フロー状態が多い人ほど不安も少ないのか?

最終更新日

Comments: 0

フロー状態とは高い集中状態のことで、1つのことにのめり込んで他の感覚が無くなったり、時間があっという間に過ぎたように感じたりする経験のことを言います。

普段からフロー状態を感じることが多い人には感情面でも良い効果があって、幸福感やポジティブな感情が高く、ネガティブな感情は低い傾向があることも分かっています。

そして、今回注目するのはフローと不安の関係です。悲しい時や不安な時など、ネガティブな感情が強いときには、仕事などに没頭することでそれらのネガティブな感情を忘れることができると良く言いますよね。

そこで本稿では、

  • フローが多い人ほど不安も少ないのか?

について中国の研究(*1)を参考に調べていきたいと思います。

フローと不安

この研究では590人の大学生を対象に、

  • フロー
  • 不安の強さ
  • 学業に対する自己効力感
  • 自尊心

を測定しています。

大学生は大学の成績への不安や、将来のキャリアや成功への不安を抱えやすい時期ということで、フロー状態がそれらの不安を軽減してくれるのかを測定したわけですね。自己効力感や自尊心も測定したのは、フローが不安を軽減するメカニズムとして、これらの2つの要素が中間で働いている可能性があるからです。

結果

それで結論として分かったことは

  • フロー状態が多い人ほど、不安は少ない傾向がある

ということなのですが、そのメカニズムとしてはもう少し面白いことが分かっていて

  • フロー状態は、学業への自己効力感を向上してくれる(.61)
  • フロー状態は、自尊心も向上してくれる(.21)
  • 学業への自己効力感は自尊心を向上してくれる(.50)
  • 不安を軽減しているのは自尊心の向上の効果である(−.33)
    (フロー状態が直接不安を軽減しているわけではない)

ということです。つまり

  • フロー状態→自己効力感の向上→自尊心の向上→不安の軽減

という経路で不安は軽減されているわけですね。

なぜ自己効力感や自尊心が大切なのか?

それで、なぜ自己効力感や自尊心が大切なのかというと、フロー状態は自分のスキルにあった難易度のタスクで起こりやすいという特性があるからです。

スキル低いスキル高い
難易度高い不安ゾーン
スキルに見合わない難しさで不安を感じてしまう
フローゾーン
自分のスキルを生かして高い難易度に挑戦できる
難易度低い無気力ゾーン
スキルも低く、難易度も低いのでやる気が起きない
つまらないゾーン
自分のスキルに対して簡単すぎる難易度でつまらない

ここで大切になるので、

  • 自分のスキルにあった難易度だと人はフローに入りやすいが、難易度が高くなり過ぎてしまうと”不安”が高まってしまう

ということです。

そして、ここで自己効力感と自尊心が大切になっていて、「自分なら努力次第で高い難易度でも達成できるという自己効力感」や「自分自身の能力に自信があるという自尊心」が高まると、より難易度の高いタスクでも不安ゾーンに入ることなくフローゾーンに入れることができるわけですね。

なのでフローが不安を軽減するメカニズムとして、

  • 普段からフローが多い人は、自己効力感と自尊心が高い傾向があり、高い難易度のタスクでも不安より挑戦心を感じやすい
  • 逆に自己効力感や自尊心が低い人は、難易度の高いタスクで挑戦心よりも不安を感じやすいため、フロー状態に入りにくいメンタルになってしまう

ということですね。

不安を軽減するには?

それでは不安を軽減するため何をすればいいのか?について今回の研究からヒントをもらうと

  • 簡単すぎるタスクをこなして満足せず、少し高めの難易度の挑戦してフローを増やすことで、自己効力感や自尊心を高めていく
  • 高すぎる難易度のタスクは、ちょうどいい難易度のタスクのステップアップに細分化する

といったことが特に重要になりそうですね。

また、フローに入りやすくする条件としては

  • 挑戦しがいのある適切な難易度であること
  • ゴールが明確であること
  • 明確で素早いフィードバックがあること
  • 自分でコントロールできるタスクであること

が挙げられていますので、これらに考慮してタスクの分割や目標を決めるといいと思います。人生で成功したいみたいに漠然としていて抽象的すぎるとフローには入れないので、もっと具体的で明確なゴール設定をすると不安になることも減ってフローに入りやすくなると思います。

まとめ

本稿では「フロー状態と不安」についてお話ししました。

ポイントをまとめると

  • フロー状態が多い人ほど不安も低い傾向がある
  • しかし、フロー状態が直接不安を軽減しているのでなく、その間で自己効力感と自尊心が働いている
  • 不安を軽減するためには、高すぎる難易度設定をやめて、適度に挑戦的な難易度のステップアップで、自己効力感と自尊心を高めていくことが大切

ということですね。

漠然とした大きな不安があるときには足を止めて迷ってしまいがちですが、適切な難易度に分割できれば、その不安の解決に一歩一歩具体的な行動をしていけます。その一つ一つの行動の進捗感も自分に自信をつけ、不安の解消するのに役に立つのではないでしょうか。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : Can Flow Alleviate Anxiety? The Roles of Academic Self-Efficacy and Self-Esteem in Building Psychological Sustainability and Resilience

Naoto

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

コメントする