セルフコントロールが上手い人は、そもそも自分が本当にやりたい目標を立てている説
ダイエット中にお菓子を我慢できたり、試験勉強期間にゲームを我慢できたりと、目の前の誘惑に負けずに長期的な目標達成を選択する力をセルフコントロール能力と言います。セルフコントロール能力は高い人も低い人もいるもので、ストイックに大きな目標を追求する人もいれば、今日を楽しむことしか考えていない人もいます。
それで、セルフコントロール能力が高い人がいるのは何故かには諸説があって、
- 純粋に意志力が強い説
- そもそも行動が習慣化されているから、意志力は使わずとも自動で行動できている説
などがあります。
これらの説は、目標達成の行動をどう起こしているのか?の観点から考えられたものですが、そもそもセルフコントロール能力が高い人は目標選択が上手いという観点も考えられます。本稿では後者の観点から、
- セルフコントロール能力が高い人ほど、本当の自分に関する目標を選択しているのでは?
ということを調べてくれた研究を見てみましょう。
本当の自分の目標
ティルブルフ大学の研究では、セルフコントロール能力が高い人が
- 本当の自分が達成したい目標
- 社会や他人が良いという目標
のどちらの目標を多く立てているのかを調べています。
前者の本当の自分が達成したい目標は、他人の目を気にすることなく、本来の自分がやりたいと思う目標のこと。こちらの目標は心の底からやりたいと思えるわけですから、セルフコントロール能力も高く発揮されることが期待されます。
一方で後者の社会や他人が良いという目標は、「良い会社に入るために勉強する」とか、「周りから良くみられたいからダイエットする」とか、周りの目を気にした目標設定になります。こちらの目標は、自分で決めた目標といえど、やらされ感が多少なりとも出てしまうもので、セルフコントロール能力を発揮するのにより強い意志力が必要になることでしょう。
それでティルブルフ大学の研究では、300人以上を対象に
- セルフコントロール能力がどれだけ高いか?
- 最近立てた目標(5つ)はどんなものか?
- それらの目標は本当の自分が達成したい目標か?
- それらの目標の進捗はどうだったか?
といったことを測定しています。
結果:セルフコントロール能力が高い人は、本当の自分の目標を選んでいるのか?
早速研究の結果を見てみると、セルフコントロール能力が高い人の特徴として
- 立てている目標が本当の自分に関する目標だった(.36)
- 相反する目標に悩まされることが少なかった(−.39)
- 行動が習慣化されていた(.24)
- 結果として目標の進捗が良かった
という4つの結果が得られています。
ちなみに、4つのうちの上3つの結果が目標の進捗を促進してくれていたのですが、それぞれの貢献度としては、
- 本当の自分の目標が10%
- 相反する目標が20%
- 習慣化が20%
ということ。残りの50%は今回の研究データは説明しきれない部分になっています。
なので、結論としては、セルフコントロール能力が高い人は確かに目標設定から上手くて、「本当に自分ややりたいことを目標にしていて、相反する目標にぶれることもことも少ない」ということですね。ただし、習慣化なども役に立っているので、本当の自分の目標を設定するのは、セルフコントロール能力の一部分くらいのものです。
まとめ
本稿では「セルフコントロール能力が高い人はそもそも目標選択が上手いのか?」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- セルフコントロール能力が高い人は、本当の自分がやりたいことを目標にしていて、相反する目標に悩まされることも少ない
- セルフコントロール能力が高い人は、目標達成のための行動が習慣化もしている
- 結果として、セルフコントロール能力が高い人ほど、目標の進捗が良い
ということ。
他人の目を気にした目標を立ててしまうと、「他人からよく思われるためにダイエットしないといけないけど、付き合いが悪いと思われないように飲み会にも参加しないといけない」みたいに相反する目標に振り回されてしまうことがあります。
本当の自分が追求したい目標の軸がしっかりと決まっていれば、その目標を追求するのみなので、セルフコントロールも高く発揮できるのでしょう。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]