習慣化しやすいのは時間トリガーと行動トリガーのどちらか?の研究

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習慣化のテクニックの中では、If-Thenプランニングが特に効果が高いことが心理学の研究で分かっています。If-Thenプランニングとは「もし〜になったら、〜をする」という形で、行動のトリガーを決めてあげる方法です。例えば、「朝食になったらサラダを一皿食べる」とか、「昼休みになったら20分間ウォーキングする」という感じですね。

そして、If-Thenプランニングのトリガーの形式にも、

  • 時間トリガー
    特定の時間をトリガーに新しい行動を行う。
    「20:00になったら、ジョギングをする」という感じ。
  • 行動トリガー
    すでに習慣になっている行動をトリガーに、新しい行動をくっつける。
    「朝食を食べ終わったら、朝のウォーキングをする」という感じ

の2つが考えられます。そこで本稿では、

  • 時間トリガーと行動トリガーで習慣の定着のしやすさや、完全に定着するまでの日数は変わるのか?

を確かめてくれたベルリン自由大学らの研究(*1)を見てみましょう。

トリガーの種類と習慣の定着

ベルリン自由大学らの研究では、135人を対象に習慣化の実験を行っています。どのような実験なのかというと、

  • 参加者は自分の好きな食事に関する習慣行動を一つ決める
    (水を飲む、フルーツを食べる、野菜を食べるなど)
  • 12週間の間、その行動を毎日行うことを目標にする
  • 参加者は時間トリガーで習慣行動を行うグループと、行動トリガーで習慣行動を行うグループに半々で分けられる
  • 12週間の間でどれだけ習慣が定着しているのかが測定される

といった感じです。

結果:定着カーブ

早速結果を見てみると、まず習慣がうまく定着した人は、次のグラフのような曲線で定着度か向上しています。

定着度は毎日行動を繰り返すことで高まっていきます。そして、ある時点で完全に定着して、その定着度を安定して維持されます。この状態では行動がほぼ自動的にできるようになっていて、歯磨きを当たり前に行うように、意志力を特に使わなくても自然と行動ができるようになっています。

結果2:時間トリガーと行動トリガー

そして、時間トリガーと行動トリガーの違いを見てみると、

  • どちらのトリガーでも習慣化に成功した人の定着曲線の形状は同じだった
  • 定着度が95%以上に達するまでの日数は、時間トリガーで59日、行動トリガーで60日で差がなかった

ということ。つまり、時間トリガーと行動トリガーで習慣の定着のしやすさには差がないという結果になっています。

ただし、過去の研究では行動トリガーの方が時間を気にしなくても良いので、行動を自動化しやすいという結果も出ているようです。なので、習慣化したい行動の種類や生活のリズムによっては行動トリガーが有利になることはあるかもしれません。

例えば、毎日12:00に規則正しくお昼の休憩が取れる場合は、12:00に習慣化したい行動を行うのは簡単です。しかし、仕事の都合で昼の休憩が不規則に変化してしまう人は、12:00のトリガーはあまり有効でないかもしれません。その場合には、時間は不規則でも必ず行っている行動をトリガーにした方が、習慣として安定するでしょう。

結果3:内発的モチベーション

最後にこの研究で分かったもう一つのポイントとして、

  • 開始時の内発的モチベーションが高い人ほど、習慣化に成功しやすかった

ということが分かっています。

内発的モチベーションとは、誰かに言われたからやるとか、お金のためにやるのでなく、自分が好きで興味があるからやるモチベーションのことです。なので、習慣にしたい行動を選ぶ場合には、自分が面白くて好きだと思える行動を選ぶようにすると習慣化の成功率が上がるでしょう。例えば、運動を習慣にするのにも、筋トレやジョギング、スポーツなど行動の種類は無数にあるので、できるだけ自分の興味が持てるものを選びましょう。

まとめ

本稿では「習慣化の時間トリガーと行動トリガー」についてお話ししました。

ポイントをまとめると、

  • 習慣として定着するには59日の日数がかかる
  • 時間トリガーと行動トリガーで習慣の定着のしやすさには差がなかった
    (ただし、フルーツを食べるといった簡単な行動の場合)
  • 習慣化の成功率を高めるには、内発的モチベーションが高い行動を選ぼう

ということ。

If-thenプランニングで行動をするタイミングを決めるのは、習慣を定着させるのにかなり有効なテクニックなので、なかなか習慣化できない人は取り入れてみてください。「時間があるときにジョギングしよう」みたいな曖昧な目標だとなかなか行動が取りづらいので、「火曜と木曜は仕事帰りにジムに行く」みたいにできるだけ具体的なタイミングを決めてあげると良いでしょう。

以上、本稿はここまで。

[参考文献]

*1 : Habit formation following routine-based versus time-based cue planning: A randomized controlled trial

Naoto

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