仕事のやる気や集中力を上げるためには、朝一に仕事のリアタッチメントをしよう
仕事のエンゲージメントと言って「モチベーションを高く持ち、仕事に思い入れを持って、そして没頭すること」が大切です。エンゲージメントは会社側から見ても成果を出す上で大切なことですし、働く立場から見ても働きがいを持って仕事に取り組むために大切なことです。
仕事のエンゲージメントを高めるために何をすればいいのか?は色々と研究がされていて、仕事の環境、仕事の内容、従業員の性格とエンゲージメントの関係が調べられたりしています。しかし、仕事の環境とか性格とかは個人ではなかなか変えられないもの。
そこで、「個人でもできてエンゲージメントを高める方法はないか」について調べたマンハイム大学の研究(*1)では、
- 朝一に仕事のリアタッチメントをするだけで、1日を通して仕事のエンゲージメントが向上できる
ということが確認されていました。本稿ではこの研究を参考に、毎日生き生きと集中して働くテクニックを学んでいきましょう。
仕事のリアタッチメントとは?
仕事のリアタッチメントとは、仕事から離れている頭を仕事へと再び向けてあげることです。そのため、リアタッチメントは仕事モードになっていない朝一にやると良いと言われています。
具体的に何をするのかというと
- 今日やることを書き出す
- 時間の割り振りやスケジュールを決める
- 仕事のシミュレーションを頭の中で行う
- 仕事でつまづきそうなことを想定する
といった感じのことです。要するに今日の仕事に対する頭の準備のようなものですね。スケジュールとか、1日のやることが明確でないと、だらだらと1日を過ごしてしまうことってありますよね。リアタッチメントはそれを防いで仕事へのエンゲージメントを高めてくれるわけですね。
これまでの研究により、仕事のリアタッチメントをすると、日中の仕事のエンゲージメントが向上することは実際に分かっています。しかし、仕事のリアタッチメントがなぜ効果があるのか?までは分かっていないということで、マンハイム大学の研究が深掘りして調べてくれているんですね。
仕事のリアタッチメントの具体的効果
マンハイム大学の研究では、リアタッチメントが仕事のエンゲージメントを高めるための具体的効果として
- 目標の明確化
1日の仕事の目標が明確になる - 仕事の集中力の向上
リアタッチメントで目標が明確になると集中力が上がる - ポジティブ感情の向上
目標の達成や日々の業務の進捗感がポジティブな感情を生む - サポートの向上
仕事の障害を事前に予測することでサポートを適切に受けられるようになる - コントロール感の向上
仕事を自分でコントロールしている感覚が向上する
ということがエンゲージメントの向上に関係しているとしています。
そして、この説の妥当性と確かめるために、151人の社会人を対象にリアタッチメントの具体的効果を測定しています。測定の期間は1週間(月〜金)で、朝と仕事終わりの2つのタイミングでデータを取得しています。
リアタッチメントにはさまざまな効果がある
データの分析の結果を見てみると、
- 仕事のリアタッチメントは、仕事の目標を強めた(r=0.19)
- 目標が明確になると、仕事の集中力が高まった(r=0.50)
- 目標が明確になると、ポジティブ感情が高まった(r=0.31)
- 目標が明確になると、サポートが高まった(r=0.19)
- 目標が明確になると、コントロール感が高まった(r=0.16)
ということ。
つまり、仕事のリアタッチメントは、単純にエンゲージメントを高めるだけでなく、その中にはより具体的な様々な効果が詰まっているということ。特に仕事の集中力を向上させる効果が強い(r=0.50)ので、日中だらけてしまう人は毎朝その日のやることと目標を明確にすると良いでしょう。
エンゲージメントはなぜ上がるのか?
続いて、先程の具体的な効果のうち、どの効果が最終的にエンゲージメントを向上させているのかを見てみると
- 集中力の向上はエンゲージメントを向上させた(r=0.09)
- ポジティブ感情はエンゲージメントを向上させた(r=0.36)
- サポートの向上はエンゲージメントを向上させた(r=0.15)
- コントロール感の向上はエンゲージメントを向上させた(r=0.31)
ということ。
どの効果も最終的にエンゲージメントを向上させていますが、特に効果が高いのはポジティブ感情とコントロール感の向上です。なので、スケジュールや目標を自分の思うようにコントロールしていくこと、そして、その目標を日々達成したり進捗していくことで得られるポジティブ感情が、エンゲージメントを大きく向上させているのでしょう。
まとめ
本稿では「仕事のリアタッチメントとエンゲージメントの向上」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- 仕事のリアタッチメントとは、朝一で1日のスケジュール確認や目標設定をして、頭を仕事モードにすること
- 仕事のリアタッチメントをすると、日中の集中力・ポジティブ感情・周囲のサポート・仕事のコントロール感が向上する
- 特にポジティブ感情と仕事のコントロール感の向上は、最終的にエンゲージメントの向上につながる
ということ。
仕事のリアタッチメントは朝一の5分程度でもできる簡単なことなので、是非とも習慣にしていきたいですね。休みの日でも1日中だらだらして無駄にしてしまうときなんかは、朝一にスケジュールを明確にしてあげると良いでしょう。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1 : Morning Reattachment to Work and Work Engagement During the Day: A Look at Day-Level Mediators