自分のことはなかなか理解してもらえないと思うのに、他人のことはすぐ理解できたと思いがちという研究

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他人のことを正確に理解することはとても難しくて、その人の行動は目に見えたとしても、その裏にある動機や深い心境まではなかなか分からないものです。

しかし、人はしばしば他人を理解することがむずしかしいということを忘れがちで

「あの人は太っているから、だらしない性格だ」とか
「あの人は誠実な態度だから、裏切るはずがない」とか

目に見える表面的な行動を見るだけで、その人を理解できたと思ってしまいます。

そしてスタンフォード大学らの研究(*1)がこの現象について調べていて、

  • 他人に自分を理解してもらうことと、自分が他人を理解することには、大きなギャップが生じているぞ

ということを実験していました。この実験が面白かったので本稿ではその中身を見ていきましょう。

自分の理解と他人の理解のギャップ

この研究では、参加者を集めて、穴埋めになった単語を完成させてもらうタスクに挑戦してもらっています。例えば「G□□L」だったら、GOALやGIRLという感じで、最初にパッと思い浮かんだものを答えてもらっています。穴埋め問題の数は全部で21問になっています。

それで、全て答えてもらった後に行うのが「自分の性格との関連付け」で、自分が頭に浮かんだ21個の単語がどれだけ自分の性格や思想、願望を表しているのかを点数付けしてもらいます。

その次に行うのが「他人の性格との関連付け」で、他人が作った21個の単語を見て、それらの単語がその人の性格にどれだけ関連していて、その人はどのような性格なのかを回答してもらっています。

こうすることで、

  • 単語と自分の性格との関連付け
  • 単語の他人の性格との関連付け

にどのような違いがあるのかが比較できて、自分を理解するときと他人を理解するときの考え方にどれだけギャップが分かるわけですね。

結果:

それで結果がどうだったのかというと

  • 自分が作った単語では、こんな単語では自分の性格は分からないと考え、単語と性格の関連性は低く評価していた
  • 他人が作った単語では、単語の共通点などから他人の性格を推測して、単語と性格の関連性を高く評価していた

ということ。どうやら自分の性格を考える場合と他人の性格を考える場合でギャップがあるようですね。

それで、実際にやってみると分かるのですが、21個の単語は自分の性格と全く違うものになることが多いです。なぜかというと、そもそもパッと思い浮かんだ単語は、ただよく目にする単語で性格とは関係ないことが多いですし、最初に答えた単語につられて、後の単語も似たような意味になることもあり得るからです。

例えば、「G□□L」では、別に競争が好きでなくてもGOALがパッと浮かぶ人は多いと思います。そして次の問題が「WI□□□R」だとしたら、GOALにつられてWINNERと答える人もいるでしょう。そして、これを他人が見ると「GOALとWINNERを選んだということは競争好きな性格だ」と間違った関連付けをされてしまうわけですね。

ということで、この実験の結論としては

  • 単語のような表面的な情報では自分の性格は判断できないと分かっていても、他人の性格となると単語のような表面的な情報でも性格を理解した気になってしまう

と、ギャップがあることが分かったわけですね。

ギャップはどんなときの起きやすい?

それでこの研究では他の実験でもギャップの性質を調べていて、どんなときにギャップが起きやすいのかも少し分かっています。

それの結果が次の通りで、

  • より距離が遠い他人ほどギャップが大きくなって、他人を表面的に判断しがち(親友など距離が近ければギャップは小さくなる)
  • 初対面の数分ではあまりギャップは発生しなかったが、20分間話をするうちにギャップは大きくなっていった
  • 他人のネガティブな面を見たときにギャップ大きくなってしまいがち
  • グループでもギャップは発生して、自分のグループのことはなかなか理解してもらえないけど、自分たちは他のグループのことを理解できていると思いがち

となっています。

特にネガティブな面が目につきやすいのは、ステレオタイプや差別などにも繋がってしまう可能性があるので、他人をネガティブに見てしまっているときは客観的にその人を見直してみるように注意をした方が良いかもしれませんね。

まとめ

本稿では「自分の性格と他人の性格の理解のギャップ」についてお話ししました。

ポイントをまとめると

  • 人は自分の性格は簡単には理解してもらえないと思う一方で、自分は他人の性格を簡単に理解したと思いがちというギャップがある
  • このギャップは、距離の遠い人や、他人のネガティブな面を見つけたときに大きくなりがちなので、そういうときは他人を表面的に決めつけていないか注意しよう

ということですね。

個人間の対立でも、グループ間の対立でも、なんで自分のことを理解してくれないんだという気持ちになったり、表面的に相手はこんな奴だと決めつけてしまうことは誰にでもあると思います。そんなときは今回紹介したギャップが働いてしまっているので、相手の立場に立ってもっと理解を深めようと考えると良いでしょう。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : You Don’t Know Me, But I Know You: The Illusion of Asymmetric Insight

Naoto

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