自制心を鍛えるには、誘惑に立ち向かわなければいけないという研究

勉強しなければいけないのにゲームをやってしまったり
ダイエット中なのにお菓子を食べてしまったり
目先の誘惑に自制心が負けてしまうことってどうしてもありますよね。

それで、こうした悪い行動を減らすための対策としてよく言われるのは「環境を整える」です。お菓子を家に置かない、図書館で勉強するなど、自分の周りから誘惑を無くせばいいわけですね。

もちろんこの方法は大きな効果があるのですが、ちょっと待った!をかけるのがヴァーへニンゲン大学の研究です。この研究では「誘惑を回避したら確かに悪い行動は減らせるけど、誘惑に打ち勝つ自制心は得られないんじゃないの?」と言っているんですね。

確かに家の中のお菓子を全て捨てれば、家の中ではもうお菓子は食べなくて済みますが、ちょっと外出した先でお菓子が並んでいたら誘惑に負けてしまいますよね。

そこで、この研究では

  • 誘惑に打ち勝つ経験を積むことが自制心を強くしてくれるのか?

を実験により調べてくれているんですね。

自制心は鍛えられるのか?

この研究では63人の小学生を対象にして、自制心を鍛える実験をしています。

どうやって鍛えたのかというと、今すぐにアメを一つ食べてもいいけど、少しの間だけ我慢できたらアメを3つにしてあげるよと言って、目の前にアメがあるけどアメを食べないで我慢する訓練を4日間連続で作ったんですね。

アメの誘惑に打ち勝つ訓練をしたグループに対して、比較対象となるもう半分のグループはアメの代わりにおもちゃ(ビー玉)で自制心を鍛えています。

それで、5日目にアメを好きなだけ食べられる時間を作って、アメを食べすぎないように自制心を働かせられるのかを測定しています。アメで訓練したグループは過去の経験からアメを我慢する方法を心得ているので、5日目に食べるアメの量が少なくなるという想定ですね。

結果:アメの訓練の効果

それで結果がどのようになったのかというと

  • 男子の場合にはアメの訓練もおもちゃの訓練でも、自制心に差は出なかった
  • 女子の場合にはアメで訓練した人の方がおもちゃで訓練した人よりも、5日目にアメを我慢できた

という結果になっています。残念ながら男子ではアメの自制心は向上しなかったようですが、女子に対したは訓練が効いたみたいですね。

ちなみに、アメの好みやアメをどれだけ美味しく感じたのかも測定はしていますが、これらは男女で差がなかったということなので、アメの好き嫌いは男女差の原因ではないということです。

2つ目の実験

そして、この研究ではもう一つ面白い実験をしています。この実験でも同じくアメの訓練をするのですが、このときにグループ分けを次の3つに変えているんですね。

  1. ホットグループ
    アメのホットな特徴(誘惑的な特徴)を考えながら、アメを食べるのを我慢する訓練をする。ホットな特徴とは「このアメはフルーツの果汁が使われていて美味しそうだ」といった感じです。
  2. クールグループ
    アメのクールな特徴(誘惑的でない特徴)と考えながら、アメを食べるのを我慢する訓練をする。クールな特徴とは「このアメの形は楕円だ」といった感じです。
  3. コントロールグループ
    アメでなくオモチャ(ビー玉またはステッカー)をもらうのを我慢する訓練をする

想定としては、ホットなグループは意図的にアメの魅力をあげつつも我慢しているので、一番自制心が鍛えられるだろうということですね。

結果:ホットな誘惑に打つ方が鍛えられるのか?

この実験ではアメをもらえたとき唾液の分泌量と、アメをどれだけ美味しく感じたのかを測定して、その結果は

  • 男子は3つのグループで特に差はなかった
  • 女子のホットグループは、他の2つのグループと比べて、唾液の分泌量が少なく、アメのおいしさも低く評価していた。

ということ。2つ目の実験でも男子には我慢の訓練は効果がなかったけど、女子には訓練の効果ありということ。そして、女子の方では想定通りに、意図的に強い誘惑に打ち勝った人の方が、その誘惑に強くなったという結果になっていますね。

それでなんで男女差が出るのかについて研究者が推測しているのは、「食べ物の誘惑は女子の方が敏感で、男子は食べ過ぎとかあまり気にしない傾向があるのが関係しているのかもしれない」ということ。なので、他の誘惑では男子でも自制心の訓練は効果があるかもしれないですね。

まとめ

本稿では「誘惑に勝つことで自制心は鍛えられるのか?」についてお話ししました。

ポイントをまとめると

  • 食べ物の誘惑に関して、女子は誘惑を我慢する経験を積むことで、誘惑に強くなった!
  • なので、誘惑は回避せずに意図的に打ち勝つ経験を積むことで、自制心は鍛えられる可能性がある

ということですね。

誘惑に完全に打ち勝てなかったとしても、少しずつ誘惑に打ち勝つ訓練ができればいいのではないでしょうか。例えば、ケーキを食べたいときにナッツで済ますとか、ゲームをやりたいけど5分だけでも勉強をやっておくとかで徐々にレベルを上げていけば、自制心も少しづつ鍛えられていくと思います。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : Towards a Behavioral Vaccine: Exposure to accessible temptation when self-regulation is endorsed enhances future resistance to similar temptations in children.

Naoto

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