短期的な欲望は手放した方が幸せなのか?を調査した研究

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仏教の教えでは「欲を捨てること」で心が楽になって幸福になれると言います。

もっとお金がほしいとか、もっといい車が欲しいとか、心の苦しみはこうした様々な欲望が原因となっています。仏教ではこうした欲望のことを煩悩と言ったりもしますね。もちろん、全ての欲望を悪いと言っているのではなく、短期的で快楽的な欲望が手放すべき悪い欲望で、悟りに達したいみたいな長期的な目標に向かった欲は良いものとしています。

そこで本稿では、

  • 実際問題として短期的な欲望はない方が幸せなのか?あった方が幸せなのか?

について調べてくれたルール大学らの研究を見てみましょう。

欲望と幸福

ルール大学の研究では、短期的な欲望は次の二つの理由で悪い影響があると考えています。

  • 満たされなかった欲望が心に残る
    全ての欲望は満たせるわけではないので、どうしても満たすことができない欲望が心の中に残ってしまいます。例えば、お金がもっと欲しいという欲望を持っていても、簡単には満たすことができないので、そうした欲望は心を苦しめてしまう可能性があります。
  • 短期的な欲望は長期的な目標と対立することがある
    例えば、目の前の美味しそうなケーキを食べたいという欲望は、健康な体でいたいという長期的な目標と対立してしまいます。この場合、ケーキの誘惑に負けてしまうと、一時的に美味しさを満喫することができても、食べ終わると後悔につながってしまいます。

と、まあ短期的な欲望が幸福を低下してしまう可能性があることは十分理解できます。しかし、短期的な欲望が全くない人生も無味乾燥でつまらなく思えてしまうので、本当に欲望を手放すことで幸せになれるのか?には疑問が残りますよね。

そこで、ルール大学の研究では、アメリカの101人と日本の237人を対象に、短期的な欲望と幸福の関係の測定しています。朝の8時から夜の10時まで、2時間のブロックごとに欲望と幸福感のデータを取得して、欲望がどんな状態の時に幸福感が高いのかを測定したんですね。さらに、短期的な欲望が長期的な目標と対立したときに幸福感がどう変わるのかについても分析がされています。

結果:欲望と幸福感

早速分析の結果を見てみると、アメリカのデータでは次のグラフが得られています。

一番左が欲望がなかった人で、一番幸福感が高いことが分かります。
左から2番目が長期的な目標との対立が少ない欲望の場合で、幸福感が低下してしまっていることが分かります。
もう一つ左が長期的な目標とそこそこ対立する欲望で、こちらでも幸福感は低下してしまっています。
そして最後に一番右のグラフが長期的な目標と強く対立する欲望で、この欲望は幸福感を一番低下してしまっていることが分かります。

つまり、結論としては

  • 短期的な欲望はない方が幸せで、特に長期的な目標と対立する欲望ほど強く幸福を低下してしまう

ということですね。

結果2:日本の場合

続いて、日本で測定した場合の結果を見てみると、次のグラフになっています。

日本の方が全体的に幸福感が低い傾向になってはいますが、傾向としてはアメリカの場合と同じで、

  • 短期的な欲望はない方が幸せで、特に長期的な目標と対立する欲望ほど強く幸福を低下してしまう

という結果になっています。

まとめ

本稿では「短期的な欲望はない方が幸せなのか?」についてお話ししました。

ポイントをまとめると、

  • アメリカでも日本でも、短期的な欲望はない方が幸せである
  • 特に長期的な目標と対立する欲望ほど幸福を大きく低下してしまう

ということ。

悟りを目指すお坊さんのレベルまでいかなくても良いと思いますが、お金がもっと欲しくていつもお金のことばかり考えてしまうみたいに、自分にとって毒になってしまっている欲があれば手放すように心がけてみましょう。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : Testing Buddha: Is Acute Desire Associated with Lower Momentary Happiness?

Naoto

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