旅行で2種類の幸福感はどう変化するのか?を調べた研究
夏休みやゴールデンウィークなどの休暇の楽しみと言えば旅行でしょう。最近はコロナの状況もあって旅行に行く機会も減ってしまいましたが、旅行は幸せな人生を送るために必要なことの一つであることは間違い無いでしょう。
そこで本稿では、旅行と幸福感について
- 旅行はヘドニックな幸せとユーダイモニックな幸せのどちらを向上してくれるのか?
を調べてくれた研究を見ていきましょう。
2種類の幸福感と旅行
幸福感にはヘドニックな幸せとユーダイモニックな幸せの2つの種類があると言われています。
ヘドニックな幸せとは快楽的な幸せのことで、美味しいものを食べて幸せとか、友達と遊んで幸せとか、その瞬間に感じる一時的な快楽になります。一方でユーダイモニックな幸せとは持続的な真の幸せのことで、人生に生きがいを感じているとか、長期的な目標に向かって頑張っているとか、そういう幸せになります。
それでは旅行がどちらのタイプの幸せを高めてくれるのかは微妙なところ。旅行先で美味しいものを食べたり、友達と楽しんだりする経験はヘドニックな幸せになります。一方で旅行先で未知の文化や世界に触れて人生観が変わったりすればユーダイモニックな幸せが高まるかもしれません。
そこで中国とオランダの研究では、
- 旅行の前
- 旅行中
- 旅行の直後
- 旅行から1週間後
- 旅行から1ヶ月後
の5つのタイミングを通じて、2種類の幸福感がどのように変化するのかを調べてくれています。想定としては旅行中〜旅行直後にかけて幸福感が向上し、旅行から1週間・1ヶ月と時間が経つと幸福感は元に戻っていくだろうということ。この変化の波にヘドニックな幸せと、ユーダイモニックな幸せで違いがあるか?その結果を見てみましょう。
結果1:旅行と2種類の幸せの時間変化
研究の結果として次のようなグラフが得られています。
黄色の線がヘドニックな幸せ、青色の線がユーダイモニックな幸せになります。このグラフから読み取れるのは、
- どちらの幸せも旅行中にピークが来て、その後はだんだんと落ちていく
- ヘドニックな幸せは、よりピークが高く、1ヶ月後の落ち込みも大きくて、変化の波が大きい
- ユーダイモニックな幸せは、それほど高低差がなく、変化の波が小さい
ということ。
なので、どちらかと言えば旅行はヘドニックな幸せを大きく高めやすいということですね。しかし旅行中のヘドニックな幸せは時間による落ち込みも早いということです。持続的な幸せを得るためには、変化しにくいユーダイモニックな幸せを、高いレベルで維持できるのが良いのかもしれませんね。
結果2:ユーダイモニックな幸せが高まりやすい旅行とは?
この研究では、旅行中に行うアクティビティのタイプによって、幸福感の高まり方が違うのかも分析しています。その結果からユーダイモニックな幸せが高まりやすい旅行も分かっていて
- リラックス系のアクティビティよりも、チャレンジングなアクティビティが多い旅行は、ユーダイモニックな幸せを高めやすい
ということ。
温泉でゆっくりするとかよりも、思い切って外国の知らない文化に飛び込んでみるとか、富士山に登るとかチャレンジングな旅行の方がユーダイモニックな幸福を高めやすいということですね。
まとめ
本稿では「旅行と2種類の幸福感」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- 旅行中にはユーダイモニックな幸福もヘドニックな幸福も高まるが、時間とともに元に戻っていく
- ヘドニックな幸福はより変化の波が大きく、ユーダイモニックな幸福は変化の波が小さい
- ユーダイモニックな幸せを高めるには、チャレンジの多い旅行にすると良い
ということ。
リラックス系の旅行やアクティビティ重視の旅行など、色々な旅行を経験できれば人生も豊かになりそうですね。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1 : Eudaimonic and hedonic well-being pattern changes: Intensity and activity