SNSやNetflixを頻繁にみる人ほど、自制心は低くなってしまうのか?
TwitterやFacebookなどのSNSが気になってしまって、勉強や仕事になかなか集中できないことってありますよね。最近ではスマホを通じてSNSの誘惑が常にポケットの中について回る時代になりました。このような誘惑に溢れた生活を送っていると、集中力が身に付かずに自制心が低下してしまう事も考えられます。
そこで、本稿では
- SNSを多く使用する若者ほど、自制心は低いのか?
- Netflixのような動画を一気見してしまうのに、自制心はどう関係しているのか?
を調べてくれた2つの研究を参考に、SNSの刺激とのうまい付き合い方について学んでいきましょう。
SNSと集中力の欠如
アムステルダム大学の研究では、13歳〜19歳の若者383人を対象に、SNSの使用時間と気が散って集中できない時間の関係を分析しています。この研究の面白いところは、21日間に渡って1日に6回という細かさでSNSの使用時間と集中力の欠如を測定しているところです。こうすることで、SNSを多く使う人とあまり使わない人の集中力の違いだけでなく、同じ人が1日の中でSNSを多く使った時間帯とあまり使わなかった時間帯で集中力が変わるのかもわかるんですね。
結果:
その結果を見てみると、
- SNSを使う時間の長さは人によるばらつきが大きかった
- SNSを使う時間が長い人は、SNSを使う時間が短い人と比べて、気が散って集中できないことが多かった
- 同じ人の時間帯による集中力の変化を見ると、SNSを多く使った時間帯に集中力は低く、SNSをあまり使わなかった時間帯は集中力が高かった
ということ。なので、集中したいときには、スマホを箱の中に入れてしまうなどして、SNSの刺激がない時間帯を作ってあげることも効果的でしょう。
そして、2つの影響の大きさを比較してみると、
- SNSを使用する時間が人によって違うことは集中力にβ=0.31ほど影響していて、同じ人でも時間帯によってSNSの使用時間が違うことは集中力にβ=0.12ほど影響していた
ということ。どちらかというと人によるSNSの使用時間の違いの方が影響力は強いようですので、SNSにハマりすぎにはご注意です。
動画の一気見と自制心
オハイオ州立大学の研究(*2)では、
- 動画の一気見と自制心や先延ばしの関係はどうなっているのか?
を調べてくれています。動画の一気見とは、Netflixのドラマを3話とか4話も続けて見続けてしまう現象のこと。「もう1話だけ」のつもりが、夜遅くまでズルズルを見続けてしまうアレですね。
この研究では651人を対象に、動画の一気見の頻度と長さの2つの切り口から、自制心や先延ばし、楽しさがどのように変わるのかを調べています。
結果:
研究の結果を見てみると、
- 自制心が低い人ほど、動画の一気見の頻度が多かったが、一気見の時間の長さは関係がなかった
- 動画を一気見の頻度が多い人は、先延ばしが多い傾向にあり、後悔も感じにくい人だった
- 動画の一気見する頻度が高くても、特に楽しさは高まっていなかった
- 一方で、動画の一気見の時間が長い人は楽しさを高く感じていた
ということ。
つまり、動画の一気見を頻繁にすることは、自制心の面でも楽しさの面でもネガティブな関係しかないということ。一方で、頻度は少ないけど時間をたっぷりと一気見することは、自制心を下げないし、楽しさの面でも良い効果があるようです。なので、週末のご褒美として、ドラマを一気見するとかなら良いのかもしれませんね。
まとめ
本稿では「SNSや動画の誘惑と自制心」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- SNSは長時間使う人ほど集中力が低いし、同じ人でもSNSを多く使う時間帯には集中力は低下してしまう
- 動画の一気見は、頻度は落として1回の時間を多く取ることで、楽しさが増すし、自制心への悪い影響もなくせる
ということ。
なので、自制心を落とさずにうまくSNSや動画と付き合っていくには
- SNSや動画の時間を決めて、何回も頻繁に見てしまうことを防ぐ
- 通知が見えないように集中時間にはスマホはしまっておく
などをすると良いでしょう。
[参考文献]
*2 : Go Long or Go Often: Influences on Binge Watching Frequency and Duration among College Students