マインドフルネスは心と体の健康を改善する。それではその効果はどのくらい?
マインドフルネスとは余計な雑念などを消して「今」に意識を集中することです。
例えば、
食事で一つ一つの動作や味に集中する
瞑想で雑念を捨てて呼吸の流れに集中する
といったこと。
「今」に集中することで仕事がはかどったり、嫌な悩みから頭を切り離すことができるというわけですね。マインドフルネスはグーグルが研修に取り入れていることでも有名で、数年前から特に注目されるようになっています。
そして、このマインドフルネスには
- ストレスや不安といったメンタルが改善する
- 痛みなどの身体的な健康も改善する
といった効果があることも研究によりわかっています。これは嬉しい効果ですね。
そこで本稿では、それではマインドフルネスにはどのくらいの効果が期待できるのか?を、マインドフルネスの効果をメタ分析でまとめてくれた2つの研究を参考に見ていきましょう!
マインドフルネスと心と体の健康
一つ目の研究(*1)はマインドフルネス・ストレス軽減法が、メンタルの健康と肉体的な健康にどれだけ効果があるのかをメタ分析で調べています。
マインドフルネス・ストレス軽減法はマインドフルネスの訓練方法として有名なもので、その特徴としては
- 10〜40人くらいのグループで行う
- 8〜10週間にわたって毎週2.5時間の訓練を行う
- 訓練の内容は次のようなもの
「様々な瞑想方法の習得」
「ヨガに集中してマインドフルネスな気づきを体験する」
「ストレスのある状況でマインドフルネスになる方法を学ぶ」
といった感じになっています。
分析の結果わかったこととは?
この研究では分析の対象としては、マインドフルネス・ストレス軽減法の効果を調べた質の良い研究20件を選出して、それらのメタ分析を行っています。
そして、その結果としてわかったことは
- マインドフルネス・ストレス軽減法はメンタルの健康を改善する
(効果量d = 0.5) - マインドフルネス・ストレス軽減法は体の健康も改善する
(効果量d=0.42)
ということ。
20件の研究はどれも一貫して改善効果があったようなので、マインドフルネスが心と体の健康を改善してくれるのは間違いなさそうです。効果量も0.5とそこそこの効果が得られていると思うので、瞑想などのマインドフルネスを習慣にするのはオススメと言えるでしょう。
瞑想の効果とは
続いての研究(*2)はマインドフルネス瞑想の効果をメタ分析で調査してくれた研究になります。
この研究でマインドフル瞑想が不安とストレスといったメンタルの健康や、体の痛みや体重といった身体の健康を改善する効果があるのかを調べてくれています。
データの規模としては、全部で47件の実験に及ぶ合計3,320人のデータをメタ分析でまとめてくれています。
分析の結果わかったこととは?
この研究からわかったことは
- マインドフル瞑想は不安の改善に効果がある
(効果量d=0.22~0.38) - マインドフル瞑想は気分の落ち込みの改善に効果がある
(効果量d=0.23~0.30) - マインドフル瞑想は体の痛みに効果がある
(効果量d=0.33) - ストレスやポジティブ感情、注意力、食事、睡眠、体重、薬物使用への効果についてはデータ不足で判断できなかった
ということです。
こちらの研究ではマインドフルネス瞑想は心と体の健康の改善に少し効果があるという結果になっていますね。ちなみにこれらの効果は運動や他の行動療法の効果を超えるものではなかったということで、瞑想は心と体の健康には良いのは間違いないけれど、劇的な効果があるというわけではないのかもしれませんね。
まとめ
本稿では「マインドフルネスの効果はどの程度か?」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- マインドフルネスは不安や落ち込みといったメンタルの改善に良い効果がある
- マインドフルネスは体の痛みといった身体的健康の改善にも良い効果がある
- その効果の程は少し〜そこそこくらい
ということです。
今回の研究結果によるとマインドフルネスには劇的な効果は期待できないようですが、そこそこの効果があることは間違いないでしょう。瞑想などは習慣化すれば実施するのは難しくはないので、ちょっとした習慣でそこそこの効果が得られると思えばコスパは良いのかもしれませんね。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1 : Mindfulness-based Stress Reduction and Health Benefits. A Meta-Analysis
*2 : Meditation Programs for Psychological Stress and Well-Being: A Systematic Review and Meta-Analysis