仕事に運動を取り入れると、仕事にも健康にもいいという研究
「運動が健康に良い」、当たり前ですが大切なことです。
それで、どれだけ運動すればいいのかについてはWHOの推奨運動量があって
- 週に150分の適度な負荷の有酸素運動、または週に75分の激しい有酸素運動を行うこと
- 1回の有酸素運動は最低10分は続けること
- もっと健康効果が欲しければ、最大2倍まで時間を増やしても良い
- 週に2回は筋トレもするのが良い
ということ。
それでWHOの推奨はあれど、なかなかこれだけの運動はできないという人も多いのではないでしょうか。特に仕事の忙しい人はこれだけの運動はするのが難しいかもしれません。研究によると精神的な負荷の大きい仕事をしている人ほど休日の運動が少なくなってしまう傾向があるということ。仕事の疲労で休日のやる気もなくなってしまうのかもしれませんね。
そこで、それなら「仕事に運動を取り入れてあげればいいのでは?」という研究があって、これがなかなか面白かったので、本稿ではその内容を紹介したいと思います。
仕事に運動を取り入れる
この研究はデンマークで行われたもので、15回のランダム化比較試験により、合計3500以上の従業員に対して、仕事中に運動プログラムを取り入れた時の効果を測定しています。
これらの従業員は、コンピューターワーカー、歯医者、エンジニア、清掃業、ヘルスケアワーカー、パイロットなど座りっぱなしの傾向がある様々な業種の人が集められていて、データの規模的にも3500人となかなか信頼できる研究だと考えられます。
それで、運動プログラムには5つのカテゴリが用意されていて、従業員の健康状態に合わせた運動が行われています。
- BMI高い人対象 → 有酸素運動
- 首の痛みや肩こりのある人 → 首・肩の筋トレ
- 腰やお腹の筋力の弱い人 → 大きい筋肉の筋トレ
- 腰の痛みがある人 → 体幹トレーニング
- バランス感覚が悪い人 → バランストレーニング
これらの運動は仕事中に行うように時間が準備されていて、時間の長さは週に1時間以内に収まるくらいということ。実験の期間は15回の実験でまちまちで最低で10週間から最大で2年になるということです、
仕事中に運動を取り入れたときの効果
効果1:体の痛みの軽減
座りっぱなしで仕事をすると腰が痛くなったり、一日中パソコン作業をしていると肩こりに悩まされることもあると思います。
仕事中に運動を取り入れると、こうした筋肉が凝り固まってしまうような体の痛みを軽減されるようで、研究の結果としても
- 仕事中に運動すると、首・腰・腕の痛みが軽減された
という結果が得られています。
ちなみに、どれだけ軽減されるのかというと、痛みを10段階でスケールしたときに、ほぼ半減するくらいの効果があるということです。
効果2:肥満解消に良い
運動はメタボなどの肥満解消に効果があるので、当然仕事中に運動を取り入れた場合でもこの効果が得られて、実験の結果としては
- 仕事中の運動で、BMIが下がった
- 仕事中の運動で、体脂肪率が下がった
- 仕事中の運動で、血中のコレステロール値が下がった
- 有酸素運動で体の心肺機能が上がった
ということ。
運動により肥満が解消されるだけでなく、体の持久力もつくみたいなので、より仕事で疲れにくい体が手に入るかもしれないということですね。
効果3:筋力・筋持久力の向上
筋トレといった運動をすれば筋肉も鍛えられる効果も得られるので、
- 仕事中の運動で、筋力が増加した
- 仕事中の運動で、筋持久力が増加した
という効果も当然得られたとのこと。
筋力や筋持久力が増加すれば、それだけ体が強くなり、体のバランスコントロールも上手くなるので、仕事中も日常生活もより活力的に動けるようになりそうですね。
効果4:仕事のパフォーマンス
最後に、仕事中に運動の時間を作るということは、それだけ仕事の時間が減ってしまうので、パフォーマンスが低下してしまう恐れがあります。
しかし、結果としては
- 仕事中に運動を取り入れても、仕事のパフォーマンスが悪化することはなかった
- 逆に仕事の生産性が向上したという結果もあった
ということ。
仕事中に運動を取り入れることは、健康だけでなく、仕事のパフォーマンス面でも良い効果があるのかもしれませんね。体が健康になれば、欠勤が少なくなるという効果も期待できるので、会社にとっても従業員にとっても良いものなのではないでしょうか。
まとめ
本稿では「仕事中に運動を取り入れたときの効果」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- 仕事に運動を取り入れると、肩こりみたいな体に痛みが減る
- 仕事に運動を取り入れると、肥満解消効果がある
- 仕事に運動を取り入れると、筋力や筋持久力がつく
- 仕事に運動を取り入れると、仕事のパフォーマンスも上がるかもしれない
ということ。
なかなか仕事中に運動していいという会社はなさそうですが、休憩時にちょっとスクワットやるとか、昼休みに同僚とバスケをするみたいな工夫をするだけでも、腰の痛みとかは軽減できるかもしれませんね。
[参考文献]
*1: Exercise is more than medicine: The working age population’s well-being and productivity