運動を継続する自己効力感を高めるのに有効な4つの方法とは

最終更新日

Comments: 0

運動を習慣にしたいと思っていてもなかなか続かない人が多いのが現実です。そこで、目標を立てると良いとか、クラブなどのグループに参加すると良いとか、習慣を作るためのテクニックが色々と考えられています。

そして、運動を続けるのに大切なのは、運動への自己効力感も大切になります。運動への自己効力感とは、自分は運動をうまく続けていけるという将来の達成への自信のようなものです。自己効力感が低いと、どうせ自分は続かないだろうとやる前から諦めてしまったり、あるいは2・3日でやっぱりダメだとすぐやめてしまったりします。

なので、習慣化のテクニックとしては

  • 実際に行動を変えて、運動量が増やしてくれること
  • 自己効力感は高めて、運動を続ける自信をつけてくれること

の2つの効果があることが望ましいんですね。

そこで、コベントリー大学の研究(*1)がこの問題に注目して、

  • 数ある運動の習慣化テクニックの中で、本当に効果があるのはどれか?

を分析してくれています。本稿ではこの研究の中身を見ていきましょう。

運動のテクニックと自己効力感

この研究では、

  • 運動のテクニックと自己効力感を調べた研究61件
  • 運動のテクニックと行動の変化を調べた研究42件

を集めて、本当に効果がある運動のテクニックが何かをメタ分析で結論づけてくれています。
集められたテクニックとしては、

  • 目標を決める
  • 運動をどこでいつやるのかの計画を立てる
  • 障害を想定する
  • 自分の行動をモニタする
  • 社会的なグループやサポートを得る
  • 細かい単位に分割する
  • セルフトーク
  • フィードバックをもらう
  • ストレスマネジメント
  • 環境を整える
  • イメージトレーニングする
  • 報酬を用意する

などなど、よく聞くものも多いですね。

結果1:自己効力感を高めてくれるテクニック

研究の結果によると、自己効力感を本当に高めてくれるテクニックは4つ見つかっています。

  • 行動を計画する
  • 社会的なサポートを得る
  • 結果を自分でモニタする
  • 時間をマネジメントする

「行動を計画する」は、いつどこで運動をするのかの計画を事前にきちんと立てておくということです。If-Thenプランニングも計画法の一つで、こちらも他の研究で高い効果があることが確認されていますね。ちなみにIf-Thenプランニングとは、朝起きたらまず運動ウェアに着替えると言ったように、行動のきっかけとなるトリガを決める方法になります。ちゃんと計画を決めた方が、運動を継続する自信も高まるのは納得できますね。

「社会的なサポートを得る」は、友人と一緒にジョギングをしたり、クラブ活動に参加したりと、他の人と一緒に運動をしたり、挫折しそうになったときに応援してくれる味方を作ることです。一緒に頑張ってくれる友人がいれば、続けれられそうだという自信が高まるのは分かる気がします。

「結果を自分でモニタする」は、行動の変化を記録して自分の成長をみえるようにしようということですね。例えば、先週の運動時間は合計で120分だったけど今週は150分に増えたとか、体重がだんだん減ってきたなど、簡単な指標でもいいので進捗感や成長感をくれる指標をモニタすると良いです。成長感が実感できれば、運動への自信が高まっていくのは当然ですね。

「時間をマネジメントする」は、文字通り運動の時間を上手く確保することです。時間がないは運動を習慣化できない人が口にする言い訳の一つなので、時間をうまくマネジメントするテクニックを学べば、運動も継続していける自信がつくわけですね。

結果2:逆に自己効力感を下げてしまうテクニック

以上の4つが自己効力感を高めてくれるテクニックですが、逆に自己効力感を低下させてしまうテクニックも2つ発見されています。

  • タスクを細かく分割する
  • 行動を一般化する

「タスクを細かく分割する」は、大きすぎてハードルが高い目標を、細かく分割して、一歩一歩成功体験を積もうというテクニックですね。何とこれが逆効果ということで、逆に細かくすることで自分はこんな小さなことしかできないのかと、本来の大きな目標と自分との対比で自信を失ってしまうことがあるようです。しかし、小さく分割するは認知行動療法などでも有効な手法と知られているようで、ちゃんとした知識のある人が行えば効果はあるということです。

行動を一般化する」は、一度習得した行動を、環境を変えたり、運動方法を少し変えるなどして挑戦していくというものです。例えば、自宅の周りの決まったコースのジョギングに慣れてきたら、積極的に他のコースを試してみるとかですね。

結果3:行動を変えるテクニック

運動のテクニックと行動の変化の関係では、

  • 「計画を立てる」と「時間をマネジメントする」以外の方法であれば、ほとんどのテクニックが運動の行動を増やしてくれた

という結果が得られています。

なので、自己効力感と違って、行動を増やすのは割と簡単そうですね。しかし、最初は行動が増えたとしても、自己効力感が低ければ割と簡単に諦めてしまうかもしれません。

そこで、自己効力感と行動の両方を向上してくれたテクニックを見てみると

  • 社会的なサポートを得る
  • 結果を自分でモニタする

が残っています。つまり数ある運動のテクニックの中でも。これらの2つが最も効果的だと考えられるわけですね。

まとめ

本稿では「運動の自己効力感を高めるテクニック」についてお話ししました。

ポイントをまとめると、

  • 自己効力感を高めてくれる運動のテクニックは、「行動を計画する」「社会的なサポートを得る」「結果を自分でモニタする」「時間をマネジメントする」の4つ
  • 中でも行動の変化まで起こしてくれるのは、「社会的なサポートを得る」「結果を自分でモニタする」の2つ

ということですね。

もう少し具体的な実践方法としては、

  • 一緒に運動を続けてくれる人やサポートしてくれるコーチのような存在を探す
  • If-Thenプランニングで、いつどこで運動をするのかは事前に計画を立てる
  • 運動の結果として「週の運動量の変化」など指標を決めて記録していく

というのが運動を継続するためには良さそうですね。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : What are the most effective techniques in changing obese individuals’ physical activity self-efficacy and behaviour: a systematic review and meta-analysis

Naoto

シェアする

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

コメントする