仕事を中断されるストレスは、タイムマネジメントスキルが防いでくれるのか?
自分の仕事に集中しているときに、電話がなったり、急に他の仕事に割り込まれたりするとストレスを感じますよね。特に忙しい時期で時間に余裕がないときほど、仕事の中断にイラつきを感じてしまうのではないでしょうか。
そこで本稿では、
- 仕事の中断ストレスはタイムマネジメントスキルが高い人ほど感じにくいのか?
について調べてくれた研究を見てみましょう。
仕事の中断とストレスの感じ方
この研究では、75名の社会人を対象にして、一日2回(昼休みと仕事の終わり)次のデータを記録してもらっています。
- 仕事の中断がどれだけあったか?
- 仕事の中断のせいで自分の仕事が進まないと感じたか?
- 仕事のパフォーマンスはどうだったか?
- 仕事中にイラつきなどを感じたか?
そして、実験の参加者はタイムマネジメントスキルの測定も行われています。タイムマネジメントスキルとは、時間を有効活用して効率よく働くスキルのこと。具体的には、優先順位付け、計画立て、活動の振り返り、タスクの委任などを行うスキルですね。
最終的はこれらのデータから
- 仕事の中断が多い人ほど、ストレスが高まり、仕事のパフォーマンスは低下してしまうのか?
- タイムマネジメントスキルの高さは、仕事の中断の悪影響を和らげてくれるのか?
を分析しています。
結果:仕事の中断とストレス・パフォーマンス低下
研究の結果を見てみると、
- 仕事の中断が多い人ほど、中断のせいで仕事が進まないと感じていた(γ=0.14)
- 仕事の中断が多い人ほど、実際に仕事のパフォーマンスは低下していた(γ=−0.25)
- 仕事の中断が多い人ほど、イラつきも強く感じていた(γ=0.20)
ということ。
確かに仕事の中断が多いほど、ストレスが高まり、パフォーマンスも低下してしまうようです。しかし、ここで一つポイントとなることも分かっていて
- 仕事の中断が仕事を邪魔していると感じている人は、ストレスの高まりやパフォーマンスの低下の影響を強く受けていた
- 仕事の中断があっても、仕事の邪魔とは思っていない人は、ストレスやパフォーマンスへの影響はなかった
ということ。
つまり、仕事の中断を自分の中でどう捉えるかが結構大切なポイントなんですね。自分の仕事が進まないのを中断のせいにしてしまうと悪影響が強くなってしまいます。一方で、他の人から話しかけられたり、急遽上司から他の仕事を頼まれるのも、仕事の一部で邪魔ではないと思っていれば、うまくそうした状況にも対応していけるのでしょう。
結果2:タイムマネジメントスキルのバッファ効果
次のタイムマネジメントスキルの影響を見てみると、
- タイムマネジメントスキルが高い人は、仕事の中断があってもそれを邪魔だと感じにくかった(γ=−0.30)
- タイムマネジメントスキルが高い人は、仕事の中断があっても、ストレスを感じにくく、パフォーマンスも低下しにくかった
ということ。
つまり、タイムマネジメントスキルは、仕事の中断の悪影響をある程度防いでくれるバッファとなっているわけですね。タイムマネジメント能力が高い人は、仕事の中断があっても、優先順位を調整したり、計画を修正したりで、うまく対処できる余裕があるのでしょう。
ちなみに、仕事の中断の多さと邪魔の感じ方をグラフにしたときの傾きは、タイムマネジメントスキルが高い人では0.03でほとんど邪魔だと感じないのに、タイムマネジメントスキルが低い人では0.25としっかりと傾きがついています。
まとめ
本稿では「仕事の中断ストレスとタイムマネジメントスキル」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- 仕事の中断が多いと、ストレスが高まり、仕事のパフォーマンスは低下してしまう傾向がある
- 仕事の中断が多くても、邪魔だと感じていなければ、ストレスやパフォーマンスへの悪影響は少なくなる
- 仕事の中断が多くても、タイムマネジメントスキルが高ければ、ストレスやパフォーマンスへの悪影響が少なくなる
ということ。
仕事の中断はできるだけ少ない環境を作ることも大切ですが、仕事はチームで行うものなので中断をゼロにすることは不可能でしょう。なので、中断を邪魔ものだとは考えずに、中断も含めてうまくタイムマネジメントする方法を考えるようにしましょう。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]