幸福感を長続きさせるには、環境でなく行動を変えた方が良いという研究

ポジティブ心理学などにより、幸福感を高める方法が研究されていて

  • 毎日良かったことを3つ日記に書くと幸福感が高まる
  • 他人のためにお金を使うと幸福感が高まる
  • 自分の強みを活かすと幸福感が高まる

など、実際に有効な方法が見つかっています。

しかし、これらの研究は幸福感の変化を短期的に調べたものが多くて、

  • 長期的に幸福感を高く維持するにはどうすればいいのか?

はまだ研究が少ないようです。

しかし、この問題に注目したミズーリ大学らの研究(*1)もあって、

  • 環境の変化による幸福感の向上よりも、行動の変化による幸福感の変化の方が長続きするのでは?

ということを実験してくれていたので、本稿ではその中身を見ていきましょう。

幸福感は持続的に向上できるのか?

幸福感を持続的に向上するためには、いくつかの問題点があって

  1. 遺伝によるセットポイント問題
    幸福感は遺伝による影響も受けることがわかっていて、幸福感の50%は遺伝で決まって変えられないと言われている
  2. 快楽のトレッドミル問題
    新しい車を買ったなどの喜びも時間とともに慣れて幸福感は薄れていってしまう

というようなことが持続的な幸福感の向上を妨げてしまいます。


そこで、幸福感を3つの要素に分けて

  • 幸福感 = ①遺伝による幸福 + ②環境による幸福 + ③行動による幸福

とする考えがあります。

「環境による幸福」とは収入が増えたとか、住む場所が変わったとか、仕事が変わったとか、自分の周りの環境が変化することから得られる幸福のことです。一方で「行動による幸福」とは運動を始めたとか、新しいキャリアのための勉強を始めたとか、家族と過ごす時間を増やしたとか、自分が意識的に行動することから得られる幸福感のことです。

遺伝による幸福は生まれつきで変えられないもの。環境による幸福は一時的な快楽で時間が経つと慣れてしまう。しかし、行動による幸福なら慣れることなく持続的に幸福感を高めてくれるのではないかと考えられるわけですね。

環境の幸福 vs 行動の幸福

それでミズーリ大学らの研究では、

  • 環境の幸福と行動の幸福のどちらが長続きするのか?

を実験により調べてくれています。

まず最初の実験では146人の参加者を

  1. 最近、環境が変化して幸福感が向上した人
  2. 最近、行動が変化して幸福感が向上した人

の2つのグループに分けています。そしてこれらの人に対して

  • その変化をどれだけ意図的に行ったか?
  • その変化のためにどれだけ努力したか?
  • その変化に今どれだけ慣れているか?
  • 今ポジティブな感情をどれだけ感じているか?

をそれぞれ5点満点で測定して、2つのグループで差が出るのかを確かめたんですね。

結果

その結果が次の表になっています。

環境の変化行動の変化
変化の意図3.684.30
変化の努力3.313.95
変化への慣れ3.572.96
ポジティブ感情3.674.03

この表から分かるのは

  • 行動の変化の方が、自分で意識して変化を起こしていて、そのための努力もしている
  • 環境の変化の方が慣れが早く、行動の変化の方が慣れにくい
  • ポジティブな感情も行動の変化の方が高く維持されていた

ということですね。

想定の通りに、環境による幸福感の向上は慣れて薄れてしまいやすいのに対して、行動による幸福感の向上は長く維持されやすいという傾向が示されていますね。

実験2

先ほどの実験では最近の変化を思い出してもらって、データの測定をしたのは1点のみでした。そこで、2つ目の実験では、

  • 6週間間隔をおいて3回幸福感を測定したら、本当に行動の幸福感の方が維持されているのか

を測定しています。

この研究では対象者は669人に増やされ、測定するデータも

  • 主観的幸福感
  • ポジティブ感情
  • ネガティブ感情
  • 人生満足度

と幸福感に関する指標をもう少し詳しく分析しています。

結果2

そして結果がどうなったのかというと

  • 最初の測定から6週間の時点では、行動の変化と環境の変化のどちらのグループも主観的幸福感や人生満足度、ポジティブ感情は高まっていた。
  • しかし12週間目になると、環境の変化の幸福感の向上は薄れて元に戻ってしまった。
  • 行動の変化の幸福感の向上については、12週目になっても主観的幸福感、人生満足度、ポジティブ感情が高く維持されたままだった

という結果が得られています。

環境の変化も短期的には幸福感を向上してくれるようですが、12週間も時間が経つと環境に慣れて幸福感は薄れてしまうようです。一方で行動の変化による幸福感の向上は12週間経っても維持されています。なので

  • 持続的に幸福感を高めたければ、行動を変えよう!

ということですね。

まとめ

本稿では「行動の変化と環境の変化の幸福感の違い」についてお話ししました。

ポイントをまとめると

  • 環境の変化による幸福感は、一時的な快楽的な要素が強いため、環境になれるにつれて薄れていってしまう。
  • 行動の変化による幸福感は、自分で意識して努力して掴むもので、慣れることなく持続的に幸福感を高めてくれる

ということですね。

行動の幸福感は長期的に続くということで、運動や瞑想、家族と過ごす時間など、幸福感を高めてくれる習慣を身につけることは、収入が増えたり高い車を買うよりもずっと大切なのかもしれませんね。


[参考文献]

*1 :ACHIEVING SUSTAINABLE GAINS IN HAPPINESS: CHANGE YOUR ACTIONS, NOT YOUR CIRCUMSTANCES 

Naoto

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

コメントする