明日買うと1ヶ月後買うでは、物の選び方の心理が変わる

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今回は何か商品などを選ぶときに、

商品を選ぶタイミングによって、選択する商品が変わってしまう

という心理学の実験(link)が面白かったので紹介します。

例えば、誕生日プレゼントを選ぶとして、

1ヶ月前にプレゼントを準備しておくか、
2日目にプレゼントを買いに行くか

で選ぶプレゼントが変わるというんですね。

実験1

この実験では131人の参加者を2つのグループに分けています

  1. 2日後に自動車を購入することを考えてもらったグループ
  2. 1ヶ月後に自動車を購入することを考えてもらったグループ

そして、各グループに2つの広告を見せてどちらの広告に魅力を感じるかを聞いたんですね。

  1. 最先端の自動車を勧める広告
  2. 欠点のない無難な自動車を勧める広告

結果

実験の結果何がわかったのかというと

  • 2日後に購入を迫られたグループでは無難な自動車の広告が好まれた
  • 1ヶ月後と購入まで時間のあるグループは最先端の自動車を勧める広告が好まれた

ということです。つまり、

  • 購入までの時間が短いと、人は失敗しない選択を重視する
  • 購入までの時間が長いと、人は最高の結果を求める選択を重視する

目標の方向性が
最高のプラスを得ることから、
失敗しないようにマイナスを回避することへと
時間とともに変わっていってるんですね。

実験2

実験2では長期連休の旅行の選び方で同様の実験をしています。
101人の参加者を次の2つのグループに分けています。

  1. もう終わりかけの夏休みの最後をどう過ごすかを考えてもらったグループ
  2. 次の冬休みをどう過ごすかを考えてもらったグループ

グループ1はまさに明日以降のことで、
グループ2はまた1ヶ月以上ある状態ということですね。

そして、これらグループに次の2つの旅行の広告を見せて、
旅行にいくらまでなら払えるかを答えてもらいます。

  1. 「最高の思い出を作ろう!」というメッセージの広告
    つまり、思い出というプラスを作ることに注目させるにした広告
  2. 「せっかくの休みを無駄にしてはいけない!」という広告。
    つまり、時間の無駄というマイナスを回避することに注目させる広告

結果

その結果、旅行に支払ってもいい金額は、

  • もう終わりかけの夏休みのグループ
    プラス獲得の広告 : 平均494ドル
    マイナス回避の広告: 平均672ドル
  • 次の冬休みのグループは
    プラス獲得の広告 : 平均581ドル
    マイナス回避の広告: 平均415ドル

ということで、時間による広告の好みの変化は実験1と同じです。

この実験で面白いのは実際に払ってもいい金額を測定していること。
購入までの時間に応じて広告のメッセージを変えるだけで、
払っていい金額が30%〜40%も増えているんですね

実験3

実験3では少し工夫をしていて、
全ての人に2週間後に製品を購入することを考えてもらいます。
ただし、

  1. たった2週間しかないという言い回しで伝えたグループ
  2. まだ2週間もあるという言い回しで伝えたグループ

というように、同じ2週間でも言い方で短く感じさせグループと、長く感じさせたグループに分けたんですね。

この実験でも、プラスの獲得に注目した広告とマイナスを回避することに注目した広告の2種類を見せます。

実験3で面白いのは、広告を見たときに参加者が心の中でどんなことを考えているのかまで測定しています。
例えば、失敗することへの恐怖や、購入した時の喜びなどですね。

結果

その結果、わかったことは、

  • 同じ2週間でも参加者が短く感じているか、長く感じているかで、実験1,2と同様に広告の好みが変わった
  • 時間を短く感じている人が強く考えていたのは
    ①ダメな製品を買ってしまう失敗への不安
    ②この製品がどのように自分に必要な基準を満たすのか(How)

  • 時間を長く感じている人が強く考えていたのは
    ①良い製品を手に入れたときの喜び
    ②この製品がなぜ自分にとって必要なのか(Why)

ということです。

つまり、購入までの時間が迫るほど、
失敗への不安が大きくなってしまって、
より無難な選択をするようになるんですね

まとめ

以上をまとめると、時間とともに購入の選択の仕方は変化して、

  • 購入までの時間が短いと、失敗を避ける無難な選択をするようになる
  • 購入までの時間が長いと、最高の結果を求める選択をするようになる

という事がわかりました

では、なぜ選択の好みが変わるのかというと

  • 時間が短いと、自分の必要な基準を製品が満たすのかを具体的に考えるようになり、ダメな製品を買ってしまう不安が強くなってしまうので、マイナス回避思考で無難な製品を選ぶようになる。
  • 時間が長いと、この製品があれば自分にこれだけメリットがあるという理由探しが強く、製品を手に入れたときの喜びを強く感じるので、プラス思考で最高の製品を選ぶようになる。

という事ですね。

確かに、3年後に何をしたいかって聞かれると大きな夢を語れますけど、
明日何をしたいかって聞かれると現実的になってしまいますもんね。

こういった心のバイアスを理解しておけば、
失敗の不安に負けずに最高の選択をできるんじゃないでしょうか。

以上、本稿はここまで。

Naoto

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