チームワークはトレーニングで高めれるのか?の研究
チームワーク、それはビジネス、スポーツ、医療、軍隊などあらゆる場面で必要になるスキルです。考えてみれば、人は生まれたときから社会の中にいて、自分一人で何もかもこなすのは無理なのですから、チームワークは必要不可欠な能力とも言えます。
そして、チームワークは個人の能力というよりは、チームにより強く依存する能力です。ばっちりハマるチームに入れればチームワークは高まりが、同じ人でもうまく噛み合わないチームに入ってしまうとチームワークは低下してしまいます。
すなわち、チームワークには個人練習よりも、チームの練習が大切ということ。
本稿では、セントラルフロリダ大学の研究を参考に、
- チームワークって本当にトレーニングで高められるの?
- どんなタイプのトレーニングが効果的なの?
という疑問に答えていきたいと思います。
チームワークのトレーニング
セントラルフロリダ大学の研究では、45件の先行研究の2650チーム分のデータを
- トレーニングの内容
- チームの変動
- チームのサイズ
- トレーニング効果
で分類して、どんなトレーニングが効果的だったのかを分析しています。
トレーニングの内容
トレーニングの内容は大きく3つに分けられています。
- タスクトレーニング
メンバーの各役割に必要なスキルを高めることを目的にしたトレーニング - チームトレーニング
チームの連携を高めることを目的にしたトレーニング - 組み合わせトレーニング
タスクトレーニングとチームトレーニングを合わせたもの
想定としては、組み合わせトレーニングが一番効果が高そうですね。
チームの変動
チームの長さとしては2つに分けられています。
- 固定的なチーム
メンバーの変動が少ないチーム - 変動的なチーム
一時的に作られたチーム
新しいチームはまだチームワークがぎこちないのでトレーニング効果が高いと考えられます。一方で、継続した固定チームもより洗練したチームワークができればパフォーマンスがグッと向上する可能性もあります。
チームのサイズ
チームのサイズとしては、
- 小チーム(2人)
- 中チーム(3〜4人)
- 大チーム(5人〜)
に分けています。
大きいチームほど連携が難しくなるので、トレーニング効果は高くなりそうですね。
トレーニング効果
トレーニングの効果は4つの側面から測定しています
- 認知面の成果
トレーニングにより理解が深まったり、知識が向上したかどうか - 感情面の成果
チームへの信頼が向上したり、親睦が深まったりしたかどうか - プロセスの成果
コミュニケーションの取り方や、チームの決断、メンバー間の調整などプロセスに改善があったか - パフォーマンスの成果
こなした仕事の量や質に改善があったか
結果1:トレーニングは効果があるのか?
早速トレーニング全体として成果がちゃんと出たのかを見てみると、
- 認知面の成果が確かにあった(r=.38)
- 感情面の成果が確かにあった(r=.32)
- プロセスの成果が確かにあった(r=.39)
- パフォーマンスの成果が確かにあった(r=.33)
ということ。
どの成果に対してもしっかりとトレーニング効果が出ています。チームワークはトレーニングで高められるというのは間違いなさそうですね。
結果2:どんなトレーニングが効果が高かったのか
続いて、どんなトレーニングが効果が高かったのかを見てみると、
- タスクトレーニングもチームトレーニングも両方効果があった。
- どちらかというとチームトレーニングの方が優秀で、感情面の成果とプロセスの成果が高く出た
- この2つ組み合わせたところで効果が相乗効果で上がることはなかった。
ということ。なので、タスクに必要なスキルをトレーニングするよりは、チームとしての連携をトレーニングする方が効果は高いみたいですね。
さらに、チームのサイズと変動については
- 大きいチームサイズの方が全体的なトレーニング効果は若干大きかった
- 大きなチームでは認知面の成果が大きく出て、小さなチームでは感情面とプロセスの成果が大きく出た
- メンバーが変動的なチームよりも、固定的なチームの方がパフォーマンスの向上効果が大きかった。
ということが分かっています。
チームのサイズやメンバーの変動によって、トレーニング効果が少し違ってくるということ。まあ、どちらにせよ効果は得られるので、トレーニングはやった方が良いのですが、深く考えるならチームサイズを調整したりしてもいいかもしれません。
まとめ
本稿では「チームワークはトレーニングで鍛えられるのか?」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- チームワークはトレーニングで確かに鍛えられる
- 特にチームの連携を鍛えるようなトレーニングをすると良い
- チームのサイズやメンバーの変動性によっても、効果は若干変わる
ということですね。
ちなみに軍隊のチームやヘルスケアのチームなど、分野による効果の違いを見てみると、ビジネスのチームが一番トレーニング効果が得やすいという結果になっています。なので、何かの仕事をみんなで協力してやってみるなどして、チームワークを鍛えてみると良いかもしれません。
以上、本校はここまで。
[参考文献]
*1 : Does Team Training Improve Team Performance? A Meta-Analysis