ココアを飲むと頭が良くなる?ココアと脳の認知機能についての研究
ココアにはフラボノイドというポリフェノールの一種が含まれていて、抗酸化力が強かったり、血圧を改善したり、心疾患を予防したりと、とにかく健康にいい効果が多いことが分かっています。ダークチョコレートが健康にいいのと同じですね。
そして、ココアの良い効果は体の健康にとどまることなく、脳の認知機能まで改善してくれるということなんです。もちろん老化に伴うボケ防止なんかにも良いということですね。
そこで本稿では、いくつかの研究を参考に「ココアの認知機能改善効果」についてお話ししていきたいと思います。
習慣的にココアを飲んだときの効果
まずココアを習慣的に飲み続けた場合に、脳にとってどんないい効果があるのかの研究結果を見ていきたいと思います。
ココアを飲むと脳の処理能力が上がった
8週間にわたって習慣的にココアを飲んでもらって実験では、
- 少量のココアを飲んだグループ(フラボノイド48mg)
- 中量のココアを飲んだグループ(フラボノイド520mg)
- 大量のココアを飲んだグループ(フラボノイド993mg)
の3つのグループを比較していて、その結果としてフラボノイドが多い人は
- 脳の処理速度が向上した
- 実行機能が向上した
(実行機能とは複雑な課題の遂行や、情報の更新などのこと) - ワーキングメモリーが改善した
ということが分かっています。
つまり簡単に言えば、ココアを飲んで脳のパフォーマンスが向上したということですね。
脳の血流が増加した
続いて、900mgのフラボノイドを3ヶ月間に摂取した実験の結果では
- 脳内の記憶に関連する部分の血液量が増加していた
ということが分かっています。
ココアには血管を拡張する作用があるようで、血圧の低下や心疾患にも良い効果があることで知られているので、脳の血液量が増えるのも納得できる話だと思います。
脳への血液量が増えるということは、血液を通じて脳に酸素やエネルギーが多く送られることになるので、脳が高いパフォーマンスを発揮できるようになるということを意味しています。
BDNFが増加した
12週間にわたって
- フラボノイド(23mg)を摂取したグループ
- フラボノイド(494mg)を摂取したグループ
を比較した研究では、多くのフラボノイドを摂取した人の方が
- 脳内のBDNFが増加した
- 認知能力のテストのスコアも高かった
ということが分かっています。
BDNFは日本語で脳由来神経栄養因子と言って、その名の通りに脳の成長に必要となる栄養のようなものです。BDNFは脳神経をこれまで通り維持したり、新しい神経のつながりを作って脳を成長させるのに必要不可欠なものなんですね。
なので、ココアを飲んでBDNFが増えるということは、ココアが脳の成長や新しい知識の学習を促進してくれているということになります。
ココアを飲んだ後の一時的な効果
コーヒーを飲むと、数十分後には眠気が薄れたり、脳が覚醒したりしますよね。同じように、ココアには飲んだ後の数時間以内でどんな効果があるのかを見ていきましょう。
脳の機能が向上する!
習慣的にココアを飲んだときに得られる効果で説明した脳機能の向上効果は、飲んだ後の短期的な効果としても確認されています。
例えば、どんな研究結果があるのかというと、
- 520mg/994mgのココアフラボノイドを飲んだ人はワーキングメモリーのパフォーマンスが向上した
- 773mgのココアフラボノイドを飲んだ2時間後には、空間を正確に認知する能力や、細かい色の識別をする視覚能力が向上した
というように、ココアを飲んだ後には様々な脳機能が向上することが分かっています。
脳の血流の上がる
脳の血流が向上する効果もココアを飲んだ後の一時的な効果として確認されていて、
- 903mgのフラボノイドを摂取した人は、ストループテストを行っているときの脳の酸素供給が増えていた
- 516mgのフラボノイドを摂取した人は、2時間後には脳の血流が増えていた
ということ。
なので、頭を使う仕事の前にはココアを飲めばパフォーマンスがアップできると思います。
BDNFは増えない
習慣的な効果としてBDNFが増加して脳の成長を促してくれるということでしたが、短期的な効果としてBDNFの増加は得られないようです。
なので、一時的に脳のパフォーマンスを上げたいという人は、その時だけココアを飲めば大丈夫ですが、持続的に脳を維持・成長させたいという人は習慣的にココアを飲んだ方が良さそうですね。例えばボケ防止とかの場合は習慣的に飲む方がオススメですね。
脳が疲弊している時に助けてくれる
睡眠不足で脳が疲れている時にココアを飲んだらいいんじゃないかという研究もあって、
その結果では
- 睡眠不足の人がココアを飲んでも、ワーキングメモリーのパフォーマンスが向上した
ということ。
なのでココアは「頭を使うタスクに取り組むとき」や「脳が疲れているとき」に飲むことで、短期的に脳のパフォーマンスをブーストするのに効果的ということですね。
まとめ
本稿では「ココアの認知機能に良い効果」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- 習慣的にココアを飲むことで、脳機能は向上し、脳の成長が促進される!
- 「高い認知能力が必要なとき」や「睡眠不足などで脳が疲れているとき」にはココアを飲んで短期的に脳機能をブーストできる!
ということですね。
論文で紹介されていた研究の一つによると、「チョコレートの消費量が高い国ほど、資本当たりのノーベル賞の受賞者が多い」という相関があるということ(チョコとココアは同じカカオが原料)。もちろん相関関係なので直接的な因果関係があるかはわかりませんが、他の研究から見てもココアが頭にいいということは十分言えるのではないでしょうか。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1: Enhancing Human Cognition with Cocoa Flavonoids