職場でネガティブな感情を出してしまっても、情熱を見せると有能に見えるという研究

働いていると、上司や同僚との人間関係の問題や、突発的なアクシデントなど、何かとネガティブな出来事は起きてしまうものです。

データによると、仕事でこれまでにネガティブな出来事に遭遇したことがある人は99%にもなって、なんの悩みの種なく働いてきた人はほぼいないということです。また、1週間に一度はネガティブな出来事があるという人は54.5%ということなので、半数以上の人は毎週何らかしらの新しい悩みの種を抱えているわけです。

そして、このようなネガティブな出来事に遭遇したときに難しいのが感情の処理です。感情をそのまま外に出してしまうと、同僚に不快感を与えてしまったり、自分が嫌われたり無能だと思われてしまう可能性があります。そのため、多くの人は感情をグッと我慢して押さえ込むと思いますが、それはそれでメンタルに良いものとは言えませんし、時には抑えきれずに溢れ出てしまうものです。

そこで、ハーバードビジネススクールの研究(*1)では

  • ネガティブな感情を思わず出してしまっても、それを情熱につなげて見せれば有能に思われるのでは?

ということを実験してくれていて面白かったので、本稿ではその中身を見ていきましょう。

情熱の後付けと有能感

実験1:泣いた後の情熱

この実験では、三人チームで働くメンバーの一人が、ある日突然泣き出してしまうというストーリーを読みます。このときに参加者は4つのグループに分けられて、それぞれストーリーの最後が若干異なります。

  1. コントロールグループ
    メンバーが泣いて何も言わずにストーリーが終わる
  2. 情熱グループ
    泣いたメンバーが最後に「ごめんなさい、このプロジェクトにすっと情熱を注いできたから」と言う
  3. 感情グループ
    泣いたメンバーが最後に「ごめんなさい、感情的になってしまって」と言う
  4. 謝るだけグループ
    泣いたメンバーが最後に「ごめんなさい」と謝るだけのグループ

それで、各グループでこの泣いたメンバーがどれだけ有能だと思うかを評価してもらったんですね。

その結果が次の表の通り

泣いたメンバーの評価
コントロールグループM=3.06 (SD=0.81)p=.01
情熱グループM=3.68 (SD=1.07)
感情グループM=3.25 (SD=0.92)p=.01
謝るだけグループM=3.39 (SD=0.94)p=.09

泣いた後に情熱を見せた場合にメンバーの評価は一番高くなっています。なので、思わず不満を口に出してしまったり、テンパって焦ってしまったりしたときには、「自分が情熱を持っているだから」とネガティブな感情を情熱につなげてあげればいいわけですね。

実験2:

実験1ではストーリー上の架空のメンバーの評価なので、実験2では実際に顔を合わせて話した相手の評価をしてもらっています。この実験では202人に話し手と聞き手の2人ペアを作ってもらって

  1. 話し手は自分が経験したネガティブな出来事を説明する
  2. 聞き手と話し手でその経験についてディスカッションする
    半分の話し手はできるだけ情熱的に答えるように指示されていて、残りの半分はできるだけ感情的に答えるように指示されている
  3. 最後に聞き手に話し手のことを評価してもらう

という手順で実験をしています。

それで話し手の評価の結果は

評価
情熱的に答えた話し手M=5.59, SD=0.80
感情的に答えた話し手M=5.22, SD=0.95p=0.49

ということで、現実世界の評価でも、ネガティブな感情の後には情熱を見せた方が有能だと評価がされています

実験3:職場による違い

実験3では様々な会社の人を集めて、職場によって情熱の効果が変わるのかを調べています。感情を表に出しやすいフレンドリーな会社もあれば、感情を出しにくい堅苦しい職場もあるので、その違いの影響を調査してくれたんですね。

その結果が次にグラフで

縦軸が評価の高さで、横軸は左から順に感情が出しやすいゆるい会社、中程度の会社、感情を出しにくい会社と並んでいます。左のドット柄の棒グラフが情熱を見せた場合で、右の塗り潰された棒グラフが感情を見せた場合です。

このグラフから分かることは

  • 普段からネガティブな感情を出しにくい会社ほど、ネガティブな感情を出してしまったときに評価がガクッと下がる
  • だけど、普段からネガティブな感情を出しにくい会社ほど、ネガティブな感情の後で情熱を見せたときの評価の高まりが大きい
  • 普段から感情を出しやすい会社では、情熱を見せてもあまり評価は変わらないし、そもそもネガティブな感情を出しても評価も下がりにくい

ということです。

ネガティブな感情を出しにくい会社ほど、ネガティブな感情を出している人を見ることが少ないので、それだけ過敏に反応してしまうのかもしれませんね。しかし、情熱で評価を取り戻すことができるので、思わずネガティブになってしまった後には情熱を見せつけましょう。

まとめ

本稿では「情熱でネガティブな感情を良い評価に変える方法」についてお話をしました。

ポイントをまとめると

  • 職場でネガティブな感情を表に出してしまうと、周りの人からの評価が下がってしまう
  • しかし、ネガティブな感情も情熱につなげることができれば、評価を上げることができる
  • もともとネガティブな感情も言いやすいフレンドリーな会社では、ネガティブな感情で評価は下がりにくいし、情熱もあまり効果はない

ということですね。

ネガティブな出来事があってピンチなときほど、それに情熱をむけていることをアピールすると良い評価がもらえるということですね。思わずネガティブなことを行ってしまったときには、情熱アピールをしましょう。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : Managing perceptions of distress at work: Reframing emotion as passion

Naoto

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