AIに頼るとクリエイティビティが低下するんじゃないか問題
最近のAIの進歩は凄まじいもの。
AIはデータに基づいて人間に変わって様々な判断をしてくれるものですから、AIが増えるほど人の考える時間が減って、どんどんと世界は効率的になっていきます。自動運転や医療診断など、AIの活躍の場はこれからもっと増えることでしょう。
しかし、AIが活躍することが効率を上げてくれる反面で、人の考える力が弱くなってしまうデメリットも考えられます。今ではネットでなんでも情報が検索できる時代なので、深く考えずにネットで答えを探す人も多いのではないでしょうか。
そこで本稿ではこの点について
- AIか活用するほど、アイデアのクリエイティビティは低下してしまうのか?
について実験してくれた研究を見てみましょう。
アレクサとクリエイティビティの低下
この研究では112人を対象に、2人チームになって誕生日パーティの面白い企画を考える実験をしています。誕生日の企画はケーキ・食べ物・催し物の3つの要素を決めるようになっていて、最終的にその企画のクリエイティビティの高さが評価をされます。
そして、この実験ではAIとして半分のチームではAmazon Echoが使えるようになっています。AmazonEchoは「アレクサ、東京の天気を教えて」とか話しかけると、その時の東京の天気を答えてくれるAIですね。実験ポイントとしては、アレクサにあれこれ質問してAIを活用する人ほど、企画のクリエイティビティが低下してしまうのか?という点です。
さらにこの実験では制限時間のプレッシャーの影響も調べていて、
- 15分の厳しい制限時間のグループ
- 30分の平均的な制限時間のグループ
の2グループも用意しています。
結果
早速実験の結果を見てみると、
- 15分のグループは、30分のグループよりも、アレクサを多く活用していた
(15分グループ8.35回 vs 30グループ5.43回) - 15分のグループは、30分のグループよりも、チームのメンバーとの話し合いが少なかった
(15分グループ219回 vs 30分グループ370回) - アレクサを活用したチームは、企画のクリエイビティの点数が低く評価されていた
(アレクサ有り6.71点 vs アクレサ無し7.50点)
ということ。
AIに頼る人ほど自分で考える時間や、チームメンバーと話し合う時間が減って、企画のクリエイティビティは低下してしまうという結果になっています。今回はアレクサを使っていますが、ネットで検索するのも同じようにクリエイティビティを低下してしまう可能性が高いでしょう。
また人は時間制限が厳しいほど、自分で考えずにAIに頼る傾向があるということも分かっています。まあAIの目的が人の代わりとなって時間効率を上げるためのものなので、AIに頼って効率を上げることは間違いではありません。注意しなければいけないのは、AIに頼る時にはクリエイティビティが犠牲になってしまっているということですね。
まとめ
本稿では「AIに頼るほどクリエイティビティは低下してしまうのか?」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- AIを活用するほど、アイデアのクリエイティビティは低下してしまう
- 人は時間制限が厳しいときほど、AIに頼ることが多くなる
ということ。
AIはクリエイティビティは発揮できなくても、データに基づいて正確な判断は得意とします。なので、判断するべき内容に応じて、AIを取り入れるのか、人の頭で考えるのかを使い分けた方が良いでしょう。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]