成果主義な人ほど、同僚の評価や社会的ステータスが高いのか?の研究
出世して会社で成功をするためには、社内政治的なスキルと成果を出す実力の両方が大切になります。
そのため、性格として成果主義の傾向が強い人は、そうでない人よりも成果をあげやすく、社内でも出世しやすいことが想定できます。しかし、実力があったとしても、自己中心的な働き方をして社内でうまく立ち回れていなかったら、周りからの評判が低下して、出世も遠ざかってしまうかもしれません。
そこで本稿では
- 成果主義と社内政治的スキルは、同僚の評判や会社でのステータスの高さにどう関係するのか?
を分析してくれたホーエンハイム大学の研究を見てみましょう。
成果主義と社会的ステータス
ホーエンハイム大学の研究では、従業員の成果主義を次の二種類のパターンに分けています。
- 明白な成果主義
自分自身で成果主義であることを自覚していること
- 暗黙な成果主義
自分自身で成果主義の自覚がないが、無意識レベルでは成果に敏感なこと
明白な成果主義は「成功・野心・効率・好奇心・有能」を好む性格のことで、自分自身でもこれらのワードが自分の性格を表していると自覚をしている場合になります。暗黙の成果主義は、これらのワードに無意識のレベルで脳が強く反応することで、こうした人は自分は成果主義と思っていなくても、実際には成果を追い求める傾向があることになります。
それで、ホーエンハイム大学の研究では、2種類の成果主義が社会的ステータスの向上にどう関係するのかを、128人の対象者とその同僚たちの協力を得て測定しています。測定した内容としては
- 対象者の明白な成果主義の強さ
- 対象者の暗黙な成果主義の強さ
- 対象者の社会的ステータス
- 対象者の政治スキル
- 同僚が評価した対象者の成果主義の強さ
となっています。
想定としては成果主義が強い人ほど社会ステータスが向上しやすいということですが、そこに社内政治スキルや同僚の評判がどう関係してくるのかも分析してくれています。
結果:成果主義と社会ステータス
分析の結果を見てみると、まず最初に
- 明白な成果主義が高い人は、同僚の成果主義の評価が高い傾向があり、社会ステータスも高い傾向があった
- 暗黙な成果主義が高い人も、同僚の成果主義の評価が高い傾向があり、社会ステータスも高い傾向があった
ということ。
つまり、自分で成果主義を自覚していようと、自覚していまいと、同僚はその人が成果を出す人だと評価していて、出世もしやすいということですね。
結果2:社内政治スキルと社会ステータス
社内政治スキルを分析すると、一つ注意点が分かっていて
- 明白な成果主義の人は、社内政治スキルが高い場合にのみ同僚の評価が上がっていて、社会ステータスが高まっていた
という結果が得られています。
つまり、自分が成果主義であることを自覚している人は、社内でちゃんと立ち回らないと同僚の評価に繋がらないということ。
これがなぜなのかというと、自分で成果主義であることを自覚している人は、「俺はこんなに頑張って成果を出したんだぞ」と、自分自身の成果を強く認識しやすいからなんですね。社内政治スキルが高ければ自分の成果をうまく周りにアピールして出世につながりやすくなるのですが、社内政治スキルが低いとうまくアピールできず、下手をすると「なんであいつらは俺の成果を分かってくれないんだ」と自己中心的な働き方につながってしまうかもしれません。
まとめ
本稿では「成果主義の人ほと出世しやすいのか」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- 成果主義の傾向がある人は、それを自覚していても自覚していなくても、周りの同僚が評価してくれて、出世もしやすい傾向がある
- しかし、成果主義を自分で自覚している人は、周りに上手くアピールする社内政治スキルがないと、同僚の評価や出世には繋がらない
ということ。
実力が高いけどうまく出世できずにいる人は、社内政治スキルが足りていないのかもしれません。自分の成果をうまくアピールする方法を考えるだけでも、周りの人の評価が変わってくるでしょう。なので、自分自身で成果を求めている自覚がある人は、成果だけでなくアピールスキルも高めていきましょう。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]