音楽はストレスにどれだけ効くのか?のメタ分析
ストレスの発散方法にはたくさんの種類があります。
運動する、友達と出かける、ゲームをする、いっぱい寝る、ペットと遊ぶ、自然の中にいくなど、考え出すとキリがありません。しかし、ストレスの低減方法にも良いもの悪いものがあって、ストレスでお酒を飲みすぎたり、甘いものを食べすぎたりするのはよくない発散方法でしょう。
そこで本稿では、
- 音楽を聴くことはストレスの低減に本当に役立つのか?
を調べてくれた研究を見てみましょう。
音楽とストレスの低減
フロリダ州立大学の研究では、音楽とストレスの関係について調べた22件の研究をメタ分析でまとめています。
これらの22件の研究では、
- 音楽の取り入れ方
- ストレスの種類
- 対象となった人の年齢や性別
などにも違いがあるので、こうした要因がストレスの低減効果にどのように影響するのかも深堀して分析しています。
結果1:音楽のストレス低減効果
まず最初に、音楽が本当にストレスの低減に効くのかについては
- 音楽を聴くことのストレス低減の効果量はd=0.67であった
ということ。
効果量がd=0.67とはそこそこの効果ありというレベルで、確かに音楽を聴くとストレスは低減できることが確認されています。
結果2:音楽が特に効果がある人
次に、音楽で特にストレスが大きく低減した人の特徴を見てみると、
- 年齢が若い人(18歳以下)は、音楽のストレス低減が大きかった
- 音楽の経験がある人は、音楽のストレス低減が大きかった
ということ。
ちなみに性別による効果の違いはなく、男性でも女性でも同じストレス低減が得られるということです。
結果3:効果が高いストレスの種類
続いて、ストレスの種類によって効きやすいものがあるかの分析結果を見てみると、効果が高かったものから次のように並べられています。
- 就職前のストレス
- 実験で人工的に付加されたストレス
- 手術のストレス
- トラウマのストレス
- 医療処置のストレス
- 職業上のストレス
- 労働ストレス
ということ。
労働や職業上のストレスのような習慣的に続くようなストレスには効果は薄いのかもしれませんね。
結果4:音楽の効果を高める方法
最後に、音楽をどんなふうに取り入れたときに、ストレスの低減が大きかったのかを見てみると、
- 言語暗示を含む音楽を聴くこと(d=2.07)
- 音楽に振動刺激をプラスすること(d=1.20)
- 音楽を聴きながら筋肉の力を抜く方法(d=0.72)
- これらのテクニックを組み合わせること(d=0.57)
- 普通に音楽を聴くこと(d=0.52)
となっています。
言語暗示を含む音楽を聴くと良いということで、自分を勇気づけたり癒やしたりしてくれる歌詞が含まれる音楽を聴くと、より効果が高まるかもしれませんね。
まとめ
本稿では「音楽をストレス低減に効くのか?」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- 音楽には確かにストレスの低減効果がある(d=0.67)
- 普通に聴くだけでなく、言語暗示や振動刺激もプラスすると効果が高まる
- ストレスの種類のよっても効きやすさは変わる
- 若くい人や音楽の経験がある人の方が効果が高い
ということ。
音楽を聴くことは実践することが楽なのが良いですね。自分が癒される曲、勇気がもらえる曲などのリストを作っておくと良さそうですね。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1 : The Effect of Music on Decreasing Arousal Due to Stress: A Meta-Analysis