不健康な人ほどセルフコントロールが下手になってしまうという研究結果

セルフコントロール能力とは目先の誘惑に負けずに、長期的な利益を選択する能力です。

ダイエット中にカロリーの高い食べ物を我慢したり、
ゲームを我慢してテスト勉強に集中したりする能力ですね。

セルフコントロール能力の研究で有名なのはマシュマロテストが有名です。
子供に「ここに1つのマシュマロがあるから食べてもいいよ。だけど、私が戻るまで我慢できたらマシュマロを2つにしてあげる」と言って、子供がマシュマロを我慢できるかどうかを観測した実験です。聞いたことのある人も多いのではないでしょうか。

このセルフコントロール能力が高い人には様々な良い効果があって、

  • 学業や仕事の成功
  • 貯金などの富の形成
  • ダイエットや健康

などなど。セルフコントロール能力が高いと人生がより成功しやすくなるというわけで、是非とも高めたい能力の一つであるわけですね。

不健康とセルフコントロール能力

そんなセルフコントロール能力に関する新しい説として、「体が不健康になるほどセルフコントロール能力が低下してしまうのではないか」という考えがJeffrey Gassenらの研究(*1)により提唱されています。この考えが非常に面白いんですね。

なぜこのような説が生まれたのかというと、

「人がこれまで進化して生き残ってこれたのは長期的な利益を選択する力があったからだ。しかし、病気や栄養不足で体が不健康なときには、さすがに長期的な利益ではなく今生き残ることを優先するだろう。なので不健康なときには目先の利益を優先してしまう性質が人間には備わっているのでは?」

というわけです。非常に分かりやすく魅力的な考えではないでしょうか。

不健康と体の炎症

それで、この研究では不健康の意味を具体的にどう定義しているのかというと、「体の炎症」で定義しています。

炎症というと、スポーツで怪我をしたときに筋肉が痛くなったり腫れたりすることをイメージする人が多いと思いますが、ここでいう炎症は慢性炎症という少し違う意味なんですね。

この慢性炎症とは肥満やストレスが原因となって、内臓などの体内の組織が慢性的に炎症を起こしてしまっている状態のこと。これはスポーツの炎症のように痛むわけではないので気付きにくいのですが、体の調子悪いなと感じている人は実は少なからず体内で炎症は起きてしまっているんですね。

慢性炎症の原因としては

  • ストレス
  • 睡眠不足
  • 運動不足
  • 質の悪い食事(加工食品や糖質の取りすぎなど)

など様々なことが要因となってしまうとのこと。どれも健康の大敵なので注意が必要ですね。

炎症とセルフコントロール能力

そしてここからが本題で、この研究では体の炎症とセルフコントロール能力の関係を152人の参加者からデータを取得して分析しています。

その分析から分かったことが、

  • 炎症が高い人ほど、長期的な未来でなく今の利益を優先していた
  • 炎症が高い人ほど、衝動性が強かった
  • 炎症が高い人ほど、長期的な喜びの評価が低かった

ということ。

つまり、炎症がひどく不健康な人ほど、目先の誘惑に負けやすくなってしまうということが分かったんですね。そう考えてみるとストレスのかかっているときや、寝不足のときなんかは、自分に甘くなりがちなのもこれが原因なのかもしれませんね。

そして、不健康がセルフコントロール能力を低下してしまうとなると・・・

炎症でセルフコントロール能力が低下
→タバコやアルコールなどの不健康な行動が増える
→炎症がさらに進んでしまう

という負のループに陥ってしまうこともあり得ます。これは恐ろしいですね。

本研究から分かる結論としては、健康は元気でいるためだけでなく、セルフコントロール能力を上げて自分の成功を掴むという意味でも大切ということです。健康の力は偉大ですね!

まとめ

本稿では「体の健康とセルフコントロール能力」の関係についてお話ししてきました。

ポイントをまとめると

  • セルフコントロール能力は人生の様々な面で必要になる大切な能力!
  • 体が不健康で炎症が進むと、セルフコントロール能力が低下してしまう!
  • 体の健康はセルフコントロール能力を上げるという意味でもやっぱり大切!

ということです。

それでは、どうやって対策すれば良いのかというと、体の炎症を抑えるためにできることは色々とあって、

  • 食事の質を上げる(体に悪いものを減らす、野菜を増やすなど)
  • 体脂肪を標準体型まで減らす
  • 適度に運動をする
  • 質の良い睡眠をしっかりと取る
  • ストレスを減らす

などが効果的ということ。特に自分自身で体の調子が悪いとか、なんかだるいとか感じるときは、炎症が進んでしまっている可能性があるので、生活のリズムを整えるように意識してみると良いでしょう。

以上、本稿はここまで!


[参考文献]

*1: Inflammation Predicts Decision-Making Characterized by Impulsivity, Present Focus, and an Inability to Delay Gratification

Naoto

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