分析の結果を見てみると、
- 筋力は高重量>中重量>低重量で効果が高く、重い重量を扱うほど筋力の伸びが大きかった
- トレーニングの経験年数や、ボリュームでは筋力の伸びに有意な差は見られなかった
ということ。
つまり、筋力を伸ばしたければ高重量を扱った方がよくて、回数やセット数はそこまで増やさなくても大丈夫ということです。高重量の筋肉の神経系も鍛える効果が高く、回復にもより多くの時間がかかると言われているので、高重量を扱う場合は回復の期間もしっかりととったほうが良いかもしれませんね。
結果2:重量設定と筋肥大
続いて、筋肥大の効果の違いの結果を見てみると
- 筋肥大は高重量・中重量・低重量のどれでも同じで、有意な差はなかった
- 筋トレの初心者ほど筋肥大が大きい傾向があった
- 筋トレの上級者になるほど、筋トレの総ボリューム数が筋肥大を伸ばすのに重要になっていた
ということ。
つまり、筋肥大で最も大切なのは重量よりも総ボリューム(重量×セット数×回数×トレーニング頻度)ということです。高重量を扱ってしまうと、回数が全然増えないし、回復にも時間がかかってしまうので、どうしてもボリュームとしては減ってしまいがちです。もちろん高重量でも筋肥大は起きるのですが、筋力の伸びよりも筋肥大を優先したいなら、低〜中重量で回数やセット数を増やすので良さそうですね。
まとめ
本稿では「重量設定と筋力の伸び・筋肥大」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- 筋力を伸ばすには、神経系を鍛えられる高重量×低回数のトレーニングが良い
- 筋肥大はどの重量設定でも起きるが、上級者ではボリュームが重要になるため、回数とセット数が増やしやすい中〜低重量が良い
ということ。
トレーニングの方法としては、両者を組み合わせることもできて、
- トレーニングの最初で、筋力を伸ばしたい種目を高重量で行う
- その後のサブ種目を大きくしたい筋肉に絞ったサブ種目で高回数行う
をいうのも良いのではないでしょうか。例えば、最初にベンチプレスを高重量でガッツリ上げて、その後に大きくしたい胸筋上部はサブ種目のインクラインダンベルプレスを高回数やって追い込むとかですね。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]