収入の高さが幸福感に影響するのは、他人と比較してしまうのが原因なのか?
お金がたくさんあれば幸せになれるのか?については色々と研究がされていて、単純にお金さえあれば幸福というわけでもなさそうです。なぜかというと、
- お金の使い道次第で幸福感への影響も変わる
- お金は一定額までは幸福を高めるが、それ以上は効果がなくなる
- お金が多くても、満足できなければ幸福感は低下する
などが起こってしまうんですね。
そこで本稿では、
- 絶対的な収入の高さよりも、他人と比べたときの相対的な収入の立ち位置の方が幸福感に影響するのでは?
という点について調べてくれた研究を見てみましょう。
相対的収入と絶対的収入
中国の研究では、中国全土の162の市に住む、合計で30,144人を対象に幸福感と収入の関係を測定しています。
これらのデータは
- 個人レベルの収入の分析
- 県レベルの収入の分析
の2つの分析が行われていて、これにより絶対的な収入と相対的な収入のそれぞれが幸福感に与える影響を調べています。
これがどういうことかというと、同じ年収500万の収入の人でも
- 裕福な県に住んでいて、500万の年収が周りと比べて低く感じる人
- 貧しい県に住んでいて、500万の年収が周りと比べて高く感じる人
と、絶対的な年収が同じでも、周りの人次第で相対的な年収の感じ方が変わります。
そのため、個人レベルで同じ県内に年収の高い人と低い人がいれば、彼らはお互いを比較してしまって、幸福感に強く影響すると考えられます。一方で、県レベルで豊かな県と貧しい県があったとしても、県が違えば普段の生活で会うこともないので、年収を比較してしまって幸福感が影響されることもないと考えられます。
結果:
実際のところどうなのか、研究の分析結果を見てみると、
- 個人レベルの相対的収入が高いと、幸福感と人生の満足感が高まり、ネガティブ感情は低下していた
- 県レベルの絶対的収入が高くても、幸福感も人生の満足感も向上はしなかった
- ただし、県レベルの絶対的な収入も、ネガティブな感情を低下させる効果はあった
ということ。
やはり幸福に影響するのは他人と比較したときの相対的年収であることが分かります。ただし、絶対的年収もネガティブな感情を抑える効果はあるということ。絶対的な年収額が低いと、金銭的な問題を抱えやすくなるので、ストレスや将来への不安などのネガティブな感情を感じやすくなってしまうのでしょう。なので、収入で幸福を低下させないためには、普通に生活できるだけ収入は確保して、他人との比較をやめれば良いわけですね。
まとめ
本稿では、「相対的な収入と絶対的な収入のどちらが幸福感に影響するのか?」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- 幸福感と人生の満足感に影響するのは、他人と比較したときの相対的な収入
- ただし、絶対的収入もネガティブな感情を低下させる効果はある
ということ。
十分高い年収の人が、自分よりも年収が高い人たちが住むエリアに住んでしまって、劣等感を感じてしまうという失敗はよく聞きます。他人との比較による劣等感は、年収の比較だけでなく、能力の比較や性格の比較などでも起きてしまいます。なので、他人と比較するのではなく、自分らしく生きることに満足するようしましょう。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]