勉強の直後には自分の知識の過大評価してしまうので注意という研究

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勉強には「勉強をした直後に自分の実力を過大評価しがち問題」がつきまといます。

この問題がどんなものかというと、勉強をした直後には、

  • 新しい知識を覚えた高揚感
  • 練習問題を解ける実感
  • 一生懸命頑張った達成感

があり、勉強の成果が出ていると感じるものです。

しかし、1週間も経つと、「この問題の解き方はどうだったっけ?」と記憶は薄れてしまうもの。

つまり、勉強した直後は、短期記憶に残っている知識で自分の実力を判断してしまっていて、長期記憶の本当の実力を判断できていないんですね。

この問題は学習効率の低下につながってしまう恐れがあります。自分の実力を過大評価してしまうと、自分は十分に勉強したと満足してしまって、そこで勉強をやめてしまいます。一方で、自分の実力を正しく知れれば、弱点を補うような戦略を取れますし、慢心をせずに確実に実力を伸ばすことができます。

そこで、勉強直後の過大評価を無くすにはどうすればいいのか?を調べてくれたのが、ワシントン大学らの研究(*1)です。この研究では「短期記憶を空にしてあげれば、過大評価はなくなるのでは?」ということを検証してくれているんですね。

短期記憶のクリアと過大評価

ワシントン大学の研究は、勉強直後の過大評価を無くすには、長期記憶の知識で自分の実力を判断することが大切というスタンス。そして、これを実現するには

  • 時間を空けてから自分の実力を判断する
  • 他のタスクで短期記憶を上書きしてから自分の実力を判断する

の2つの方法が有効だと考えています。

実験:過大評価は無くなるのか?

上記の2つの方法が本当に有効なのかを調べるために、学生を対象に実験を行なっています。

まず、この実験では複数の単語のペアを記憶するタスクを行ってもらいます。例えば、”ツール:手”というペアを記憶して、記憶テストでは”ツール:〇○”に当てはまる単語は何か?が聞かれる感じ。

参加者は単語のペアが5秒毎に順番に映し出されていくので、それを頑張って記憶します。その後で行うのが、この実験で最も大切な自分の実力の判断です。単語のペアをどのくらい記憶できたのかの自分で判断して答えます。

このとき、実力の判断方法でいくつかのグループに分けられています。

  1. 直後グループ
    記憶作業の直後に自分の実力を判断する
  2. 数学タスクグループ
    記憶作業の後で、数学の計算問題で短期記憶を上書きしてから実力判断をする
  3. 維持グループ
    記憶作業の後で、数学タスクと同じ時間だけ短期記憶を保持した状態で待って、実力の判断を行う
  4. 時間を空けるグループ
    記憶作業の後で、他のタスクをいくつもこなして長時間を空けてから、実力の判断を行う

最後には記憶テストが実施されて、本当の実力と自分の評価にどのくらい差異が出るのかを分析しています。

結果:

実験の結果、どの方法が実力を正しく判断できていたのかというと、

  • 時間を空けたグループが一番正確に自分の実力を判断できていた
  • 数学のタスクで短期記憶を上書きした場合も、時間を空けたグループに匹敵する正確さで実力を判断できた。しかし、数学のタスクの問題数が少なくて、短期記憶を完全に上書きできない場合は、過大評価の傾向が少し残った。
  • 数学タスクと同じ時間だけ短期記憶を維持したグループは、実力を過大評価してしまった
  • 記憶作業直後に実力を判断したグループも、過大評価をしてしまった

ということ。

つまり、研究者の想定通りの結果になっていて

  • 過大評価を無くすには、時間を空けるか、短期記憶を上書きするかして、長期記憶の実力で判断しないとダメ

と言えるわけです。

ちなみに、本当の実力と自分の評価の誤差は、自分の想定評価が70点以上の場合に特に大きくなってしまっています。なので、勉強直後にもう完璧だと感じても、それは一旦信じないでおいて、時間を空けてから見返すようにしましょう。

まとめ

本稿では「勉強成果の過大評価」についてお話ししました。

ポイントをまとめると、

  • 勉強直後は短期記憶に情報が残っているので、自分の実力を過大評価してしまう
  • 正確に実力を評価したいなら、時間を空けるか、他のことで頭を使って短期記憶を上書きすることが必要

になります。

自分の実力を測る模擬試験で、直前だけ猛勉強しても本当の実力が測れなかったら逆効果ですよね。自分の弱点を知って効果的に勉強していくためにも、過大評価には注意して、本当の実力を知っていきましょう。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : When people’s judgments of learning (JOLs) are extremely accurate at predicting subsequent recall: the “Displaced-JOL effect”

Naoto

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