ポジティブ心理学は仕事に取り入れても効果を発揮するのか?

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ポジティブ心理学では、幸福感を上げる方法について研究がされています。例えば、自分の強みを活かす行動をすると幸福感が向上するとか、毎日三つ良かったことを日記に書くと幸福感が向上するといったことが分かっています。

ポジティブ心理学の手法は生活の中で実践もできますが、仕事に取り入れることで仕事の幸福感を向上できる可能性を秘めています。ストレスが大きい嫌な仕事でも、ポジティブ心理学を活用すれば、いくらか改善することができるかもしれませんし、うまくいけば仕事のパフォーマンスまで向上するかもしれません。

そこで本稿では、

  • ポジティブ心理学を仕事に取り入ると、どれだけの効果を発揮してくれるのか?

について調べてくれたクレアモント大学院大学の研究(*1)を見ていきましょう。

ポジティブ心理学と仕事

クレアモント大学の研究では、ポジティブ心理学のテクニックを実際に職場で実践したときの効果を調べた研究22件をメタ分析でまとめています。

ポジティブ心理学が職場に与える効果として具体的に何が測定されたのかというと、まずは職場に与える良い影響として

  • 仕事のパフォーマンスの向上
  • 仕事の幸福感の向上
  • 仕事へのエンゲージメントの向上

が測定されています。さらに、職場の悪い要素の軽減効果として

  • 仕事のネガティブな感情の軽減
    (ストレスや心理的疲労など)
  • 仕事のネガティブなパフォーマンスを防ぐ
    (仕事の回避や上司の攻撃など)

の二つも測定されています。

結果:ポジティブ心理学の仕事での効果

早速、メタ分析の結果を見てみると、

  • 仕事にポジティブ心理学を取り入れると、職場の良い影響が高まっていた(効果量0.25)
  • 仕事にポジティブ心理学を取り入れると、職場の悪い影響が軽減されていた(効果量−0.34)

ということ。もう少し具体的に中身を見てみると

  • 仕事のパフォーマンスの向上が効果量0.08
  • 仕事の幸福感の向上が効果量0.30
  • 仕事のエンゲージメントの向上が効果量0.17
  • 仕事のネガティブな感情の軽減が効果量−0.28
  • 仕事のネガティブなパフォーマンスの軽減が効果量−0.57

ということ。どの指標でもポジティブ心理学によって良い効果が得られていますが、仕事のパフォーマンスは効果量が0.08で弱い結果となっています。

つまり、この結果からわかるのは、

  • 感情面で言えば、ポジティブ心理学はストレスなどのネガティブな感情を軽減して、幸福感といったポジティブな感情を高めてくれる両方の効果がある
  • パフォーマンス面で言えば、ポジティブ心理学にパフォーマンスを高める効果はあまりなく、仕事を避けるなどのパフォーマンスにとってネガティブな行動を減らす効果はある

ということ。

結果2:どんなポジティブ心理学が効果があるのか?

メタ分析ではポジティブ心理学の実践方法別の分析もしていて

  • ポジティブ資産を取り入れた方法が一番効果が高かった

ということも分かっています。

ポジティブ資産がどんなものかというと、

  • 自己効力感:チャレンジングな仕事でも自分なら達成できるという自信がある
  • 楽観主義:自分のキャリアや会社の将来をポジティブに捉えている
  • 希望:障害にぶち当たっても、方向性を変えてゴールを見据えることができる
  • レジリエンス:困難な状況でも心理的に立ち直ることができる

の4つを高める方法になります。なので、職場でポジティブ心理学を実践する場合は、これらの四つを高めることを考えていくと良いでしょう。

まとめ

本稿では「ポジティブ心理学は仕事に取り入れても効果があるのか?」についてお話ししました。

ポイントをまとめると、

  • ポジティブ心理学は仕事の感情面に対して、ストレスなどのネガティブな感情を減らして、幸福感などのポジティブな感情を増やしてくれる
  • ポジティブ心理学は仕事のパフォーマンス面に対して、仕事を避けるなどのパフォーマンスにとってネガティブな行動を減らしてくれる
  • 効果が高いポジティブ心理学の実践方法では、自己効力感・楽観主義・希望・レジリエンスの四つを高めている

ということ。

ポジティブ心理学は仕事でも効果を発揮するということで、興味がある人はぜひ取り入れてみましょう。メタ分析ではグループで行っても、個人ベースで行っても同じように効果があるという結果も得られています。なので、個人的に行うのも良いですし、チーム全体で行っても良しです。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : Evaluating Positive Psychology Interventions at Work: a Systematic Review and Meta-Analysis

Naoto

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