いい人のイメージが慈善活動の最大のモチベーションになるという研究

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献血に参加したり、寄付をしたりなど、慈善活動に参加することは社会を良くするために大切なことです。しかし、自分の時間やお金を慈善活動にむけてもらうにはそれに見合ったモチベーションが必要なもの。

この問題について、デューク大学の研究(*1)では慈善活動へ参加するモチベーションを、次の3種類に分類しています。

  1. 内発的モチベーション
    自分がその慈善活動が好きで大切だと感じるから参加する
  2. 外発的モチベーション
    その慈善活動に参加することで報酬がもらえるから
  3. 良い人のイメージモチベーション
    慈善活動に参加することで自分の印象が向上するから参加する

重要なポイントは慈善事業としてどのモチベーションを前に押し出すかです。報酬目当ての外発的モチベーションは、純粋に好きという気持ちの内発的モチベーションを損わせてしまうという悪い効果もあるんですね。

そこでデューク大学の研究では

  • どの種類のモチベーションが一番慈善活動へ参加したときの努力量を増やしてくれるのか?

を実験してくれています。本稿では参加者のモチベーションを高める慈善活動の設計について学んでいきましょう。

実験:3種類のモチベーションとボタンの連打

この研究ではXボタンとYボタンを連打することで、その連打量に応じた金額がチャリティーに寄付されるタスクを実験として行っています。慈善事業へのモチベーションが高いほど、頑張って連打して寄付額を上げようとするわけです。

このときに参加者のモチベーションの種類を変えるために

  • 連打量に応じて自分も報酬がもらえる場合と、自分の報酬は無しの場合
  • 自分の結果が他人に公開される場合と、非公開の場合
  • 寄付先が良いイメージの慈善事業の場合と、悪いイメージの慈善事業の場合

の2通り×2通り×2通り=8通りのパターンで実験を行っています。

他人への結果の公開は、他人から見られる自分の印象をモチベーションとして与えるものです。結果が公開されると、慈善事業に頑張って貢献するほど自分の印象が良くなるはずだというモチベーションが働くわけですね。

しかし、寄付先が悪いイメージの事業になってしまうと、寄付している自分のイメージも悪くなってしまいます。そうなると当然努力量も低下すると考えられるわけですね。

報酬といい人のイメージはどちらが努力量を上げるのか?

まず寄付先が良いイメージの場合の結果を見てみると

  • 努力量が最も多かったのは、他人への公開ありで、報酬はなしのグループだった。
  • 努力量が最低だったのは、他人への公開なしで、報酬もなしのグループだった。
  • 報酬は公開なしの場合には努力量を向上させたが、公開ありの場合には逆に努力量を低下してしまった

ということ。

つまり、慈善事業のモチベーションは、報酬なしで純粋にいい人のイメージが他人に伝わるときに一番高まるということです。報酬ありになってしまうと、報酬のために頑張ったのではないかと思われてしまうため、いい人のイメージが少し損なわれて努力量も低下してしまうんですね。

ただし、寄付先のイメージが悪ければ話にならない

続いて寄付先が悪いイメージの事業の場合の結果を見てみると

  • 連打の努力量は、いいイメージの場合と比べてガクッと減ってしまった
  • 非公開の場合は報酬で努力量は少し向上したが、公開の場合は報酬をつけても努力量は増えなかった

ということ。

寄付先が悪いイメージの事業になってしまうと、寄付する自分も悪いイメージになってしまいます。いい事業の場合には良い人のイメージが得られることが、努力量を増やす最大のモチベーションになっていました。逆に得られるのが悪いイメージになってしまうと、それが努力量を減らす方の最大のモチベーションになってしまうようです。

まとめ

本稿では「慈善事業の努力を最大化するモチベーション」についてお話ししました。

ポイントをまとめると

  • 慈善活動の努力量を最大化するには、他人に公開して参加者が良い印象で見られるようにすることが大切。金銭的な報酬は良い人の印象を損なわせるので付けない方が良い。
  • 慈善活動そのものが悪いイメージを持たれている場合は、参加者の努力量はガクッと低下してしまうので、慈善事業そのもののイメージも良くすることが大切。

ということです。

今回の実験では報酬としてお金を使っています。金銭的な報酬は特にいい人のイメージを損なわせやすいので、慈善活動では無しにした方が良いでしょう。金銭的な報酬ではなく、独自のバッジやT-シャツを用意すれば、それが参加者の良い人のイメージを強めることにも役立つので有効かもしません。慈善活動を行う場合には、これらのポイントを抑えるようにしましょう。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : Doing Good or Doing Well? Image Motivation and Monetary Incentives in Behaving Prosocially

Naoto

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