ネガティブな考えが繰り返し頭から離れないのは心の習慣なのか?
人の前で失敗した恥ずかしい思いを、その後何日間も思い出してはまた嫌な気分になったりと、ネガティブな考えがなかなか頭から離れないことがあると思います。繰り返しネガティブな考えをぶり返してしまうのは反芻思考と言って、メンタルにとって非常に悪いことであることが心理学の研究でも知られています。
しかし、世の中には反芻思考が多くて落ち込みやすい人もいれば、嫌なことでも一度寝れば忘れることができて反芻思考を起こしにくい人もいます。こうした違いがどうして生まれるのかの原因について、アイスランド大学らの研究では
- 反芻思考にはそれを起こしやすい感情があって、その感情と反芻思考の結びつきが習慣を形成しているのでは?
ということを調べていました。本稿ではこの研究を参考に、反芻思考に強くなる方法について学んでいきましょう。
反芻思考と習慣
習慣とはある行動を規則的に繰り返して行うことですが、習慣行動にはトリガーとなるきっかけがあることが知られています。例えば、飲み会に行くと締めにラーメンを食べたくなるとか、朝起きたらコーヒーを飲まないと気が済まないとかですね。
そして、習慣の形成は、トリガー→行動→報酬を繰り返すことで、脳に中でこの行動パターンが自動化されることで起こります。ポイントは自動化という部分で、習慣となった行動はトリガーがあると無意識のうちに行えるようになるんですね。
それで、反芻思考が習慣であるというアイスランド大学の考えは
- 反芻思考を起こしやすい人は、感情が特定の状態になったときに反芻思考を起こしやすく、この状況で反芻思考が起きてしまうのは無意識のレベルで自動化されてしまっている
ということなんですね。
実験:毎日の感情の変化と反芻思考
アイスランド大学の研究では、反芻思考が習慣という考えを実証するために、97人の参加者を対象に実験を行なっています。
この実験では、毎日10回の感情の測定を6日間にわたって行なって、感情の変化の波を記録しています。それと同時に
- 反芻思考の度合い
- ネガティブな感情の無意識レベル
- ポジティブ感情とネガティブ感情の割合
も測定がされていて、感情の変化とともに反芻思考がどのように増え、そしてその反芻思考はどれだけ無意識に行われているのかが分析されています。
結果:ネガティブ感情と反芻思考
早速結果を見てみると、まずはネガティブ感情について
- ネガティブな感情が高まった後に、反芻思考が起きやすい傾向があった
- さらに、反芻思考が起きると、その後にネガティブな感情を引きずりやすい傾向もあった
- ネガティブな感情が無意識に起きている人ほど、反芻思考が起きやすい傾向もあった
ということ。
つまり、ネガティブな感情の時に反芻思考が起きやすく、反芻思考がネガティブな感情を増やしてしまうという負のループになっているわけですね。特に明確の原因も思い当たらないような、無意識なネガティブ感情が多い人ほど反芻思考も多くなってしまうということ。つまり、反芻思考とは、ネガティブな気分の時に、あれこれネガティブなことを考えてしまうことを繰り返した結果、習慣的にメンタルがネガティブになってしまったようなものなのかもしれませんね。
結果:ポジティブ感情と反芻思考
続いてポジティブ感情に関する結果を見てみると、
- ポジティブな感情が低下した時にも、反芻思考は起きやすい傾向があった
- しかし、この場合の反芻思考は、その後のに長くネガティブな感情を引きずる傾向はなかった
- ネガティブな感情が無意識に起きている人ほど、ポジティブ感情の低下による反芻思考も起きやすい傾向があった
ということ。
ネガティブな感情の時だけでなく、ポジティブな感情が低下した時にも反芻思考は起きやすいということ。しかし、こちらは長く後を引いて負のループに陥る心配が少ないみたいなので、ネガティブ感情が起こす反芻思考よりは悪いものではないみたいです。
まとめ
本稿では「反芻思考と習慣」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- 反芻思考はネガティブな感情が高まった時と、ポジティブな感情が低下した時の両方で起きやすい
- ただし、ネガティブな感情が起こす反芻思考の方が、後まで長くネガティブな感情を引きずりやすくて危険
- 反芻思考は、心にネガティブが習慣化されて、明確な理由もなく漠然とネガティブに考えやすい人で起きやすい
ということ。
反芻思考を止めるには、無意識にネガティブに考えてしまう自動思考を止めなければいけないようです。そのためには、自分の感情や思考を客観的に捉えるマインドフルネスだったり、物事をポジティブに捉えるためのポジティブ・シンキングやリアプレイザルが有効かもしれませんね。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]