ベータアラニンで運動のパフォーマンスは向上するのか?

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ベータアラニンとは、筋肉の働きを助ける成分の一つで、運動のパフォーマンスを向上させると考えられています。運動のパフォーマンス向上と言えばカフェインが有名ですが、市販されているプレワークアウトの中にはカフェインと一緒にベータアラニンもよく含まれています。

それで、本稿で注目するのはベータアラニンの効果で

  • ベータアラニンは本当に効果があるのか?
  • ベータアラニンはどんな運動に有効なのか?

をノッティンガム・トレント大学の研究(*1)を参考に見ていきたいと思います。

ベータアラニンの効果とは?

ノッティンガム・トレント大学の研究(*1)では、ベータアラニンの効果を実験した先行研究を集めて、合計360人の効果量57個をメタ分析でまとめてくれています。

それで、研究によって運動の種類やベータアラニンの量に違いもあるので

  • ベータアラニンはどのような種類の運動で効果が高いのか?
  • ベータアラニンの摂取量はどのくらいがいいのか?

ということまで調べてくれています。

結果:ベータアラニンの効果

最初に全ての研究を総合したときの結果は、

  • ベータアラニンの運動パフォーマンスの向上は効果量で0.374だった
    (プラセボの効果量は0.108だった)

ということ。ベータアラニンには運動パフォーマンスを少し改善する効果があるという結論になっていますね。

それで、運動の種類による違いを見てみると

  • 持久系の運動パフォーマンスでのみ効果があった
  • 運動時間が60秒未満の場合には効果はあまりなかった
    (βアラニン効果量:0.193、プラセボ効果量0.118)
  • 運動時間が60秒〜240秒の場合に特に効果が高かった
    (βアラニン効果量:0.665、プラセボ効果量0.121)
  • 運動時間が240秒を超えた場合は効果は少し低下した
    (βアラニン効果量:0.368、プラセボ効果量0.095)

ということ。

つまり、1500m走のような4分程度の持久系運動で特に効果が高いということ。1500m走で考えれば、ベータアラニンには約6秒ほどタイムが縮めてくれる効果が期待できるそうです。6秒となるとそこそこ効果があるみたいですね。

結果2:ベータアラニンの摂取量

ベータアラニンの摂取量については、研究によってもばらつきが多く、まだ確かなことはわからないようですが、目安としては

  • 1日の5gのベータアラニンを続けて、トータルで180gぐらい摂取すれば良い

ということです。これは様々な研究の摂取量の中央値になっていて、これを超えたところで特別運動のパフォーマンスが向上することはなかったということなので、これだけ取っておけば十分でしょう。

参考:なぜベータアラニンは運動に効くのか?

ベータアラニンがなぜ運動のパフォーマンスに関係するのかについては、またはっきりとはわかっていないものの、次の説が有効ということです。

  1. ベータアラニンは筋肉内でカルノシンを合成する
  2. カルノシンが合成されると筋肉内の水素イオンのキャパシティが向上して、運動による筋肉の酸性化を防ぐことができる

筋肉の酸性化を防ぐことができるというのは、わかりやすく言えば筋肉の疲労を遅らせることができるということですね。なので、ベータアラニンは筋肉の疲労を予防するためのキャパシティ増やしてくれているというイメージですね。

まとめ

本稿では「ベータアラニンは運動のパフォーマンスを向上するのか?」についてお話ししました。

ポイントをまとめると

  • ベータアラニンは持久系の運動パフォーマンスを向上してくれる
  • 特に運動時間が60秒〜240秒でベータアラニンは効果を発揮する
  • 摂取量は1日に5gを1ヶ月以上続ければ十分

ということですね。

ベータアラニンは筋トレにはあまり効果がなさそうなので残念ですが、HIITなどの有酸素系のトレーニングでは使えるかもしれませんね。

以上、本稿はここまで。

[参考文献]

*1 : Effects of b-alanine supplementation on exercise performance: a meta-analysis 

Naoto

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