1日の中でフロー状態になりやすい時間帯はあるのか?の研究
フロー状態とは今行っていることに最大限集中している状態のことで、時の流れがあっという間に感じるくらい没頭することを言います。
それで、フローが起きやすい条件はいくつかあって
- 自分のスキルとバランスの取れたちょうど良い難易度であること
- ゴールが明確であること
- フィードバックがすぐに得られること
- 行動を自分でコントロールしている感覚が得られること
などがあります。
そして、チューリッヒ大学の研究では、これらの条件の他に
- フロー状態が起きやすい時間帯もあるのでは?
という点を調べてくれていました。仕事は通常朝〜夕方/夜まで連続して働くものなので、フロー状態に入りやすい時間帯が分かれば、それを有効活用して生産性が上げることができるわけです。本稿ではこの研究を参考に、仕事で集中状態を最大限発揮させる方法について学んでいきましょう。
フローと時間帯
この研究では、121名のプログラマーを対象に、朝・昼すぎ・夕方の3つの時間帯でどれだけフローを感じているのかを5日間連続で測定しています。プログラミングは自分のスキルや創造力を発揮する仕事ですし、作ったプログラムちゃんと動くかどうかのフィードバックもすぐに得られるので、フロー状態の条件にもよくあった仕事なんですね。
さらに、この研究では前日の疲れがどれだけ取れたのかの回復度も毎日測定していて、これらのデータから
- 朝・昼・夕方でフローの起きやすいさがどのように変化するのか?
- 前日の疲れが翌日のフローにどれだけ影響するのか
を分析しています。
結果:フローと時間帯
早速実験の結果を見てみると、次のグラフが得られています。
このグラフは横軸が朝・昼・夕方の時間軸を表していて、縦軸がフロー状態を示しています。そして点線が前日からの回復度が高い人、実線が前日から回復度が低い人の結果の曲線となっています。
このグラフから前日からの回復度の違いで異なる現象が読み取れて
- 前日の疲れをしっかりと回復した人は、朝にフロー状態になりやすく、フロー状態は昼に向かってだんだんと低下していく。そして昼休みが終わった後は、夕方に向けてフロー状態はまた高まっていく
- 前日の疲れが残ってしまっている人は、朝からフロー状態は低めで、夕方になるとさらにフロー状態は低下していってしまう。
ということです。
前日の疲れの有無で1日のフロー状態の波が大きく変わるということで、前日の疲れはしっかり取ることが特に大切な注意点ですね。
フローを仕事に活かすには?
この研究から分かったことを仕事の場面に応用するなら
- 前日の疲れはしっかりと回復させること
- 朝から集中力が必要となるタスクに取り組むこと
- 昼に集中力が低下してきてしまったときは、夕方に回復したときにまた集中タスクに取り組むこと
といったことができそうです。昼にはしっかりと休憩して夕方へのフローを回復させるのも大切なのかもしれませんね。
ちなみに今回の実験に参加した121名のプログラマーのフローの波が、ほぼ全員このグラフの曲線状になっていたこともこの研究でわかっています。これは朝にフローに入りやすい人や夕方にフローに入りやすい人のような個人毎の違いはなく、誰でも朝と夕方にフローが高まって昼には落ち込むという波があることを示しています。なので、誰もがこのフローの波を意識して仕事に取り組むことが大切ということですね。
まとめ
本稿では「フロー状態に入りやすい時間帯」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- 前日からの疲れが残っていると、そもそもフロー状態に入りにくいので、疲れはしっかりと取ること
- 前日の疲れを解消できたなら、朝と夕方にフローは高まりやすいので、その時間帯は特に集中タスクを行うと良い
ということですね。
集中力は何時間も続くことはないので、休憩はどうしても必要になります。特に前日からの疲れが残ってしまっていると、朝から集中力をブーストできないので、睡眠時間はしっかりと取った方が良さそうですね。また1時間1回は10分休憩を挟むなど、小まめな回復もフローを高めてくれるかもしれませんね。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1 : Making Flow Happen: The Effects of Being Recovered on Work-Related Flow Between and Within Days