孤独感を感じると、睡眠の質まで低下してしまうという研究
睡眠の質は、身体面コンディションの影響を大きく受けます。食事のタイミング、日中に浴びた日光の量、運動の有無、夜に目に入ったブルーライトの量など、非常に多くの刺激が睡眠の質を変化させます。
一方で、睡眠の質は身体的なコンディションだけでなく、心理的なコンディションによっても左右されることが分かっています。落ち込んでいるときには眠りが浅くなってしまったり、不安が強いときにはなかなか寝付けなかったりと、メンタルがネガティブになっているときは睡眠の質が低下してしまうんですね。
そこで本稿では、ネガティブな感情と睡眠の質の影響の一つとして
- 孤独感でも睡眠の質は低下してしまうのでは?
ということを確かめてくれた研究を見てみましょう。
孤独感はメンタルに悪いもの
一人暮らしを始めて家族と疎遠になってしまったり、会社で自分の居場所を感じられなかったり、趣味やボランティアなど自分が所属するコミュニティがなかったり。周りの人とうまく馴染めずに一人でいることは、精神的に辛い思いもありますよね。
実際に心理学の研究では孤独感も調べられていて、
- 孤独感が強い人ほど、うつになりやすい
- 孤独感が強い人ほど、幸福感が低い
といったことが確認されています。やはり孤独感はメンタルに悪いんですね。
コロナが流行して外出を禁止されていた時のことを思い出してみると、リモートワークで同僚に会えない孤独感や、友達に会いにいけない孤独感で、メンタルが落ち込んでしまった人もいるのではないでしょうか。
分析:孤独感と睡眠の質
それでノッティンガム・トレント大学の研究では、387人を対象に
- 家族との所属感をどれだけ感じているか?
- 孤独感をどれだけ感じているか?
- うつをどれだけ感じているか?
- 睡眠の質がどうか?
を測定しています。
これらのデータから、孤独感が睡眠の質を低下してしまうのかを分析したわけですね。
結果:孤独感を感じると、睡眠の質は低下するのか?
さっそく、研究の結果を見てみると、
- 家族への所属感が低いほど、孤独感は高まっていた(−.51)
- 孤独感が高まるほど、うつの傾向も強くなった(1.93)
- うつの傾向が高まると、睡眠の質も低下していた(.51)
- うつの傾向が高まると、不眠症のリスクも増加していた(.77)
ということ。
つまり、「孤独感が高まる→うつが高まる→睡眠の質の低下する」と、連鎖的に影響して睡眠の質が低下してしまっているわけですね。ちなみに、孤独感はその日の睡眠の質だけでなく、時間をおいた将来の睡眠の質の低下にもつながっていることも分かっています。うーん、友達や家族、同僚など、人とのつながりは大切にした方が良さそうですね。
まとめ
本稿では「孤独感と睡眠の質」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- 孤独感が高い人ほど、うつの傾向が強く、睡眠の質が低下していた
ということ。
自分が所属するコミュニティがある安心感は、ぐっすりとした睡眠にもつながるようです。内向的な人が無理に外交的になってコミュニティを広げる必要はないと思いますが、自分が信頼できる良い人間関係を見つけられれば良いのではないでしょうか。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]