過去・現在・未来の感じ方は、幸福感にどのように影響するのか?
私たちは時間の流れの中で生きているため、過去・現在・未来の3つの時間の区分が常に存在します。将来やろうと考えていることが現在の行動となり、現在も行動はやがて過去の思い出となっていきます。
そして、人生の幸福感とは、現在で感じるものではありますが、過去や未来が影響してくることが十分に考えられます。例えば、過去の思い出を振り返っていい気持ちになったり、旅行の予定に今気分がウキウキになることもありますよね。
そこで本稿では、
- 過去・現在・未来の時間認識はそれぞれ幸福感にどれほど影響するのか?
について分析してくれた研究を見ていきましょう。
過去・現在・未来と幸福感
ポーランドの研究では、過去・現在・未来の感じ方が、幸福感にどのように影響するのか測定しています。対象となったのは591人で、具体的に測定された指標としては、
- 過去のポジティブな時間認識
過去を思い出したときに嬉しさや楽しさを感じる - 過去のネガティブな時間認識
過去を思い出したときに嫌なことを思い出してしまう - 現在の快楽的な時間認識
将来リスクなど考えずに、今楽しいことを行うことがある - 現在の意義的な時間認識
現在に集中することに安心やハーモニーを感じる - 現在を重視する時間認識
幸福には今を楽しむことが重要だと考える - 現在の運命的時間認識
自分の人生は自分では変えることのできない運命にコントロールされている - 将来の時間認識
計画通りに着々とプロジェクトを完遂できる
といった感じになっています。
これらの過去・現在・将来の感じ方が、それぞれ幸福感にどのように作用するのかをデータから割り出したわけですね。
結果
早速結果を見てみると、
- 過去のポジティブな時間認識は、幸福感を高めていた(0.38)
- 過去のネガティブな時間認識は、幸福感を低下していた(−0.15)
- 現在の快楽的な時間認識は、幸福感を高めていた(0.35)
- 現在の意義的な時間認識は、幸福感を高めていた(0.43)
- 現在を重視する時間認識は、幸福感を高めていた(0.26)
- 現在の運命的時間認識は、幸福感とは関係がなかった(−0.05)
- 将来の時間認識は、幸福感を高めていた(0.13)
ということ。
ざっとまとめると、今を楽しんでいて、過去を思い出すと楽しい思い出がある人が幸福感が高いわけですね。まあ当たり前のようにも思えますが、過去の思い出が嫌なことばかりだと、今の幸福感も低下してしまうようです。将来のことも効果は弱く出ていて、将来のことばかり考えていてもあまり幸福感は向上しないみたいです。今を我慢して将来のことばかり気にすると、人生がつまらなくなってしまうのかもしれませんね。
そして、幸福感に最も強く影響していたのは、”今の意義的な時間認識”です。これは自分の人生にとって本当に大切なことに対して、今の時間を集中できているような時間感覚になります。なので、今を遊んで楽しむだけでなく、大事な人との時間を楽しむとか、人生の目標を追い求めることを楽しむとか、有意義なことに今の時間をかけるのも良いでしょう。
まとめ
本稿では「過去・現在・未来の認識と幸福感」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- 過去のポジティブな思い出は幸福感を高めてくれる
- 今を楽しむ気持ちは、快楽的な楽しみ方でも意義的な楽しみ方でも、幸福感を高めてくれる
- 将来のためを思う気持ちも、効果は弱いが幸福感を高めてくれる
ということ。
マインドフルネスの”今ここ”に集中することは、まさに現在の意義的な時間認識に近いもの。なので、テレビやスマホなどに意識を乱されず、しっかりと目の前の活動を今を楽しむようにすると良いでしょう。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]