報酬で内発的モチベーションを上げるために大切なポイントとは何か?

本稿のテーマは「報酬で内発的モチベーションを上げる方法」です。

まず心理学の研究ではモチベーションを、内発的モチベーションと外発的モチベーションの2つに分ける考えがあります。

内発的モチベーションはその行動が好きだから行うという、対象の内部に見出すモチベーションなのに対して、外発的モチベーションはお金のためや義務だからなど、その行動自体とは関係ない外部のモチベーションのことを言います。

そして、外発的モチベーションには悪い効果があると言われていて、例えばお金などの報酬で行動を促すと、その行動の目的がお金のためになってしまって、行動自体へ内発的モチベーションが失われてしまうというんですね。

内発的モチベーションは特にクリエイティブな仕事のパフォーマンスを高める効果があるので、報酬で内発的モチベーションが損なわれてしまってはまずいわけです。

一方で給与に代表されるように報酬は仕事にとって欠かせないものでもあるので、できれば内発的モチベーションを下げないようにうまく報酬を設定しなければいけないというわけですね。

報酬で内発的モチベーションを上げるには

この問題の参考になるのがポツダム大学らの研究(*1)です。この研究では「報酬はあるポイントを間違えると内発的モチベーションを下げてしまうけど、逆にそのポイントをうまく抑えれば内発的モチベーションを上げてくれるのでは?」ということを調査してくれています。

それで、そのポイントが何かというと「コントロール感」ということなんですね。

コントロール感と内発的モチベーション

コントロール感とはどれだけ行動を自分でコントロールできているのかの感覚です。他人に言われて行動している場合や、会社の報酬につられて行動している場合には、自分でコントロールしている感覚は薄れてしまうわけですね。

報酬が内発的モチベーションを下げてしまう現象をコントロール感で考えてみると、

会社がこれだけの業績を出したらこれだけの報酬をあげると提示する
→会社が報酬で自分をコントロールしようとしていると感じる
→仕事の主体が他人になって内発的モチベーションが下がってしまう。
→主体性がないので自尊心や有能感も低下してしまう。

という感じで、仕事を自分でコントロールしている感覚が失われることは、働きがいや仕事のパフォーマンス面で悪い効果が多いことが確認されているんですね。


一方で仕事を自分でコントロールしている感覚がある人は

会社が報酬を提示する
→仕事は主体的に自分でコントロールしていると感じている
→報酬は自分の働きぶりを評価してくれた結果で、報酬は自分をサポートしてくれていると感じる
→もっと頑張ろうと内発的モチベーションが高まる!
 仕事のパフォーマンスも向上する!

という感じで、コントロール感がある場合には報酬の認知の仕方がまるっと変わって、報酬が内発的モチベーションの向上につながるということです。

報酬が自分をコントロールを奪おうとしていると感じるのか、それとも報酬は自分をサポートしてくれていると感じるのかで、効果が真逆になってしまうというわけです。

コントロール感を損なわない報酬とは?

そして、この研究の本題は「コントロール感を損なわないように報酬を設定するためのポイントは何か」という点です。この研究ではドイツの従業員を対象に、個人の業績に応じてもらえる業績給と内発的モチベーションの関係を調査してくれています。


そして、その調査の結果として分かったことは

  • 報酬が自分をコントロールしようとしていると感じている人ほど内発的モチベーションは低かった
  • 報酬の透明性・公平性・参加性が高いほど、内発的モチベーションは高まった
  • 透明性・公平性・参加性が高い報酬は、コントロール感を損なわなかった

ということ。つまり報酬で内発的モチベーションを高めるためには、報酬の透明性・公平性・参加性を高めることが大切ということですね。


さらに報酬の設定だけでなく、従業員の性格などの内面も、報酬の捉え方に関係していることが分かっていて

  • 神経性傾向が高い性格の人は、報酬が自分をコントロールしようとしていると感じやすかった
  • 社会のために役に立ちたいというモチベーションが低い人ほど、報酬が自分をコントロールしようとしていると感じやすかった

ということで、神経性傾向が高くてメンタルが敏感な人や、社会のためといったより大きなモチベーションを持たない人は、特に報酬のコントロール感に敏感だということです。こういった人には特に報酬の渡し方に注意をした方が良さそうですね。

まとめ

本稿では「報酬で内発的モチベーションを上げる方法」についてお話ししました。

ポイントをまとめると

  • 主体的なコントロール感を持たせれば、報酬は内発的モチベーションを上げてくれる!
  • 逆に報酬がコントロール感を奪ってしまうと、内発的モチベーションは下がってしまう!
  • コントロール感を持たせるポイントは、報酬に透明性・公平性・参加性を持たせることが大切!

ということです。

報酬が自分を支配しようと感じさせるのでなく、報酬は自分をサポートしてくれる味方だと思わせることが重要みたいですね。お金でつって行動させるのではなく、主体的に行動してもらって、その行動に報酬で良いフィードバックするみたいな感じが良いのかもしれませんね。


[参考文献]

*1: Making performance pay work – The impact of transparency, participation, and fairness on controlling perception and intrinsic motivation

Naoto

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