自己効力感を高めるためには何をするのが有効か?の研究

自己効力感とは、何らかの課題に直面したときに、その課題を自分ならうまく対処できるはずだという期待や自信のことで、実は自己効力感は困難な課題や状況を乗り越えて自分の人生を掴み取る上でも大切な要素なんですね。

例えば、自己効力感が高いことのメリットとしては

  • アルコールの摂取量をうまくコントロールできる
  • 禁煙に成功しやすい
  • 運動を継続できる人が多い

など、自己効力感が持てると自己コントロールが上手くなることわかっているんですね。

そこで、問題となるのが

  • 自己効力感はどうやったら高めることができるのか?

ということで、本稿ではこの問題について考えていきます。

自己効力感を高める4つの方針

心理学の研究によると、自己効力感を高める方法には大きく4つの方針があります。

①達成経験を作る
過去に自分自身で達成したり成功した経験があると、次に同じ状況に直面したときに自信を持って取り組めますよね。なので、自己効力感を高めるためには少しずつ達成経験を作ってあげることが大切です。例えば、運動を習慣にしたいなら、まずは5分の運動から始めるなど難易度の低い目標から始めて、自信を高めながら徐々に目標を上げていくというような方法が有効です。

②代理経験を作る
代理経験とは自分でなく他人が達成したり成功したりすることを観察することです。例えば、努力して成功を掴み取った人の話を聞くと自分も頑張ろうと思いますよね。

③言語的説得を得る
これは一番分かりやすい方法で、他人から自分の能力についてフィードバックをもらったり、励ましの言葉をもらうことで、自分の能力への自信を高める方法です。

④メンタルを整える
感情など心理面を整える方法です。例えば、不安などのネガティブな感情をうまく抑制したりする方法です。自信をなくしてしまっているときは自分を過小に評価しがちなので、冷静かつ客観的に自分を見直してみることも大切です。

実際に有効なのはどれかの実験

続いて、自己効力感を高めるための4つの指針にどれだけ効果があるのかを調べた研究(*1)を見てみましょう。

この研究では、自己効力感を高める方法を調べた27件の研究をメタ分析でまとめてくれています。これらの研究の総対象者数6787人のデータを分析した結果として、まず分かったことは

  • 4つの指針の方法を全て平均してみると、自己効力感の向上効果の効果量はd=0.16

ということで、平均してみると効果量は小さめの値となっています。

しかし、これはあくまで平均の話で、これらの27件の研究の中にはあまり効果のなかったものもあれば、効果が高かったものもあったということ。そこで、これらの研究の中で効果が高かったものの特徴は具体的に何か?ということを深掘りして調べてくれていますので、その結果を見てみましょう。

自己効力感を高める効果が高かった方法

  • 代理経験
    他者の成功体験をみたり聞いたりする方法は有効だったということ
  • フィードバック
    自分が他の参加者と比べてどのくらいの能力かのフィードバック、あるいは過去の自分の能力と比べてどのくらい向上しているかのフィードバックをもらう方法
  • 他人によるゴールの設定
    ゴールを設定することでモチベーションを高める方法。
    自分でゴール設定をした場合よりも他人にゴール設定してもらった方が効果が高かったということです。ちなみに、これがなぜなのかというと、自分でゴール設定すると高すぎる目標を設定してしまうからではないかということでした。

自己効力感を高める効果があまりなかった方法

  • 達成経験
    簡単な目標から始めて徐々に難易度を上げていく方法。自己効力感という意味では、簡単すぎるとあまり自信につながらないのかもしれないということ。ただし、自己効力感だけでなく長期的に習慣化することも考えると、簡単な目標から始めるのは有効だとも言えるので、この方法は悪い方法というわけではありません。
  • 言語的説得
    励ましの言葉のみでは自己効力感を高める効果はあまりなかったということ。なので、この方法を使うのなら他の方法と組み合わせて使った方が良いとのこと。
  • 失敗を予測して対策する方法
    あらかじめどんな失敗があり得るかを考えて事前に対策を考えておく方法です。例えば、ダイエットならお菓子が食べたくなったらナッツにするなどの対策を考えておくということですね。この方法はゴールの達成率を高める効果はありますが、失敗というマイナス面を考えるので自己効力感を高める効果はないようです。

まとめ

本稿では、自己効力感を高める方法についてお話をしました。

ポイントをまとめると、自己効力感を高めるのに有効なのは

  • 他人の成功を参考にしてモチベーションをもらう
  • 自分の能力に関するフィードバックをもらって成長を感じる
  • 優しすぎず難しすぎない適切な難易度の目標を設定する

ということですね。

フィードバックという意味では、自分の成果を自分自身で記録するのも有効だと思います。例えば、ジョギングなら先週は合計15kmだったけど、今週は合計20kmジョギングできた!来週は22kmを目標にしよう!みたいな感じで、自分の成長を感じながら、次の目標設定もうまくできそうで良さそうですね。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]
*1: What is the best way to change self- efficacy to promote lifestyle and
recreational physical activity?

Naoto

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