チームの一体感を高めるには目標設定が大切
本稿では、McGill大学の研究のより
チームの一体感を上げるには目標設定が大切だ!
という話をしたいと思います。
スポーツの世界では、スター選手が集まったドリームチームがあっさり負けてしまうことがよくあります。
チームスポーツでは個々の能力も大切ですが、やはりチームワークの方が重要ということですね。
目標設定が一体感を上げる
McGIll大学の研究では86人のバスケットボールの選手を対象に
チームの目標設定をした場合としなかった場合で、
シーズン終了後にチームの一体感に違いが出るのかを確かめています。
一体感はGEQという測定方法で、
4種類のサブカテゴリに分けて測定しています
①メンバー同士の親密さを感じるか
②タスクへのチームの団結感を感じるか
③個人的に他のメンバーが好きか
④個人的にチームのやり方が好きか
これらの4つの一体感のスコアが
シーズンの前後でどのように変化したのかというと、
一体感 | 目標設定ありグループ | 目標設定なしグループ |
① | +0.25 (6.22→6.47) | -0.99 (6.05→5.06) |
② | +0.57 (6.06→6.63) | -0.44 (5.76→5.32) |
③ | +0.21 (6.50→6.61) | -0.92 (6.23→5.31) |
④ | -0.05 (6.77→0.72) | -1.15 (7.03→5.88) |
ということで、
目標設定をしたグループは一体感が上昇した!
逆に、目標設定をしなかったチームは一体感が下がってしまった!
という結果が得られています。
目標設定をしないとチームの一体感はシーズンを通じて下がっていってしまうという面白い現象が起きていますね。
目標設定が大切なのがよく分かります。
チームの目標設定の方法
目標設定をすると一体感が上がるとなると
具体的にどう目標設定をすればいいのか?
が気になりますよね。
それでは、実際に研究で行なっていた目標設定の手順を見てみましょう。
①ゴールを決める
最初に行うことはゴールを決めることです。
ここで大切なことは長期のゴールと短期のゴールの2つを決めること。
例えば、
長期のゴールが全国大会でベスト4なら、
短期のゴールはまずは地区予選で3勝する
といった具合です。
ゴールを決めるときに大切なことは、ゴールはコーチが決めるのではなく、
チームメンバーで話し合って決めることです。
チームの一体感を高めるにはメンバーの一人一人が主体的にチーム活動に参加していることが大切だからです。
②ゴール達成のために何をするのかを決める
長期と短期のゴールが決まったら、
そのゴールを達成するために何をするべきかを決めます。
大切なのはその決め方で、研究では次のような手順を組んでいます。
- メンバー全員にゴール達成のためにやるべき10個の候補を渡す。
例えば、バスケなら、
・1試合の得点数の向上
・リバウンドの獲得率向上
・フリースローの成功率向上など - 全員に自分がチームに必要だと思う4個を選んでもらう
- 5人ほどの小グループに分かれて話し合い、小グループで4個を決める
- 最後に全員で話し合い、チーム全体でやるべきこと4つを決める
個人→小グループ→全体という手順で決めていて、なかなか面白いですよね。
実はいきなり全体で話し合うと、あまり話さない人とめちゃくちゃ話す人みたいな偏りが生まれてしまうんですけど、
個人や小グループで話すことで、しっかりとみんなの意見を聞き入れることができて、メンバーの主体性や納得感を上げることができるのがこの方法の狙いみたいなんです。
③達成基準を決める
チームとしてやるべきことが決まったら、その達成基準を決めます。
ここでは、1試合の平均得点数を3点を目指そうなど、具体的な数値を決めていきます。
このときも②と同じで、個人→小グループ→全体の順で決めます。
- 昨年の実績をメンバーに共有する
- 個人で達成基準を決める
- 小グループで達成基準を決める
- チーム全体で達成基準を決定する
ここまでくると、「自分がこれをできるようになれば、この基準まで達成できそうだ」などと考えられるので、達成基準を話し合うことで、具体的に各自がチームのためにできる行動までイメージできれば良いですね。
④目標をリマインドする
目標設定の手順としては③で終了です。
目標が設定できたら、あとは達成に向けて目標を追求していくのみです。
そのためには、目標を常に忘れないように
- ロッカーに目標を張り出す
- 目標に対する進捗を確認してフィードバックする
- 必要に応じて目標や達成基準の修正をする
といったことを行なっていけばOKです。
まとめ
以上、本稿ではMcGill大学の研究を参考に
・チームの一体感を上げるには目標設定が大切!
ということを説明しました。
効果的な目標設定の手順は
- 長期・短期のゴールを決める
- ゴール達成のためにやるべきことを決める
- 達成基準を決める
- 1〜3で決まった目標の進捗をモニタする
この手順の中で大切なことは
・個人→小グループ→チーム全体の順で決めること
ということでした。
今回はスポーツのチームで説明しましたが、
仕事のチームなどにも十分活用できるのではないでしょうか。
ご参考になれば、ぜひ活用してみてください。