If-Thenプランニングで、「〜しない」形式の目標を立てると逆効果になるという研究

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お菓子を食べすぎてしまうのをやめたい、タバコをやめたいなど、誰でも断ち切りたい悪い習慣を持っているもの。新年の目標として、何かをやめる目標を立てた人も多いでしょう。

心理学の研究では目標達成を助けるテクニックも開発されていて、その中でも優秀なのがIf-thenプランニングです。やり方は簡単で、「もし〜になったら、××をする」と、特定の状況と実施したい行動をセットにするだけです。例えば、「通勤電車に乗ったら、10分間英単語の勉強をする」といった感じですね。

本稿では、If-Thenプランニングに関して

  • If-Thenプランニングは「〜しない」形式の目標に対しては逆効果になってしまうのでは?

という弱点を指摘したユトレヒト大学の研究(*1)を見てみましょう。

If-Thenプランニングの仕組み

「〜しない」形式の目標がIf-Thenプランニングで逆効果だと考えられるはなぜか。

まず、If-Thenプランニングが「〜する」形式の目標達成率を高めてくれるのは、状況と行動を結びつけてくれるからです。夜寝る前に自然と歯磨きができるように、特定の場所や特定のタイミングとセットになった行動は、ほとんど意志力を使わなくても続けられるようになります。

しかし、「〜しない」形式の行動をやめたい目標では、逆に状況と行動の結びつきを弱めなければいけません。これがIf-Thenプランニングの仕組みと反対になっていてうまく噛み合わないことが問題を起こします。絶対にシロクマについて考えるなと言われると、かえってシロクマが頭から離れなくなるように、「〇〇の状況で〇〇しない」と目標を立てることは、状況と習慣の結びつきをかえって強めて、悪い習慣の行動を増やしてしまう可能性があるんですね。

実験:If-Thenプランニングで「〜しない」目標に本当に効果はないのか?

ユトレヒト大学の研究では、このIf-Thenプランニングの逆効果が本当にあるのかを実験により確かめてくれています。

実験1:状況に対する脳の反応

一つ目の実験では

  • 「〇〇しない」形式の目標を立てた場合
  • 「〇〇の状況で〇〇しない」形式の目標を立てた場合
  • 「〇〇の状況で代わりに〇〇する」形式の目標を立てた場合

の3つで、状況刺激に対する脳の反応にどのように違いが出るのかを確かめています。

実験で使った行動は「チョコレートを食べない」で、チョコレートを食べてしまう状況は各参加者が自分で選択しています。そして、語彙決定タスクを使って、状況に関する言葉の刺激の後で、脳がどれだけ早くチョコレートに反応するのかを調べています。状況とチョコレートの結びつきの強さが測定されているわけですね。

結果を見てみると、

  • If-Then形式で「〜しない」形式の目標を立てた人だけが、状況刺激の後で早くチョコレートに反応していた。
  • どの目標設定でも、全く関係ない刺激の後でのチョコレートの反応速度は変わらなかった。

ということ。

やはり「〜しない」形式のIf-Then目標を立てると、その状況と悪い習慣の結びつきがかえって強まってしまう結果になっています。一方で「代わりに〜する」形式の目標に置き換えてあげれば、この逆効果は防げるということもわかっています。

実験2:実際の生活の中でも行動はどうか?

この研究では、実際の生活の中での行動を調べて実験も行っています。こちらでもチョコレートを食べないという目標に対して、

  • 「〇〇しない」形式の目標を立てた場合
  • 「〇〇の状況で〇〇しない」形式の目標を立てた場合
  • 「〇〇の状況で代わりに〇〇する」形式の目標を立てた場合

の3つの違いを測定しています。

その結果を見てみると、「〇〇の状況で〇〇しない」形式の目標は他の目標設定と比べて、

  • 実際には行動をしてしまうことが多かった
  • チョコレートの摂取カロリーも多くなっていた
  • 本人が感じている目標の達成感も低かった
  • 悪い習慣が強く定着しているほど、これらの逆効果の影響も大きかった

ということ

この研究で分かったことの結論としては、どうしてもやめられない強い習慣に対しては、「〜しない」形式も目標はでなく、「代わりに〜する」形式の目標にすると良さそうですね。例えば、「ストレスを感じたときは、タバコを吸うかわりにガムを噛む」という感じですね。

まとめ

本稿では「If-Thenプランニングが逆効果になってしまうとき」についてお話ししました。

ポイントをまとめると

  • If-Thenプランニングは「〜する」形式の目標では効果は高いが、「〜しない」形式の目標では逆効果になってしまうことがある
  • 「〜しない」形式の目標は、「代わりに〜をする」形式の目標に置き換えると良い

ということ。

新しい行動を定着させる目標よりも、すでに定着した行動をやめる目標の方が難しいと言われています。なので、やめるのではなく、他の行動で上書きしてあげるのが良いみたいですね。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : Planning What Not to Eat: Ironic Effects of Implementation Intentions Negating Unhealthy Habits

Naoto

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